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第二部 第一二章 発覚
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しばらくして、カーラが回復術士たちとともに痺れ毒を受けた者や短剣の毒を受けた者を回復させている。
短剣を受けた者は一命をとりとめ、痺れ毒を受けた者も大半が動けるように回復していた。
「さて、お前らが何で俺たちを襲ったのか教えてもらおうか?」
すでに気絶させていた黒装束の男たちと冒険者風の男たちは、回復した冒険者たちによって雁字搦めに縛られて身動きが取れないようにされ地面に転がされていた。
ほとんどの者が俺の拳によって装備を破壊され、いずれかの箇所を骨折しうめいているが、自らが行ったことに対する代償のなので自業自得である。
「うう……」
「グレイズさん、こっちの黒装束の男たちが持ってる短剣は王都の暗殺者ギルドが好んで使う短剣っすよ。オレ、王都出身なんでみたことありますから、間違いないっす。こいつら……まさか」
男たちの持っていた特殊な形状の短剣を見ていたジェネシスが、黒装束の男たちの正体を王都の暗殺者ギルドの者だと見抜いていた。
王都の暗殺者ギルドの連中がなんだって、こんな片田舎のブラックミルズのダンジョンにいるんだ……。
ジェネシスから得た情報がサラに俺を混乱させていく。
暗殺者というからには誰かを殺す目的で送り込まれたのだろうと思うが……。ハッ! まさか、メラニアが狙われているのか? いや、だがメラニアは貴族の令嬢とはいえ婚約破棄されてしまった無力な女性に過ぎないぞ。
俺は纏まらない思考で男たちの目的を探る。
「お前らはメラニアを殺しに来たのか?」
「ペッ! 我らが喋ると思うか?」
黒装束の男たちは黙して語らなかったが、縛られた冒険者風の男たちが俺に向かって唾を吐きかけながら口々に悪態をついてくる。
「それにしても冒険者の奴らは見ない顔だな。実力はかなりのものだと思うが、ブラックミルズのやつらではないな。他の街から流れてきて冒険者ギルドを通さずに潜ってた奴らじゃねえか? こいつら」
グレイたち『おっさんず』はブラックミルズの古株冒険者であり、ブラックミルズで彼らが顔を知らない上位冒険者は皆無だと言われている。
『おっさんず』が知らない顔だとすれば、縛られている冒険者風の男たちは言われるようにブラックミルズの外から来た者たちだろう。
「かなりの手練れな冒険者だった。それに対人戦闘にも慣れている節がある男も結構混じっていたぞ」
「そいつらはもしかしたら軍人かもな。暗殺者に冒険者、それに軍人まで混じったこの集団はなんの目的で結託しているのか。ここにいるのはメラニア嬢を除けばド平民ばかりだしな」
「やはり、わたくしを狙ったとみて間違いないのでしょうか……」
メラニアが自らの命を狙われたと知りショックを受けている様子が見て取れた。
婚約破棄をされ、家名を辱められて自暴自棄となりダンジョンに潜ったか弱い貴族の令嬢を過剰なまでに殺そうとする者の存在は……。誰だ……。
思考は混乱に混乱を重ねていたが、ただ一人だけこれらの集団を送り込んだ者の存在を浮かび上がらせてきていた。
「メラニアの命を狙うとなると、婚約者だったアルガド殿が自らの体面を守るため……。いやしかし、そんなことのために俺たちごと殺すなどと……」
「アルガド様がわたくしを……」
すると脇で話を聞いていたジェネシスが、黒装束の男たちから取り上げた毒付きの短剣を手にして、冒険者風の男たちの手を軽く切り裂いていく。
「うぅう!」
「貴様らは余の姉をなぜ殺そうとした。命令者は誰だ。白状せよ。この短剣に塗られておる毒は即効性だと知っておるだろう。貴様らの雇い主が誰かを話せば命だけは助けてやれる。話さなければ死あるのみだ。余はこの毒でほとんどの親類縁者を失ったからな。早く話した方が身のためであるぞ」
それまでの口調を改めたジェネシスが、男たちを冷たい眼で見据え、冷静に尋問を行っている。
姉……だと? ジェネシスはメラニアの弟なのか? さっぱり意味が分からんぞ。
新たに発覚した情報に俺の脳みそが悲鳴を上げている。
「ああぁああぁ……」
毒の短剣で手を軽く切り裂かれた男が口から泡を吐き出し、身体を痙攣させ始めていく。
「ジェネシス! やり過ぎだ。すぐに治療を」
「グレイズさん、これは余の問題である。責任はすべて余が負うからそこで黙って見ていてくれぬか……頼む」
ジェネシスが真剣な表情で俺を見ていた。
そこに陽気で明るい人たらしの駆け出しの冒険者であるジェネシスはおらず、自らの責任で決断を下す一人前の男の顔をしたジェネシスがいた。
