恋してみよう愛してみよう

大波小波

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 あさりのお粥に、すりおろしたリンゴ。
 湯葉のお吸い物に、クリームヨーグルト。
 詩央のために、杏は朝食を用意した。
「食べられますか?」
「うん。いただくよ」
 ありがとう、と詩央はおとなしく食事を口にした。
 どうせ少ししか食べられないだろう、と思っていたが、予想に反してスムーズに胃に運ばれていく。
「美味しい。すごく、美味しいよ」
「良かった」
 食べ終えた後は、体がぽかぽかと温まって来た。
「北條さん。僕、シャワーを使ってもいいですか」
「もちろんだ。ゆっくりバスタブにも浸かるといい」
 詩央はシャワーの後、バスタブに身をゆだねながら昨夜のことを思い返していた。
「あんなにひどい目に遭ったのに」
 なぜか、その凄惨な記憶にフィルターがかかっている。
 北條さんのマンションに、泊めてもらったから?
 北條さんのベッドで、眠ったから?
「いや、違う」
 悪夢に怯え、逃げ惑う僕の手を、しっかり握って離さないでいてくれた人のおかげだ。
「そしてそれは、杏くんなんだ」
 ほぅ、と詩央は大きく息を吐いた。


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