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しおりを挟むはぁ、ふぅ、と荒い息を吐く遥は、了に起こされた。
「寝てるヒマはないぞ。お客様の体を、拭いて差し上げる。ここまでが、務めだ」
「は、はい……」
肌触りのいいタオルで、遥は了の体を拭き清めた。
「これで、いいですか?」
「ああ。上出来だ」
それで、と遥は了を縋るように見た。
「僕は、合格でしょうか」
「よく頑張ったな。合格だ」
「ありがとうございます!」
「客の中には、私より酷い扱いを君に課す者もいる。それでも、やっていけるか?」
「大丈夫です」
病気に苦しむ弟を救うためなら、何だって我慢できる。
そんな決意を遥の口から聞き、了はつい甘い声を掛けていた。
「困ったことがあれば、私に言うといい。対処しよう」
「すみません」
「それで、疑問があったのだが」
「はい?」
「君は、私が初めてだったのか?」
「はい……」
でも、と遥は了を見た。
「オーナーさんが、初めての人で良かったです」
「そうか」
これは、好意と受け取ってもいいのかな?
このビルに働く人間は、全員が了にとって金儲けの道具だった。
しかし、遥には何か別の感情を覚えていた。
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