おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 第六章 新たな装備

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 メラニアたちと別れ、俺たちは探索に使う装備を一新するためにドロップ品や販売用の武具が保管されている商店街の倉庫に来ていた。

「よう! グレイズ。昨日はちーと飲み過ぎたな。まぁ、遅刻はしてないから給料はきちんと払ってくれよ」

 倉庫の入り口にいたのは、昨日雇った倉庫番に転職したジェイミーの姿があった。

 いつも冒険者ギルドの制服をビシっと着こなしていたが、今日は野良着を着て入り口の木箱に座り込んでいる。

「あー、ジェイミーさんだー。おはようございますっ!」

「おう、ファーマか。おはようさん。今日も元気があってよろしい」

 元治安維持専門の冒険者であり、いかつい顔をしているジェイミーであるが、人懐っこく天真爛漫になったファーマには甘いらしい。

 元ギルマスの受付担当として、若い冒険者から『鬼のジェイミー』と呼ばれていたが、ブラックミルズの治安に対して新ギルドマスターと対立して解雇され、酒場で飲んだくれていたのを倉庫番という名の情報収集係として採用していた。

  というのをメリーに言うのを忘れていたのを思い出していた。

「ちょっと、グレイズさんいいかしら?」

 事情が呑み込めていないメリーが困惑した顔で俺に耳を貸すようにとジェスチャーする。

 ジェイミーに背を向けるような形となり、メリーにこうなったいきさつを説明していく。

『実はジェイミーが冒険者ギルドを首になったらしくてな。首の理由を聞いたらちょっとばかりきな臭い匂いを感じてな。表向き倉庫番としてうちで雇って街の様子を探ってもらうことにしたんだよ。ほら、ジェイミーは街の事情通だろ』

『そういうことなのね。確かに冒険者ギルドの受付の子が、古株のジェイミーさんが首になったと言っていたわね。ムエルたちの暗躍を許したとはいえ、その後の逮捕劇はジェイミーさん主導で鮮やかに闇市関係者を一網打尽にした手腕を持っている責任者を首にした新任ギルドマスターには能力に疑問符が付くわね』

『ブラックミルズの治安はけして良いとはいえない状態だしな。現状を維持している職員も内勤にまわされ、新規編制された部隊が治安維持業務を引き継ぐらしい』

『新顔がこのブラックミルズの治安を守るの? ないわね。ここの闇は想像以上に深い闇だもの。新設部隊が手に負えるものじゃないわよ』

『だからこその『ジェイミー』ってことさ。万が一に備えてもらっておく。最悪、冒険者ギルドの治安維持要員の引き抜きをして商店街の連中に出資してもらっての自警団ってのもありかと考えてる。治安が悪くなりすぎたらな』

『オッケ―。分かったわ。商店街の人たちにはそれとなく打診しておく。最悪の事態が起きないといいけどね。ここのところようやく良くなる兆しが見え始めていたのにね』

 俺がジェイミーを雇った理由を聞いたメリーは納得の表情を浮かべ、最悪の事態に備えて商店街の連中にそれとなく出資の打診をしておくと言ってくれていた。

「ってことらしいぞ。メリー嬢。よろしく頼む」

 ジェイミーがヒソヒソ話の内容を感じ取ったかのような挨拶をしていた。

「そういうことなら大歓迎よ。よろしくね、ジェイミーさん」

「さて、ジェイミーの紹介も終わったし、みんなの装備を見繕うことにするか。パーティー資金から装備代出すから、一人五〇万ウェルの予算で装備を見繕っていいぞー。倉庫の中の品は売値の二割引きで売ってくれるらしいからなー。中層階で苦戦しないで済むように装備を更新するぞ」

「ヒュー! 豪勢だねぇ。とてもCランクに上がりたてのパーティーの出せる金額じゃねえな。さすが『商人』グレイズってところか」

 ジェイミーが装備更新の予算額を聞いて少しばかり驚いた顔をしていた。

 今回の予算額は、中堅なり立てのパーティーの平均装備更新予算額より桁一つ多いのである。

 けれど、彼女たちの能力からすればそのランクの装備品ですら物足りないものになる可能性もあるのだが、装備品は稼ぎに応じてランクを決めなければ、修繕費等でパーティー資金を圧迫する可能性もあるため、収入に応じた装備を購入した方がいい。

 なので、うちの収入を勘案し、予算額が一人五〇万ウェルとなっている。

「五〇万ウェルは装備代? 魔法書は含む?」

 カーラが装備更新予算と聞いて魔法書を含むのか聞いてきた。

「魔法は別枠予算で一〇〇万ウェル用意している。これはみんなで話し合って決めようと思うから、装備代だけで考えてくれ」

「魔法書予算もあるんですか!」

 アウリースが装備更新代の他に魔法書の予算もあると聞いて驚いていた。

「そっちは後で決めるから、まずは装備から見繕っていこう」

 俺たちは倉庫中に並べられているドロップ品の装備や鍛冶屋が作った装備を物色することにした。


 メンバーたちが自分のジョブに合った装備を探すために倉庫内に散らばっている。

 俺は装備を更新する必要もないため、みんなの装備のアドバイスに回ることにしていた。

「グレイズさんっ! ファーマはこれ欲しいなぁー。買えるよね? カゲロウの服ー!」

 ファーマが持ってきた服は、深層階で現れる陽炎竜がドロップする素材を使用した装備品で、常に陽炎を発して周囲の空気が揺らめき敵の命中力が下がる服であった。

 防御力に関しては現在装備している『暗殺者の服』より若干上昇するが、素早いファーマが陽炎の服を装備すれば、中層階でファーマを捕捉できる魔物はほとんどいなくなるような気がする。

「陽炎の服か……。売値は確か二五万ウェルくらいしたよな。二割引きだと」

「二〇万ウェルで買えるよねー。この服ー! ファーマは暗算できるようになったよー!」

「正解だ。今のファーマにピッタリな服だと思うぞ。試着してきてみるといい」

「はーい。ちょっと着てくるねー」

 ファーマが陽炎の服を手にして、倉庫内に簡易的に作った試着室に消えていった。

「グレイズさん、このデモンズコートって、私が装備すると魔法の威力が格段に上がる装備でしたよね?」

 ファーマを見送った俺にアウリースが装備に関して質問をしてきていた。

 そっと鑑定スキルを発動させて、アウリースの持つ露出度の高い装備を鑑定する。

「アウリースの言うとおり、その装備品は魔人族が装備すると魔法威力が結構上がるようだな。だが、ちょっと派手なんじゃないか?」

「そ、そうですかね。探索の時しか着ませんし。ホラ、この外のコートを閉めておけば大丈夫ですよ。きっと」

 アウリースの持つデモンズコートは魔人族の魔法のポテンシャルを発揮させるため、コートの中の衣服は魔人族の紋様を妨げることの無いように布地面積が少なめになっているのだ。

 ありていに言えば目のやり場に困る装備とも言える。

「ど、どうしてもアウリースが欲しいというなら止めないが……」

「な、なら、とりあえず試着してみますね」

 恥ずかしそうに顔を赤く染めたアウリースが、ファーマの向かった試着室に消えていった。
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