おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

文字の大きさ
65 / 232
第二部 第五章 成長と暗雲

2

しおりを挟む


「グレイズさん、今日は神殿にお参りに行く日だよー! 起きてー!」

 ファーマがベッドで寝ていた俺の肩をユサユサと揺すっていた。昨夜は結局ジェイミーとしこたま酒を飲んで、千鳥足で倉庫に荷物を置き、自宅に帰ってきたのは真夜中近くであったのだ。

「わふううっ! (起きて、起きてください! 急いで行きましょう! アクセルリオン神から怒られますからぁ!)」

 ハクも一緒にいるようで、ベッドの上に上がり込んで、俺の腹を前脚でポンポンと叩いていた。

 きっと、今日のお参りに関してアクセルリオン神から催促を受けているんだろう。

 少し睡眠が足りず、頭がぼおーっとしているが、起こされたのに寝ているわけにはいかないので、ベッドから身を起こす。

「ふぁぁあ。分かった。分かった。今起きるよ」

「はい! グレイズさんの着替えー! 早く来てねー! ハクちゃん行くよ」

「わふうう! (ご飯、ご飯。グレイズ殿も早くお支度を)」

 ファーマが事前に俺の着替えを用意してくれていたようで、衣服を手渡すと階下のダイニングへ降りていった。

 長年一人暮らしを続けてきていたので、自由気ままに休みを過ごしていたが、パーティーメンバーと共同生活をするようになって誰かに起こしてもらえるということが、わりと嬉しさを感じることだと理解し始めていた。

 こういう暮らしも悪いもんじゃないな……。

『実質、夫婦生活みたいなもんですからねー』

 ち、ちげーし。共同生活だっつーの!

「あらー、私は同棲だと思っているんだけどー。グレイズさん」

「グレイズの嫁になるための行儀見習い期間と理解している」

「ファーマはみんなで一緒に暮らせて楽しー」

「あ、あの。そういうことだと思っていいですか……。私も」

 皆がハクの言葉を聞こえるようになったため、ハクの発した思念会話を聞いたメリーたちが階下から返答に困る答えを返してきていた。

 ハクと会話すると天啓子としての能力が開花したみんなに筒抜けになりかねないことが判明していた。

 ただ、思念会話で拾えるのはハクの言葉だけなので、俺とメリーが双方向で話せるという訳ではなく、ハクの思念会話だけを皆が受信できるのだ。

 けれど、裏を返せば、ハクと思念会話を通じて指示を出せば、無言で全員に指示が出せるという利点もあった。

 ハク! 訂正をしろ。共同生活だ。共同生活。

『グレイズさんよりの返答を受信。『みんなと暮らせて俺も嬉しい』だそうです』

 階下のダイニングからワッと喜ぶような声が聞こえていた。

 いや、ハクの言ってる内容は間違ってはいないんだが、誤変換されている気がしてならないぞ。

 誤変換をする発信元に教育的指導を行うため、急いで着替えると、階下に降りていった。


「わふぅうう! わふぅ! わふぉおおおん! (あっ、あっ、ああぁ。グレイズ殿、もうらめぇえぇ、許して、許してください。もう、しませんからぁああ。あぁああぁ~~!!)」

 階下に降りた俺は逃げ回ったハクを捕え、教育的指導としてお腹を猛烈にモフる可愛がりを敢行していく。

「ハクちゃんも喜んでるー!」

「ハク、喜んでいる。羨ましい」

「私もして欲しいわね」

「激しそうです……。耐えられるかしら……」

 食事の準備を終えていたメリーたちが、食事をしながら腹モフの刑に処せられたハクの様子を見ていた。

 やがてクタリと力尽きたハクをファーマたちが選んで買ってきたモフモフの絨毯の上に寝かせると、何事もなかったように食事をすることにした。

 席に着くと、アウリースとメリーが温めなおしてくれた野菜のスープと飲み物を準備してくれる。

 一人の時は食事を作るのが面倒だったので、商店街の飯屋で朝を済ませていることが多かったが、みんなと共同生活をするようになってからは朝食を自宅で食べることがほとんど日課になっているのだ。

「グレイズさん、あんまりハクをいじめちゃ駄目よ。アクセルリオン神様の使徒なんだから」

「誤変換に対しての指導をしただけさ」

「え! さっきのハクちゃんの話は違うんですか! 私ったら早とちりをしてしまったわ」

「あ、いや。大筋では間違ってはいないぞ。大筋ではな。細部が違うんだよ。細部が」

 俺はアウリースに対してしどろもどろな返答を返す。

 自分の中ではある程度の結論は出ているのだが、それを口に出すのが怖いのと恥ずかしいという気持ちが入り混じり言葉がドモってしまう。

「まぁ、グレイズさんは恥ずかしがりやなんで、みんながしっかりしてれば、なるようになるわよ。まずは外掘りをキッチリと埋めることが大事」

 付き合いの長いメリーが俺の心情を完璧に代弁してくれたおかげで、二の句を告げられないでいる。

「はーい! グレイズさんのお世話もファーマは頑張るー!!」

「グレイズ、スープ熱い、私が冷まそうか?」

「だ、大丈夫。そんなことよりも朝食終えたら、神殿に行って、みんなのステータスの確認をするから準備しておいてくれよ」

「とうに準備はできてるわ。あとはご飯を食べるだけよ」

 フフフと笑ったメリーが席に着くと、みんなも席に着いて食事が再開されることになった。

「そ、そうか。じゃあ、俺も飯を食うか」

 メリーが準備してくれたスープにパンを浸して、手早く朝食をとることにした。
しおりを挟む
感想 1,071

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。