おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 第四章 開花

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 俺がムエルたちから追放され、追放者アウトキャストを立ち上げてから半年。

 駆け出しパーティーから追放されたファーマ、カーラはすでに中堅であるCランクで実績を積み、一時は凶状持ちだと言われ、Fランクまで降格したアウリースも誤解が解け、自身の申し出で再出発した冒険者ランクも同じCランクまで上がっている。

 そろそろ、装備もランクアップが必要かもな。ここで、一気にAランクくらいまで駆け抜けてランクアップするためにも、今度、装備の見直しをしていくか。

 ダンジョンの入り口で、今日の探索依頼を受注してくるメンバーたちを待ちながら、今後のことを考えていた。

 中層階でも、今の追放者アウトキャストの実力であれば、苦戦せずにいい所まで潜れそうであるし、装備代金もダンジョン販売店への物資運搬による利益配分によってパーティー資金も潤沢になってきている。

 それにダンジョン販売店もセーラたちに任せられるようになり、上位ランク昇格に必要な依頼達成額もバリバリと稼ぐ必要がある。

『でも、皆さんも結構強くなってきていますからね。もうじき、あたしの声も聞こえるようになるんじゃないでしょうか』

 隣で地面に座り、首元を掻いていたハクが、メンバーたちの成長を褒めたたえていた。

 確かに半年で中堅冒険者たちよりも強くなっているからなぁ。『天啓子』だったとはいえ、成長が凄いとしか……。

『また、今度神殿でステータスも確認させてもらった方がいいんじゃないですか。それにアクセルリオン神もグレイズ殿とお話したいって言ってますし』

 ハクはアクセルリオン神の使徒であるため、彼女と直接に話せるようだが、俺は不信心者であるため、アクセルリオン神の声は直接聞けないのだ。

『本当は聞こえるはずなんですけどねー。知らん顔してるんじゃないんですか?』

 マジで聞こえんぞ。ハクの声しかな。

『う~ん。そうなんですか。アクセルリオン神様の力も不安定ですからねぇ』

 ハクが急に興味無くしたように、地面で毛繕いを始めていた。わりと、この使徒様は自由人な気がしてきた。というか、オオカミの本能の方が強くなってきているのではという疑惑も出てきている。

 これも、皆からの可愛がり効果なのだろうか。

「グレイズさーん! 依頼受注してきたよー」

 ハクが毛繕いを始めた頃、冒険者ギルドで受注を終えたファーマたちが、『おっさんず』とセーラともにこちらに向かってきていた。

 店番をしてもらう『おっさんず』たちとは、第一〇階層まで行動を共にする予定である。

 あと、俺たちが潜るのに合わせて、探索を開始する予定の駆け出しパーティーや、中堅パーティーも一緒に来ており、ダンジョンの入り口前は一気にごった返していた。

「今回は第一二階層でホブゴブリンの巣の討伐と、ハイオークの討伐を受けてきました。地底湖エリアでも苦戦しなかったんで、もう少し奥に潜ろうってみんなと話し合った結果の受注です」

 アウリースが冒険者ギルドで受注した依頼内容を教えてくれていた。

 地底湖エリアでも単体の魔物集団であれば、さほどの苦戦をしなかったため、一階層下に潜るのに特に異議はない。

 彼女らの現時点の実力であれば、第一五階層くらいまでなら、さほど大きな問題もなく進めそうである。

「了解した。第一二階層は廃墟エリアだしな。物陰や建物の陰に魔物が潜んでいる可能性もあるから気を付けて行こう」

「「「「はい」」」」

 俺たちは装備の再点検をお互いに終えると、ダンジョンの入口へと降りて行った。


 第一〇階層までは何ら問題なく、スムーズに降りることができ、入り口の広間に到着すると、俺が背負ってきた荷物を置き、『おっさんず』とセーラの開店準備をを手伝うことにしていた。

 すでに開店を待ちわびる冒険者たちで長蛇の列が作られており、開店の時間を今や遅しと待ちわびている。

「今日もお客さんは大漁のようね。セーラ、しっかりと稼いでね。今回の仕入れが全部捌けたら、記録更新だから特別ボーナスも出るわよ」

「え!? 本当ですか。あたし、潜るたびに給料の額が増えていて、最初に提示して頂いた額より二割ほど多くなっているんですけど」

「いいって、うちは利益が出てるんだから。セーラたちにももっと頑張って欲しいしね。これで借金返済も加速sるでしょ」

 セーラが店を担当することになってから、メリーは仕入れの量を更に増量していた。今、持ち運んできた背負子に積まれた物資の量は八〇〇〇デフィールキログラムを超えていた。

 しかも、品揃えのラインナップは、冒険者たちの潤った懐を勘案し、やや高級路線に変化し、それがまた利益の幅を押し上げてもいるのだ。

 そして、潜って店を開く度に売り上げ記録が塗り替えられ続けている。

 すでに最高額が一回の開店で一〇〇〇万ウェルを超えてきていた。

 メリーの取り分が二〇万ウェル、俺のパーティーの取り分が三〇万ウェル。一回の開店を行うだけでこれだけの金が雪崩れ込んでくる。

 これに素材納品代までプラスしていけば、一ヶ月でかなりの稼ぎになるのだ。

 なので、メリーも販売員として雇っているセーラと『おっさんず』に対して利益還元をしている。

 『おっさんず』の三人の借金総額は八〇〇万ウェルほどあり、メリーの会社名義で借金を清算しているが、その借財を返した原資は俺の個人資産から出ている。

 メリー個人が俺からの投資を受けた形で『おっさんず』の借金を清算したからだ。

 現状で『三四〇〇万ウェル』という投資額がメリー個人に対して俺から行われている。

 これは借金ではなく、メリーの商才に投資していると言って、無理やりに貸しているのだが、月の利益から律儀に返済をしており、最近では月に一〇〇万ウェルほど返済されるようになっていた。

 メリーからはこの負債が無くなるまでは『婚約指輪』を受け取る資格はないと言われているため、減って欲しいような、減って欲しくないような微妙な気持ちでもあった。

『本当は早く減って欲しい癖に、あたし知ってますよ。グレイズさんが利益がもっと出るようにメリーさんにアドバイスしてるのを』

 ち、違うっての。あれは、そうした方が儲かるからであってだな。俺がメリーの借金を早くなくして結婚したいってわけじゃ……。って、ハクか! また、そうやって俺を茶化す。俺はそんな子に育てたつもりはないぞ。

 最近、ハクが俺を茶化すことを覚えたため、教育的指導の名のもとに可愛がりを断行する。

「わふぅ、わふぅううう! (あっ、あっ、あぁあ~! 違うんです。ちょっと口が滑っただけなんです。お許しを~。らめぇえええ!)」

「グレイズさん、ハクと遊んでいたらダメよ。早く開店準備しないとお客さんが待っているんだから」

 ハクをモフっていたら、お仕事モードのメリーに怒られてしまった。見ると、『おっさんず』を始め、ファーマ、カーラ、アウリースたちも、忙しそうに手を動かし陳列を進めていた。

 おっと、遊んでいるのは俺だけのようだ。最近、冒険者たちからはメリーたちのヒモ扱いされているからな。しっかりと働いている姿を見せないと……。

 俺の可愛がりに負けクタリしたハクを小脇に抱えると、俺も品出しの手伝いをすることにした。
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