おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 第二章 おっさんずパーティー

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 グレイたちを販売員としてスカウトすることがほぼ決定したが、問題はグレイの娘であるセーラをスカウトできるかどうかにかかっていた。

 現在は中堅冒険者としてパーティーを組んで、この第一一階層に潜っているらしい。

 俺たちは二手に分かれて彼女を探すことにしていた。

「セーラさんって人を探せばいいんだよねー。そうしたら、グレイさんたちとお店でしょーばいができるんでしょー。ファーマはあのおじさんたち好きー」

 ファーマは自分の実力を認めて、一人前の冒険者として扱ってくれたグレイたちを気に入っているようだ。

「グレイたち、そこらのポンコツSランク冒険者より、よっぽど使える人材」

「確かに『おっさんず』さんたちになら、お店をお任せできそうですね。魚人マーマンをあんなに簡単に無力化される方たちですし」

「そうね。だから、後は会計役候補のセーラの説得を成功させないと。場合によっては所属しているパーティーに移籍料も支払わないといけないしね」

 メンバーたちはグレイたちの戦う姿を見て、信頼を増したようで、彼らがダンジョン販売店の護衛候補にピッタリだと思っているのが、言葉尻からも感じ取れていた。

「セーラ、二〇代の女ドワーフで、目元に黒子がある肩までのストレートヘア。容姿、覚えた」

 記憶力の良いカーラは、グレイが話していたセーラの容姿を覚えていてくれた。一応、俺も覚えているが、パーティー内での情報の共有は重要であるため、カーラを始め、全員が容姿を覚えておいて損はない。

「よし、他のパーティーの気配がする方を捜索することにしよう」

「「「はい」」」

 俺たちは当初の目的を達成しつつ、セーラたちのパーティーを探すために、あらためて捜索を再開していった。


 第一一階層の地底湖エリア。魚人マーマン蜥蜴人リザードマンが生存領域をお互いに争う階層。

 二種の魔物が出会えば、常に魔物同士の戦闘が行われ、倒れた魔物はダンジョンが再配置を行うまで戦闘離脱という名の休息時間を得て、再配置後にはまたお互いに争うことを常に続けている。

 地底湖エリアは魔物同士の争う紛争地帯であることを頭に入れて探索せねばならない。

 地底湖の水辺に沿って歩いていると、前方から魔物が争う声が聞こえてきていた。

「グレイズさん、魔物たちが争っているよー。どうする? 人間の気配はないみたいだけど」

 ファーマは最近、冒険者と魔物との気配の違いを感じ取れるようになってきている。

 元から気配に敏感な子であったが、天啓子としての才能のおかげか急激な成長を見せつつあった。

「魔物同士の争いに介入すると、両方から襲われるからな。放置してた方がいいな」

 俺もファーマと同じく魔物たちの気配を感じ取っていたが、人気のない魔物同士の生存領域争いに首を突っ込んで、両陣営から襲われ全滅したパーティーがあるのも知っていた。

 なので、争っている魔物集団には手を出さない方が無難である。

「それにしても、不思議。ダンジョンの魔物同士が争う。これ、なぜだ?」

 ダンジョン内で魔物同士の争いと聞いて、知識収集の鬼であるカーラが興味をもったようだ。

「ベテラン冒険者から聞いた与太話では、ダンジョン主がダンジョンをより深くするために使う力の元である、『増悪』を創り出す餌として、お互いに争わせているらしいぞ」

「そんな話、書物にはなかった。初めて聞いた。興味深い話だ。ダンジョンの成長過程、色んな文献読んでも、曖昧だった。グレイズの話、一考に値する」

 カーラが冒険を終えて地上に帰った後、色々とブラックミルズで手に入る書籍や文献を調べ、ダンジョンについて考察している姿を見かけていた。

「冒険者の与太話だから、信用性は全くないかな」

「グレイズさんの話は年齢の高い冒険者がよく言ってましたね。私もなり立ての時にチラリと話を聞いたことがあります」

「私も冒険者たちが、そんな話をしてたのは聞いたことあるわね。どこのダンジョンにもお互いに争う魔物が配置されているらしいわ。案外、与太話じゃなくて真理なのかもよ」

 メリーもアウリースも、俺がカーラに話した冒険者たちの与太話を聞いた事があるらしく、わりと有名な話であるようだ。

 ダンジョンの最終階層で、進入する冒険者たちを撃退するため、ダンジョンを成長させつつ、すべてをくぐり抜けて到達する者を待ち受け、戦いを求めるダンジョン主という存在は、アクセルリオン神の話では、神器の力に溺れた者の末路らしい。

 彼らがなぜダンジョンを創り出すのかまでは、教えてもらえなかったが、いずれ俺たちのパーティーは、ブラックミルズのダンジョンの最深部にまで潜る時期も来るはずだ。

 その時までに、なにがしかの理由を知ることができればいいなとは思っている。

『おや、知りたいですか? アクセルリオン神からは、理由を教えてもいいと承っていますけど、理由を聞いたら、お手伝いをお願いされますよ? それでも、聞きます?』

 その話は、今は丁重にお断りしておくぞ。

 皆の話を聞いていたハクが脳内にダンジョンの秘密を暴露しようとしていたが、今のところは丁重にお断りしておいた。

 神様のお使いミッションはSSランクな依頼な気がするので、今はまだ近寄らない。

『あら~。残念です。やっぱり、グレイズ殿は他の神器所有者と違って慎重ですね。多くの神器所有者は二つ返事で、ダンジョン主討伐を請け負って、自分が力に溺れダンジョン主になるって人もいましたしね』

 いずれは、目指すかもしれん。いずれな。

「グレイズさん! 争ってる魔物の集団に人の気配が近づいていくよー!! どっかのパーティーがちょっかい出すみたい」

 前方の気配を窺っていたファーマが、魔物同士で争っている集団に、攻撃を仕掛けるつもりのパーティーがいると伝えてきた。

 単体集団でも中堅なり立てだと苦戦するが、両種が手を取り合うと、難易度が一気に上昇するのだ。その強さは、上級ランクの冒険者でも油断すると危ないと言われるレベルになる。

「ベテランは放置するんだがな。中堅なり立てのパーティーか。一応、援護できる場所にまで移動して様子見しておこう。危なそうなら手を貸すこともできるしな」

「分かったよー。ハクちゃん、前進するよ」

「わふうぅ(了解なのです。背後から強襲ですね!)」

「承知、援護位置まで進む」

「魔法は準備しておきます。範囲魔法で敵をいつでも混乱させられるように」

「私はいつでも前に出れるようにしとくわ」

 各人がすぐに反応して、やるべき役割を果たすための準備をしていた。
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