メビウスの輪を超えて 【カフェのマスター・アルファ×全てを失った少年・オメガ。 君の心を、私は温めてあげられるんだろうか】

大波小波

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 衛の父は、コーヒーカップとソーサーを手にして、立ち上がった。
 そして、カウンター席から離れ、店内をゆっくり歩き回り始めた。
「お父様、いったい何をお考えに……?」
 そして時々立ち止まっては、ブラックアイボリーを口にする。
 窓辺から外を眺めては、一口。
 隅のテーブルに掛けては、一口。
 そんな具合に、メビウスをぐるりと一周して、カウンター席へ戻って来た。
 カップの中のコーヒーは、ちょうど飲み干されていた。
「ご馳走様、美味かったよ」
「では、お父様。私の話を、少し聞いてくださいますか?」
 衛は、父の機嫌が良いと判断して、切り出した。
「私が弓月の家へ帰る際には、一人連れを伴いたいのです」
「連れ?」
「こちらの、梅ヶ谷 早紀くん。彼を……」
 そこで衛の父親が、表情を変えた。
 やや眉根を寄せ、警戒するような顔つきだ。
 それに気づいた早紀は、身を乗り出して自らをアピールした。
「僕を、衛さん専属の使用人として、お屋敷に置いていただけませんか!?」
「さ、早紀?」
「家事は得意で、コーヒーも淹れられます。あ、お菓子作りもできますから!」
「ちょっと待って、早紀」
「お願いします! 何でもします! どうか、使用人にしてください!」
 衛の父は、必死な早紀と、困惑気味の衛を、交互に見た。
 そして間を置いた後、口を開いた。

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