その意志の固さに押され、それ以上のことは言えずに口ごもってしまう。
「今一度、貴様らに問う。余の姉であるメラニアを討てと命じた者の名を挙げよ。さすれば命だけは助けてやる」
ジェネシスの本気を感じ取った男たちが息を呑み込むのが見て取れた。
最初に毒の短剣で切られた男がビクンビクンと激しく痙攣し、身体をくねらせ、激しい悲鳴を上げているのを見た他の者がポツリと呟く。
「……ヴィケット様だ……フラマー商会の会頭ヴィケット様に雇われて、そこの女とグレイズを葬れと言われたのだ。報酬は使い切れないほどの巨額な物を提示されている」
呟き出した男が口にした名前には聞き覚えがあった。
ムエルたちを雇いブラックミルズの商店街を潰し闇市を拡大させようと画策した首魁の男の名だ。
そいつはムエルたちが冒険者ギルドに捕まると、ブラックミルズから姿をくらませ行方は分らなくなっていた男でもある。
「俺とメラニアを殺すために送り込まれたのか……。フラマー商会の会頭なら、俺を憎んでいてもおかしくないが、そうなるとメラニアが狙われる意味が分からんぞ」
「確か、わたくしがアルガド様のお屋敷でメイドをしていた時にそのような名前の来客者があったと記憶しております」
メラニアがヴィケットの名に心当たりがあると申し出ていた。
冒険者ギルドのギルドマスターをしているアルガドと、闇市を広げようと画策していたフラマー商会のヴィケットに面識があると知ると、それまでの混乱した思考が整えられ、俺の中で悪い予感が一気に増大していく。
積極的に治安を取り締まるギルドマスター、ブラックミルズの闇市の拡大を狙うフラマー商会、現職ギルド員を廃止しての新治安維持部隊の設立、冒険者ギルドを通さない冒険者たちの存在、メラニアの婚約破棄事件、そして暗殺者を含む多数の冒険者よるダンジョンでの隠蔽工作。
それら全てがアルガドとヴィケットが繋がっているとなると互いの利害関係によって生じた事象だと理解できてしまった。
「ヴィケットとアルガド殿が繋がっているとなると、ブラックミルズはとんでもないことになっているのでは……。それに自分の体面を傷つけられたアルガドがヴィケットに暗殺者を依頼してメラニアを消そうと画策したのも頷ける……。これは一刻も早く地上に戻って情報を集めないと……」
「フラマー商会が絡んでいたなんてね……。平穏だと思っていたのは街中だけだったのかも……」
メリーもフラマー商会の影がチラついていることが分かり、ブラックミルズの周囲で何かが起こっていることを察したのか険しい顔付きをしていた。
短剣を受けた者は一命をとりとめ、痺れ毒を受けた者も大半が動けるように回復していた。
「さて、お前らが何で俺たちを襲ったのか教えてもらおうか?」
すでに気絶させていた黒装束の男たちと冒険者風の男たちは、回復した冒険者たちによって雁字搦めに縛られて身動きが取れないようにされ地面に転がされていた。
ほとんどの者が俺の拳によって装備を破壊され、いずれかの箇所を骨折しうめいているが、自らが行ったことに対する代償のなので自業自得である。
「うう……」
「グレイズさん、こっちの黒装束の男たちが持ってる短剣は王都の暗殺者ギルドが好んで使う短剣っすよ。オレ、王都出身なんでみたことありますから、間違いないっす。こいつら……まさか」
男たちの持っていた特殊な形状の短剣を見ていたジェネシスが、黒装束の男たちの正体を王都の暗殺者ギルドの者だと見抜いていた。
王都の暗殺者ギルドの連中がなんだって、こんな片田舎のブラックミルズのダンジョンにいるんだ……。
ジェネシスから得た情報がサラに俺を混乱させていく。
暗殺者というからには誰かを殺す目的で送り込まれたのだろうと思うが……。ハッ! まさか、メラニアが狙われているのか? いや、だがメラニアは貴族の令嬢とはいえ婚約破棄されてしまった無力な女性に過ぎないぞ。
俺は纏まらない思考で男たちの目的を探る。
「お前らはメラニアを殺しに来たのか?」
「ペッ! 我らが喋ると思うか?」
黒装束の男たちは黙して語らなかったが、縛られた冒険者風の男たちが俺に向かって唾を吐きかけながら口々に悪態をついてくる。
「それにしても冒険者の奴らは見ない顔だな。実力はかなりのものだと思うが、ブラックミルズのやつらではないな。他の街から流れてきて冒険者ギルドを通さずに潜ってた奴らじゃねえか? こいつら」
グレイたち『おっさんず』はブラックミルズの古株冒険者であり、ブラックミルズで彼らが顔を知らない上位冒険者は皆無だと言われている。
『おっさんず』が知らない顔だとすれば、縛られている冒険者風の男たちは言われるようにブラックミルズの外から来た者たちだろう。
