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しおりを挟む時々忘れそうになるが、この子は。
(杏くんは、何もかもが初めてなんだ。恋愛に関しては)
まっさらの、初めて全てを私に捧げ続けてきたんだ。
「すまない。実は私は、恋人を作ったことが無いんだ」
「え……?」
「人に縛られるのが嫌でね。だから、詩央くんと恋人になったわけじゃない」
「そんなの、薄情です」
うん、と真は杏の手を握った。
両手で、彼の白い手を包み込んだ。
「私が杏くんと恋人になるのなら、まずどうしなければならない?」
「……エッチ、ですか?」
「いいのか!?」
「ダメです!」
こほん、とわざとらしく咳をし、真は仕切り直した。
「まず、杏くん。君は私を何と呼んでいる?」
「北條さん、です」
「恋人に『北條さん』は、ないだろう」
真さん、と呼んでくれ。
そう言って、真は杏の手を差し上げて指にキスをした。
「私も君のことを『杏』と呼ぶよ」
「北條さん……、いえ、真さん」
「そう。それでいい」
にっこり笑って、真は杏の髪を撫でた。
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