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しおりを挟む「う……」
沙穂は、顔を上げた。
いつの間にか、周囲が暗い。
「夜?」
泣きながら、眠ってしまったのか。
その時、沙穂は耳にドアをノックする音を聞いた。
この音が、僕を起こしたんだ。
「誰だろう」
大家さんかな、と思いながらドアを細く開けると。
「沙穂」
「……真輝さん!」
思わず閉めたドアの隙間に、真輝は足を挟んで阻んだ。
「閉めないでくれ。中に入れて欲しい」
「いけません。会えません」
「何かあったんだろう? 私にも言えないことなのか?」
真輝だから、言えないのだが。
「とにかく、お帰りください」
「とにかく、ドアを開けて欲しい」
でないと、私の足が痛くてたまらない。
沙穂は、ドアに挟んだ真輝の足に改めて気づいた。
「あ! すみません!」
沙穂がドアを大きく開いた隙に、真輝は部屋に滑り込んだ。
「沙穂、会いたかった」
「真輝さん。……真輝さん!」
沙穂はもう何も考えずに、真輝の胸に飛び込んだ。
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