「かなりの手練れな冒険者だった。それに対人戦闘にも慣れている節がある男も結構混じっていたぞ」
「そいつらはもしかしたら軍人かもな。暗殺者に冒険者、それに軍人まで混じったこの集団はなんの目的で結託しているのか。ここにいるのはメラニア嬢を除けばド平民ばかりだしな」
「やはり、わたくしを狙ったとみて間違いないのでしょうか……」
メラニアが自らの命を狙われたと知りショックを受けている様子が見て取れた。
婚約破棄をされ、家名を辱められて自暴自棄となりダンジョンに潜ったか弱い貴族の令嬢を過剰なまでに殺そうとする者の存在は……。誰だ……。
思考は混乱に混乱を重ねていたが、ただ一人だけこれらの集団を送り込んだ者の存在を浮かび上がらせてきていた。
「メラニアの命を狙うとなると、婚約者だったアルガド殿が自らの体面を守るため……。いやしかし、そんなことのために俺たちごと殺すなどと……」
「アルガド様がわたくしを……」
すると脇で話を聞いていたジェネシスが、黒装束の男たちから取り上げた毒付きの短剣を手にして、冒険者風の男たちの手を軽く切り裂いていく。
「うぅう!」
「貴様らは余の姉をなぜ殺そうとした。命令者は誰だ。白状せよ。この短剣に塗られておる毒は即効性だと知っておるだろう。貴様らの雇い主が誰かを話せば命だけは助けてやれる。話さなければ死あるのみだ。余はこの毒でほとんどの親類縁者を失ったからな。早く話した方が身のためであるぞ」
それまでの口調を改めたジェネシスが、男たちを冷たい眼で見据え、冷静に尋問を行っている。
姉……だと? ジェネシスはメラニアの弟なのか? さっぱり意味が分からんぞ。
新たに発覚した情報に俺の脳みそが悲鳴を上げている。
「ああぁああぁ……」
毒の短剣で手を軽く切り裂かれた男が口から泡を吐き出し、身体を痙攣させ始めていく。
「ジェネシス! やり過ぎだ。すぐに治療を」
「グレイズさん、これは余の問題である。責任はすべて余が負うからそこで黙って見ていてくれぬか……頼む」
ジェネシスが真剣な表情で俺を見ていた。
そこに陽気で明るい人たらしの駆け出しの冒険者であるジェネシスはおらず、自らの責任で決断を下す一人前の男の顔をしたジェネシスがいた。
その意志の固さに押され、それ以上のことは言えずに口ごもってしまう。
「今一度、貴様らに問う。余の姉であるメラニアを討てと命じた者の名を挙げよ。さすれば命だけは助けてやる」
ジェネシスの本気を感じ取った男たちが息を呑み込むのが見て取れた。
最初に毒の短剣で切られた男がビクンビクンと激しく痙攣し、身体をくねらせ、激しい悲鳴を上げているのを見た他の者がポツリと呟く。
「……ヴィケット様だ……フラマー商会の会頭ヴィケット様に雇われて、そこの女とグレイズを葬れと言われたのだ。報酬は使い切れないほどの巨額な物を提示されている」
呟き出した男が口にした名前には聞き覚えがあった。
ムエルたちを雇いブラックミルズの商店街を潰し闇市を拡大させようと画策した首魁の男の名だ。
そいつはムエルたちが冒険者ギルドに捕まると、ブラックミルズから姿をくらませ行方は分らなくなっていた男でもある。
「俺とメラニアを殺すために送り込まれたのか……。フラマー商会の会頭なら、俺を憎んでいてもおかしくないが、そうなるとメラニアが狙われる意味が分からんぞ」
「確か、わたくしがアルガド様のお屋敷でメイドをしていた時にそのような名前の来客者があったと記憶しております」
メラニアがヴィケットの名に心当たりがあると申し出ていた。
冒険者ギルドのギルドマスターをしているアルガドと、闇市を広げようと画策していたフラマー商会のヴィケットに面識があると知ると、それまでの混乱した思考が整えられ、俺の中で悪い予感が一気に増大していく。
積極的に治安を取り締まるギルドマスター、ブラックミルズの闇市の拡大を狙うフラマー商会、現職ギルド員を廃止しての新治安維持部隊の設立、冒険者ギルドを通さない冒険者たちの存在、メラニアの婚約破棄事件、そして暗殺者を含む多数の冒険者よるダンジョンでの隠蔽工作。
それら全てがアルガドとヴィケットが繋がっているとなると互いの利害関係によって生じた事象だと理解できてしまった。
「ヴィケットとアルガド殿が繋がっているとなると、ブラックミルズはとんでもないことになっているのでは……。それに自分の体面を傷つけられたアルガドがヴィケットに暗殺者を依頼してメラニアを消そうと画策したのも頷ける……。これは一刻も早く地上に戻って情報を集めないと……」
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