おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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日常編 新生アウトキャスト

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 俺たちが窓口に到着すると、周囲の冒険者たちが息を殺して注視してきていた。

 俺の率いる追放者アウトキャストが、深層階から駆け出し冒険者たちを含んだパーティーを率い、なおかつ冒険者が戦わないことを不文律としていたノーライフキングを撃破して、誰一人死者を出さなかったことが知れ渡っているためだ。

 現状ではただのCランクパーティーではある。

 アルマからはSランクパーティーの打診を受けているが、リーダーである俺自身がギルドマスターも兼任している以上、規定通りの実績を上げてからでないと不平不満の元になりかねないので断っておいてあるのだ。

 ちなみに冒険者ギルドのパーティーランクアップ査定チームは、俺から完全に独立した者を選任するようにアルマには伝えてあるので、関係者が忖度して俺のパーティーを基準に満たないうちに推薦しないように固く通達をしてある。

 そんなわけで、今日はメラニアとジェネシスのフル装備練習も兼ねて、ダンジョン販売店までの往復の間に受けられる依頼を探してもらうことにしていた。

「さて、グレイズさんたちには、第三一階層で確認されたエンシェントドラゴンを……」

 アルマがしれっととんでもない依頼を差し出してきていた。

 第三一階層は現時点でのブラックミルズダンジョンの最高到達階層であり、俺がムエルたちから追放される前の最後の探索で到達した場所でもあった。

 そこにいるエンシェントドラゴンは、はっきり言ってかなり強力な魔物である。

 だが、ノーライフキングを倒せた俺に倒せない敵ではない……。ないのだが、到達するまでが非常に大変であり、駆け出しであるジェネシスやメラニアを連れていく場所ではないのだ。

「チェンジ。俺たちはまだCランクだから、深層階は潜れないぞ。アルマも知ってるだろう」

「知ってますよ。一応、受けてもらえるかもと密かに期待して出してみただけです」

「ドラゴンさんって強いのー? 強いならファーマ戦ってみたいー!」

 ファーマがエンシェントドラゴンに興味を持ったようだが、今の装備で挑めばたとえ天啓子として恵まれたステータスがあったとしても消し炭にされる可能性がある相手である。

「グレイズさん、オレ、エンシェントドラゴンなんて無理っス」

 ジェネシスがカタカタと身体を震わして怯えていた。駆け出しの冒険者である彼にエンシェントドラゴンと戦えと命令するほど、俺も耄碌はしていないので無用な心配であった。

「受けない。大丈夫だ。今日はダンジョン販売店まで補充に行きがてら、低層階で受けられる依頼をこなすつもりだから安心してくれ。探索での役割分担や戦闘での役割分担も実戦をしながら決めていきたいしな。アルマ、低層階で不良案件化している依頼はあるか?」

「ふぅ、残念です。Sランク冒険者の方が減って高難度依頼が溜まっているんですが……。こっちは社会奉仕活動を課せられたSランク冒険者たちに振っておくことにしましょうか。グレイズさんたちは低層階の不良案件化した依頼をご希望ですか……」

 ヴィケットに雇われて闇市に品物を提供するため、他のダンジョン都市から出稼ぎに来ていたSランク冒険者たちは、一年間の社会奉仕探索という刑罰がジェネシスから下っており、彼らもそれを受け入れて冒険者ギルド専属のパーティーとして、色々な依頼に狩りだされている。

 俺に高難度依頼を断られたアルマは台帳をパラパラと見ながら、誰も受けずに不良案件となっている依頼を探し始めていた。

「でも、グレイズさんが打ち出した冒険者支援策で、依頼達成料が増した今は低層階の依頼はほとんどないんですよね」

「え!? マジでか。いつも山のように残ってた低層階の依頼だぞ」

 支援策を打ち出して一週間程度なのに、山積みだった低階層の依頼がごっそりと無くなっているとは思いもしなかった。

「依頼達成料が去年の三割増しの上、鑑定料の無料化まで付いていますからね。駆け出しの子たちは受けられるだけ受けて潜ってますよ」

「でもほら、あるだろ。ゾンビとかスケルトンとかの辺とかさ、いつもの不良案件が」

「ないですね。根こそぎ受注されてます。グレイズさんからも商店街に素材収集依頼の営業を掛けてくださいよ」

「マジか……。そんなことになってたとは」

「とりあえず、低層階で依頼があるのは初心者救済用のスライムのやつしか今はありませんね」

「お、おう。じゃあそれで……頼む」

 俺たちが何の依頼を受けるか注視していた周囲の冒険者からどよめきの声が上がった。

 ノーライフキングを倒した俺たちが、ダンジョンの第一階層にいるスライム討伐の依頼を受けるのが信じられないようだ。

 仕方ないだろ、あると思ってた低層階の依頼が根こそぎ無くなっているとは思わなかったんだ。

「承りました。スライム細胞五個納品をお待ちしてます。お気をつけて行ってきてくださいね」

 アルマが悪戯っぽく笑いながら、台帳に受注者名を書き込んでいった。

「グレイズさんたちはゆるゆると第一階層でスライム討伐してから補充物資持っていくみたいだぞ。一旦先に潜って第一〇階層に戻ってきてもよさそうだ」

「さすがグレイズさんだ。新米二人をしっかりと教育するため、スライム討伐から始めるとは……」

「うちはグレイズさんのパーティーの後ろを付いていくぞ」

 なんだか、冒険者たちは俺のことを持ち上げているが、ただ単に予想していた依頼がなくて、しょうがなく受けただけだぞ。

 メラニアもジェネシスも探索の基本さえマスターすれば、中層階でも対応できる能力は持っていると思われるしな。

 初心者依頼を受けるのは今回だけだ。

 俺は周囲の冒険者から向けられた好奇の視線に恥ずかしさも感じていた。

「さあ、依頼も受けたことだし、ダンジョンに潜ることにしようか」

「「「はい」」」

 俺たち追放者アウトキャストは新たなメンバーを加えての初めての正式な探索を行うべく、街の郊外にあるダンジョンの入口へと向かって冒険者ギルドを後にした。




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 本日『おっさん商人第一巻』出荷日となりました。都内とかの書店には並び始めていると思います。遠方の方は週末、週明けには並ぶと思います。イラストレーター様は犬魔人先生の蒼穹のアルトシエルを担当されている悠久ポン酢さんに担当して頂いております。第一巻では主人公グレイズ他メリー、ファーマ、カーラ、ムエル、ミラ、ローマンというキャラクターをデザインしていだき、挿絵も表紙もバッチリと書き込んで頂いております。中身は書店でお楽しみください(できればレジに持っていってもらえるとありがたいですが)
WEB版のストーリーのままに改稿、加筆も大幅に加えて、書籍版が正式版『おっさん商人』となりますので楽しんでもらえれば幸いです。

皆様のご支援、ご声援のもとで書籍化までたどり着いた作品でありますので、次なるステージである続刊&コミカライズに向け今後とも『おっさん商人』に変わらぬご支援と応援をして頂けると幸いです。

                                    シンギョウ ガク
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