おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 第十章 飛ばされた先

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「さて、現状は戦士三四名、探索者二二名、回復術士二一名、魔術士二〇名、精霊術士一名、神殿騎士一名、武闘家一名、魔術師一名、狼一名、商人一名の計一〇三名のパーティーね」

 メリーがこの場に居る全ての冒険者のジョブの内訳を読み上げてくれた。

 メラニア捜索に参加して転移に巻き込まれたのは、駆け出しと中堅なり立ての冒険者たちであったため、上級職は俺たちのメンバー以外はいない模様だ。

「先頭は俺が引き受けるとして、最後尾はやはりベテラン冒険者である『おっさんず』に面倒見てもらうしかなさそうだな。回復ポーションの優先度は『おっさんず』が第一にしておこう」

「あたしも父と一緒に後方で頑張りますよ。これでも戦士なんでね。冒険者引退したと思ったら、目標だった深層階に来られるとは、何と言う巡り合わせかしら」

 『おっさんず』と一緒にいたセーラが武器を手にしてやる気を見せていた。回復魔法アレルギーということで、冒険者生活を断念した彼女であるが、冒険者としての実力は中堅レベルくらいあるため、『おっさんず』の足を引っ張ることはないであろうと思われる。

「すまないな。戦闘はさせないって約束だったが、緊急事態だから頼む。回復ポーションは潤沢にあるから、幾らでも使っていいからな。命大事にで行こう」

「はい、ありがとうございます」

「ガハハ、回復ポーション使いたい放題なら、オレらが深層階程度の魔物に後れをとるわけがないだろう」

 父親であるグレイや仲間のモローやデイビスも自分の得物を手にニコリと笑っていた。回復魔法アレルギーさえなければ、Sランク冒険者になれていたと思う三人であるため、最重要な後方に配置するに足る人材であった。

「『おっさんず』とセーラには苦労をかける。けど、魔法の支援は大目に割くつもりだ。そうすれば、かなり戦いやすくなるだろ」

「それが良さそうですね。『おっさんず』さんたちなら、回復ポーションと魔法の援護があれば、何とかなりそうですしね。わたしが魔術士集団を率いましょうか?」

 アウリースが魔術士たちの集団運用を提案してきていた。二〇名以上の魔術士が援護役として集中運用されるのであれば、不意に後ろから大群に襲われても、『おっさんず』と連携して支えることができるだろうと思った。

 最前線には俺がいるため、ある程度の火力を後方に振り分けても、敵を止められるとの算用もあり、アウリースの提案に乗ることにした。

「分かった。アウリースが魔術士たちを率いてくれ、『おっさんず』の援護重視でいいぞ」

「ご命令、承りました。後方は私にお任せください」

「なら、私、回復術士たちを仕切る。軽傷でビビって、魔力の無駄遣いする奴いる。深層ダンジョン、魔力大事」

 アウリースの提案を見ていたカーラが、自分も回復術士たちを仕切ると申し出ていた。

 最近のカーラの状況判断力は、自己中心的さが抜け、持ち前の頭の良さを生かして、神がかっており、パーティーの生命線である回復役を仕切るのにはちょうどいい人材だと思える。

 脱出行は長丁場になる可能性もあるので、自然回復するとはいえ魔力を温存しておくのは、悪い手ではないはずだ。

「よし、カーラには回復術士たちの仕切りを頼む。あとメラニアも一緒に面倒みてくれるとありがたい」

「承知した。冒険者ではないメラニアは一番安全な場所にいた方がいい。その判断、理解した」

「すみません。足手まといで……」

 メラニアがすまなそうに頭を下げているが、召喚魔法が制御できない現状では守るべき存在である。

「なら、私の仕事は戦士と探索者たちの仕切りね。グレイズさんの背中は私が守るわよ。戦士も中堅ランクが前、駆け出しは後ろで長得物を振り回させるわ。探索者たちは遠距離武器だけにさせるつもりよ。深層階だと言っても、近づく前に始末できればどうということはないでしょう? 肉弾戦をなるべきしないでいいように隊列組んでグレイズさんの後ろを進むわ」

 帳面を見ていたメリーが、戦士と探索者たちの仕切りを申し出てくれていた。一部の中堅戦士は後方の『おっさんず』と合流させるつもりだが、魔術士と回復術士を守る盾として彼らにも戦ってもらうつもりであるため、メリーの仕切りはありがたかった。

 俺がファーマとハクを連れ、最前列を進み、敵をある程度殲滅する予定をしているが、数が多ければ、すり抜ける可能性もある。そうした敵に対し、メリーたちが数の優勢を保って、戦いを挑んでくれれば、接近戦に弱い魔法職を守ることができそうだ。

「すまんな。任せていいか?」

「もちろんよ。グレイズさんが本気出すって言ったからには、かなりの困難な脱出行になると思うし、近くで助けてあげたいけどね。でも、グレイズさんが一番何をして欲しいかを考えた結果が、これなんでね。上手く脱出できたら、みんなにチューの一つもくれると頑張れるわ」

 少しおどけながらも、メリーが今の自分のできることで、一番俺がして欲しいと思ったことをやると言ってくれていた。

 無事に全員で地上に戻れたら、常に俺のことを考えて最善を尽くしてくれる仲間に接吻の一つくらいは、してもいいかもしれないなと思えた。

「分かった。無事に地上に戻れたら、考えておこう」

「よし、言質をとったわ。ファーマ、カーラ、アウリース、セーラ、ハク、メラニアも頑張るわよ」

「グレイズさんのチューかぁ! ファーマの頑張るぞー!」

「わふぅう! (チューだなんて。困りますよ。ドキドキしちゃう)」

「よし、頑張る。グレイズのチューは必ずゲット」

「これは頑張らないといけませんね」

「わ、わたくしもですか!?」

「はわわ、グレイズさんの接吻だなんて……あたしどうしよう」

「待て! グレイズ、娘とのチューは許さんぞ!」

 周りで俺たちの様子を見ていた冒険者たちがニヤニヤとしていた。そして、やっかみの言葉がすぐに飛んでくる。

「グレイズさんも嫁が六人もいて大変ですねえ。アツアツ過ぎて、見ているコッチが恥ずかしくなりますよ」

「無事に帰れたら、グレイズさんの嫁とのイチャラブが見られるんですね。こりゃあ、生きて帰って商店街の連中に注進しねえといけねえや」

「おい! お前ら、『嫁』じゃないぞ! 仲間だ! 仲間! それにイチャラブとか言うな!」

 焦った俺の顔を見て、冒険者たちからドッと笑い声が上がる。そこには、これから始まる絶望的な脱出行への恐怖は感じられず、いい意味でみんなの緊張感が抜けているのが感じられた。

 ビクビクと死の恐怖に怯えて行う探索では、精神を病み、発狂して自死を選ぶ者も出かねないので、程よく緊張感を保ちつつ、生きて帰るための目的を設定してやる方が、帰れる可能性が増すだろう。

 そういった意味で、今の俺たちの精神状態は非常に良好だ。このままの雰囲気で行けば、この困難の多そうな脱出行も何とか乗り切れる可能性が高い。

「さて、俺を弄るのはここまでだ。みんな、得物を持て。無事に地上に戻ったら、俺が酒くらいは飲み切れないくらい奢ってやるよ」

「おおぉ! グレイズさん主催の大宴会を勝ち取るぞ! そういえば、メラニアちゃんやメリーさんたちが給仕してくれるんでしたよね。マジでそれ見るまでは死ねないっすよ」

「おまえらぁ!」

 こうして、俺たちは深層階、第二二階層からの脱出を図るべく出口に向けて移動を開始することにした。
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