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しおりを挟むテミスアーリン王都の、やや西寄りに、その王宮はあった。
国王は、すでに亡い。
軍閥がクーデターを起こし、この首都を蹂躙する暴挙を、文字通り体を張って止めたのだ。
前線に立って自ら剣を振るう国王に、民衆は涙した。
少しでもお役に立とうと、腕に覚えのある者は、志願兵となって戦った。
その力に、強い意思に、クーデター軍は圧されて王都から討ち払われたのだ。
「だのに。また勢力を増して、ここへ舞い戻ってくるなんて」
真っ暗な王宮の中、ろうそくの小さな灯り一つを頼りに、少年は窓辺でつぶやいた。
落ち着いているのは、彼一人だけ。
周囲では、せわしい衣擦れの音が右往左往している。
トランクに、衣装を詰めたり。
丈夫な革の袋に、宝飾品を詰めたり。
万が一の為に、鋭いナイフを用意したり。
そうやって、密かに国外へ出る支度を整えていた。
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