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日常編 新生アウトキャスト
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しおりを挟むダンジョンの入り口に到着すると、守衛に行動予定表を出して潜っていくことにした。
「緊張しますね。わたくしはこれから冒険者となるのですね」
ダンジョンの入り口前でメラニアが緊張をした顔をしていた。
前回は死に場所を求めて、ダンジョンの中に入っていたので、色々と思うところがあるのだろう。
「姉上、実はオレも二回目なんすよ。前回はグレイズさんの姉上探索に紛れ込んで冒険者だって言ったけど。実質、これがデビュー戦っす」
「ジェネシス様、無理してお怪我をなされませんように。きちんとグレイズ様のいいつけを守っていきましょうね」
「姉上も無茶はなしですよ」
姉弟ともに冒険者パーティーとしては初めての探索行となるため緊張を隠せないでいる。
「メラニアさんもジェネシスさんも大丈夫だよー。グレイズさんはきちんと教えてくれるからねー。ファーマでもできたんだもん。二人ならきっと大丈夫ー!」
「ファーマの言う通り、グレイズ、知識豊富、経験も多い。冒険者として見習うこと多い男」
「グレイズさんは仲間を見捨てませんからね。もちろん、わたしたちも仲間はどんなことがあっても見捨てませんよ」
「わたしも冒険者になって日が浅いけど、グレイズさんの指導でなんとかやれてるからね。二人が慣れるのも時間の問題よ。ね、グレイズさん」
みんなが緊張している二人を見て、激励の言葉をかけていた。
チームメンバーが新たに加入しての初めての探索なので、あまり無茶をしないでおこうと思っている。
探索に不慣れなメンバーを引き連れてギリギリの探索をすれば、突発事態が起きた時に対応できないことが発生するかもしれないのだ。
安全第一、死なないことが上級冒険者になるために必要なスキルである。
「さて、まずはスライム討伐からいくぞー。ジェネシスが前衛、メラニアはクイーンを使役して援護を頼む。他のメンバーは様子見でいつでも助けられるようにしておいてくれ」
「「「はい」」」
俺たちは装備を確認し終えると、ダンジョンの第一階層に入っていった。
スライムがうにょうにょと不定形の身体を揺らして通路の奥から現れていた。
ダンジョンで最弱の魔物として知られ、駆け出しの冒険者でも滅多に倒されない相手であった。
そんなスライムとジェネシスが戦っている。
ジョブが戦士であるジェネシスは片手剣を右手に、そして王の証である国宝の短剣を左手に持った変則的な剣法を使っていた。
攻撃は片手剣、防御は短剣と役割を分けた二刀流の剣法であるようだ。
「さすがにオレでもスライムくらいはよゆーっすよ。グレイズさん」
「戦闘に集中しろ。どんな冒険者も油断すれば死を招くのがダンジョンだ」
「りょーかいっす」
スライムの攻撃を見切ったジェネシスが片手剣を振るうと、飛びかかってきていたスライムが真っ二つに斬り分けられた。
ジェネシスの剣技は深層階からの脱出時にも何度か目にしていたが、かなりの素質があるようで、ハクが言った通り鍛えればひとかどの冒険者にまで成長しそうだ。
「メラニア―。このスライム食べていいのか? 妾はお腹が空いたのじゃ」
ジェネシスの隣で別のスライムに挑んでいたクイーンがメラニアにスライムの捕食の許可を申し出ていた。
「クイーンちゃん、ダンジョンの魔物食べても大丈夫なの? お腹空いてるなら、わたくしのクッキーを差し上げても」
「ふむ、メラニアのクッキーは欲しいが、妾は半分魔物じゃからな。魔素も補充せねばならぬのじゃ。さすがに人の魂ほど魔素はないが、食わねば力を取り戻せぬからのぅ」
「そういうことなら、お腹を壊さない程度になら食べてくださって結構ですわ」
魔素は大気中に漂っているもので、魔法の発動力になったり、魔力の素としても知られているが、ダンジョン内では魔物たちを再生成するための力としても有名である。
魔素については神の恩寵による力だとか、大自然の力とか、ダンジョン主の発する神への憎悪だとか色々な学者が色々な見解を発表しているが、俺としては人や魔物、動物や木や草などあらゆる生命活動体が発するエネルギーだと思っている。当たっているかは分らんがな。
そんな魔素であるが、ノーライフキングであるクイーンは作り出すより、消耗の方が多いようで人や魔物を捕食して不足分を補充していたようだった。
「なら、遠慮なく食べるのじゃ」
うにょうにょと蠢いていたスライムをクイーンが鷲掴みしたかと思うと、手に燐光が発生し、スライムが蒸発して果てた。
「もの足らぬのぅ。妾が力を取り戻せるまでどれほどかかることか……」
スライム一匹の魔素では全然満たされることはないようで、クイーンは次なる獲物を求めていた。
召喚獣となったクイーンは、メラニアから最低限度の魔力供給を受けているため餓死することはないが力を取り戻すには多くの魔物を捕食して失った魔素を補充していくしかなさそうである。
召喚術士の力は使役する魔物たちの強さに依存するので、クイーンが育てばメラニアは最強の魔物を使役する召喚術士としてかなりの力を発揮するはずであった。
「よし、これで依頼達成だ。二人とも下に潜っても大丈夫だと思う。ゆっくりと一日かけて下に下りていくとしよう」
新たに加入した二人も実力的には脱駆け出しレベルでも大丈夫だと思われるので、キャンプを張りながら一日かけて下のダンジョン販売店に向かって進み、帰りも一日かけてゆっくりと帰ることにした。
「あざっす。オレもゴブリンキングくらいはタイマンで倒せるくらいの男になりたいっすわ」
「妾はもう少し骨のある魔物から魔素を吸収したいぞ」
「ここからは隊列組むからな。前衛はメリー、ファーマ、ハク、クイーンの四人。真ん中を俺とジェネシス。後ろはメラニア、カーラ、アウリースの順番で行くぞ」
俺は隊列の指示を出すと、次なる階層に向けてメンバーたちと進んでいった。
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昨日は年度末の苦行によって執筆作業に時間をさけれずに更新できませんでしたが、本日よりまたよろしくおねがいします。
書籍も各書店様にて絶賛発売中ですのでよろしくお願いします<m(__)m> ご購入して頂けた方にはこの場にて感謝をさせてもらいます。
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