おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 第一三章 帰還を阻む者

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 ジェネシスがメラニアの実弟でありこの国の王様であったことが判明したが、王様ではなく一緒に深層階から帰還した『冒険者仲間』として迎えることが決まり喜び合っていた俺たちの背後で悲鳴が上がっていた。

「うごああぁああああああああぁあぁあっ!!!!!」

 声のする方を振り向くと、ランタンの光に薄っすらと映し出されたのは、真紅に染まったローブを目深にかぶった人型が縛られて転がされていた男たちに手をかざしていた。

 ローブから突き出した腕は青白い色をしており、肉がほとんど付いておらず枯れ木のように細い。かざしている手も枯れ枝のように細くて骨ばっているようだ。

「うがうあうううええうううううう!!」

 ローブの人型に手をかざされていた男が断末魔の悲鳴を上げると、身体から青白い光を発したと同時に白骨化して地面に崩れ落ちていった。

「おわっ! 奥の方で何か起きてるみたいだ」

 離れた場所で人が白骨化するところを見た若い冒険者たちが、ざわめき始め、縛られていた男たちが仲間の惨事を見て恐怖に駆られていく。

「嫌だっ!! 俺は死にたくねぇ!! 頼む! 助けてくれ! 頼む」

「お、俺もだ! 頼む、俺たちの縄を解いてくれ! 頼む! 頼むからぁああがっががっ」

 必死で地面をもがいていた男の前にローブの人型が音もなく現れると、さきほどと同じように手をかざしていく。

「嫌だぁあああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

 ローブの人型に喉元を掴まれて持ち上げられた黒装束の男が、俺たちの方を見て絶叫していたが、そのまま身体から青白い光を発したかと思うと白骨と化して地面に骨が転がり落ちていった。

「うわぁあああああ! ひ、人が、ひゃあああ!!」

 人が一気に白骨化するという惨事を目の前で見せられて、若い駆け出しの冒険者たちが恐慌状態に陥り始めていた。

 ダンジョンの奥の暗がりから出てきた真紅のローブを着込んだ人型の姿を見た俺は思わず息を呑んでいた。

 不死王の宮殿ノーライフキングパレスの主にして、ダンジョンの深層階の奥でひっそりと生息しているはずのノーライフキングが目の前にいたからであった。

 常在の場所である不死王の宮殿ノーライフキングパレスの玉座に居なかった主が、この第一〇階層に現れていたのである。

「ノーライフキングっ!! す、すぐに上に退避しろっ!!! 『おっさんず』、みんなを上へ誘導してくれ!!」

「お、おぅ!! 若造ども、こっちだ! 早くしろ! あいつに掴まると魂持ってかれて骨にされちまうぞ!! 急げ!」

 グレイが階段の上に駆け上がり、慌てている駆け出し冒険者たちへ脱出路を指示していく。その姿を見た若い冒険者たちは一斉に階段を駆け上って行った。

「グレイズさん、あの人の手が光ると、ほ、骨になっちゃうよーー」

「ああ、ありゃあ、深層階のボスモンスターのノーライフキングだ。捕まれると生命力を吸われちまって無くなるとああやって骨になる上にな……」

 ファーマと俺の視線の先にあった骨になった元暗殺者の亡骸だったが、骨がカタカタと震えたかと思うと、骸骨が立ち上がって短剣を手にしていた。

「骸骨さんになったー!」

「あのノーライフキング、スケルトン作り出す。それに触れると厄介。強敵」

 縛って転がしていた男たちの魂を次々に吸い尽くし、目の前でスケルトンに変化させていた。

 そのスピードは速く、五〇名ほどいた男たちは瞬く間に魂を吸われ、スケルトンに変化している。

「その方が、妾の庭園を吹き飛ばした不届き者じゃな」

 縛っていた最後の男を持ち上げ魂を吸いながら、俺に対してノーライフキングが話しかけてきていた。すでに最初の時の枯れ木のような腕から、張りと艶のある若々しい腕や指に変化しているのが見えた。

 しかし、相変わらずローブの奥の面相は目深に被っていることもあり、窺い知れないでいた。

 ノーライフキングは、ダンジョンの魔物でも高い知性を持つ魔物であり、普段は常在の場所である不死王の宮殿ノーライフキングパレスの玉座に鎮座して無暗に人を襲わず、挑んできた者だけを相手にしているはずだ。

 が、しかし今回は相手も飢餓状態だったらしく手当たり次第に魂を喰らっていたみたいだ。

 ノーライフキングは屈強な不死の身体を持ち、魔法も極め、寿命すら超越した存在であり、ボスモンスターではあるが攻略せずとも下の階層には降りられるため、ほとんどの冒険者が相手をせずに地下に降りていくのが通例であるが、極稀に自らの身体を維持するため、冒険者の魂を狩り集める遠征に出ることがあった。

 今回、常在の場所に居なかったことで『遠征』しているとは思っていたが、途中で出会うことがなかった。

 なので、振り切ったと思っていたが、どうやら後を追っかけてきていたようだ。

 それに、俺がノーライフキングの管理する庭園を吹き飛ばしたことを知っているとなると、もしかしたら『遠征』は下の階層に出ていたのかも知れない。

 そんなノーライフキングが帰ってきたら、庭園があの惨事であったため、この階層まで追ってきているのかも知れなかった。

「あ、あれは不幸な事故が重なっただけだ。わざとしたわけじゃないぞ」

 俺の言葉を聞いたことで、目深に被った真紅のローブの奥に光る赤い眼の光が強まる。

「言い訳は無用。妾の棲家をめちゃくちゃにした上、配下も随分と減らしてくれたようじゃな。代わりにそなたらを妾の僕として魂を喰ろうてくれるわ」

 ノーライフキングは目深に被っていた真紅のローブを脱ぎ捨てると、尖った耳と銀色の長髪をたなびかせ、肉感的な青白い肌をタイトな革鎧に収めた煽情的な身体を晒していた。

「グレイズさん、女性にモテますけど、ノーライフキングも女性括りですかね?」

 静かな怒りを見せているノーライフキングに対して、アウリースが場違いな感想を述べているのが聞こえてきた。

「そうね。女性型といえば女性型だしねぇ。相変わらずモテるというかなんというか……」

「でも、あの女ダメ。グレイズの魂吸う」

「わふうぅ! (魔物を従えるのはダメですよ。アクセルリオン神に怒られますからね)」

「いや、さすがに俺も魔物までは……って、ふざけている時じゃないぞ。アレは見た目あんなでも深層階のボスモンスターだからなっ! 油断しないようにとりあえず説得はしてみるから、みんなが逃げる時間を稼ぐ援護を頼む」

 援護を依頼すると背後で控えていたカーラが無詠唱に近い速さで支援魔法を発動させていく。

 こうして、俺たちは深層階のボスモンスターであるノーライフキングとの戦いをなし崩し的に始めることになった。


ーーーーーーー

新年あけましておめでとうございます。今年は『おっさん商人』もアルファポリス様より刊行されると思いますので、色々と公開許可がでたら、お知らせしていくつもりです。書籍版発売いたしましたら、何卒よろしくお願いします<m(__)m>
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