恋してみよう愛してみよう

大波小波

文字の大きさ
79 / 163

5

しおりを挟む

 真と杏は、一緒に詩央の様子を見ていた。
「杏、君はもう寝なさい。後は私が」
「真さんこそ、眠ってください。疲れたでしょう?」
 そんなことを言い合いながら、心配な眼差しで詩央を見ていた。
(しかし、詩央くんが杏の手を離さないとはな)
 てっきり、私にすがってくると思っていたが。
 詩央の好意は、解っていた。
 ほとんど毎日、店で顔を合わせるのだ。
 また抱いて欲しい、とあからさまな誘惑を受けることもあった。
 だが、杏を恋人と決めてからの真は、節度を守っていた。
「詩央くんは、あくまでスタッフだから、ね」
 そう言って、誘いを断っていた。
「……詩央さんは、真さんのことが好きなんですよね」
「え!? いや、それは」
 ぽつりとこぼした杏の言葉は、真を慌てさせたが、すぐに立ち直った。
「うん。この子は、私のことが好きだ」
 だがね、と続けた。
「私は、杏のことが誰より好きなんだよ。だから、詩央くんの願いはきけない」
「嬉しいけど、悲しいです」
 真が詩央と寝た話を聞いた時、胸がつぶれるほど辛かった。
(今、同じ思いを、詩央さんは味わっているんだ)
 そう思うと、手放しで喜べなかった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

白銀オメガに草原で愛を

phyr
BL
草原の国ヨラガンのユクガは、攻め落とした城の隠し部屋で美しいオメガの子どもを見つけた。 己の年も、名前も、昼と夜の区別も知らずに生きてきたらしい彼を置いていけず、連れ帰ってともに暮らすことになる。 「私は、ユクガ様のお嫁さんになりたいです」 「ヒートが来るようになったとき、まだお前にその気があったらな」 キアラと名づけた少年と暮らすうちにユクガにも情が芽生えるが、キアラには自分も知らない大きな秘密があって……。 無意識溺愛系アルファ×一途で健気なオメガ ※このお話はムーンライトノベルズ様にも掲載しています

本当にあなたが運命なんですか?

尾高志咲/しさ
BL
 運命の番なんて、本当にいるんだろうか?  母から渡された一枚の写真には、ぼくの運命だという男が写っていた。ぼくは、相手の高校に転校して、どんな男なのか実際にこの目で確かめてみることにした。転校初日、彼は中庭で出会ったぼくを見ても、何の反応も示さない。成績優秀で性格もいい彼は人気者で、ふとしたことから一緒にお昼を食べるようになる。会うたびに感じるこの不思議な動悸は何だろう……。 【幼い頃から溺愛一途なアルファ×運命に不信感を持つオメガ】 ◆初のオメガバースです。本編+番外編。 ◆R18回には※がついています。 🌸エールでの応援ならびにHOTランキング掲載、ありがとうございました!

Ωの花嫁に指名されたけど、αのアイツは俺にだけ発情するらしい

春夜夢
BL
この世界では、生まれつき【α】【β】【Ω】という性の区分が存在する。 俺――緋月 透真(ひづき とうま)は、どれにも属さない“未分化体(ノンラベル)”。存在すら認められていないイレギュラーだった。 ひっそりと生きていたはずのある日、学園一のαで次期統領候補・天瀬 陽翔(あませ はると)に突然「俺の番になれ」と迫られ、なぜか正式なΩ候補に指名されてしまう。 「俺にだけ、お前の匂いがする」──それは、αにとって最大の禁忌だった。

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

そうだ課長、俺と結婚してください

藤吉めぐみ
BL
運命の番を信じるアルファ×運命なんか信じないアルファスペックのオメガ 社内、社外問わずモテるアルファの匡史は、一見遊んでいるように見えるが、運命の番を信じ、その相手に自分を見つけて欲しいという理由から、目立つように心がけ、色々な出会いの場にも顔を出している。 そんな匡史の働く職場に課長として赴任してきた池上。彼もアルファで、匡史よりもスペックが高いとすぐに噂になり、自分の存在が霞むことに不安を覚える匡史。 気に入らないという理由で池上に近づくが、なぜか池上から香りを感じて惹かれてしまい―― 運命の番を信じるアルファと運命なんか信じないアルファ嫌いのオメガのオフィスラブです。

ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?

灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。 オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。 ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー 獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。 そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。 だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。 話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。 そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。 みたいな、大学篇と、その後の社会人編。 BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!! ※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました! ※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました! 旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」

トップアイドルα様は平凡βを運命にする【完】

新羽梅衣
BL
ありきたりなベータらしい人生を送ってきた平凡な大学生・春崎陽は深夜のコンビニでアルバイトをしている。 ある夜、コンビニに訪れた男と目が合った瞬間、まるで炭酸が弾けるような胸の高鳴りを感じてしまう。どこかで見たことのある彼はトップアイドル・sui(深山翠)だった。 翠と陽の距離は急接近するが、ふたりはアルファとベータ。翠が運命の番に憧れて相手を探すために芸能界に入ったと知った陽は、どう足掻いても番にはなれない関係に思い悩む。そんなとき、翠のマネージャーに声をかけられた陽はある決心をする。 運命の番を探すトップアイドルα×自分に自信がない平凡βの切ない恋のお話。

処理中です...