おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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日常編 オフの日

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 昼食後、俺は商店街にある倉庫にメリーを伴って顔を出していた。

「あっ、グレイズさん。お疲れ様です」

「おう、グレイズか。俺たちも今戻ってきたところだ」

 倉庫には交代要員と入れ替わった『おっさんず』とセーラの四人が荷解きをしていた。

 最近は新たに雇った引退中堅冒険者たちと交代で潜るようになり、ダンジョン販売店もほぼ常設の売店になり始めているのだ。

 ただ、鑑定については俺たちが寄った時か、セーラが居る時だけという状態であるため、二人が居ない時は消耗品の販売だけしかしていない。

 それでも、冒険者たちからはダンジョンの補給できるポイントとして重宝がられて、繁盛をしているのであった。

「お疲れさん。そろそろ、帰ってる頃かと思って顔出してみたんだが、ちょうどだったな」

「セーラ、今回はどうだった?」

 メリーが荷解きをしながら、売り上げのまとめをしていたセーラに話しかけていく。

 毎回、セーラたちが帰ってくると、その回の売れ筋をメリーが一緒にチェックして検討会を開いているのだった。

「あいかわらずポーション、水、食料品は単価が低い分、飛ぶように売れますね。完全に第一〇階層を補給ポイントとして活動する冒険者パーティーが増えました。上記の三つは持っていく分は完全にはけてしまいますね」

「物資類は重量物だからねぇ。多少高くてもダンジョン内で補給して、少しでも換金率の高い物を持ち帰るようにしたいって感じね。おっけ、冒険者ギルドのアルマに駆け出し冒険者たちへの依頼として店への物資輸送も出しておくわ。送り込んだ分、売れるなら依頼代を差っ引いても利益が出るしね」

「お願いします。交代要員確保してほぼ常設化したことで、販売量は急増していますから」

 セーラは商売の師匠としてメリーを慕っており、最近ではメリー二世という新たな仇名も囁かれて始めていた。

 持病の回復魔術アレルギーの件もあり、冒険者としては大成できないことがきっかけであったが、本人も商売の楽しさに目覚めているみたいなので自由にやらせている。

「グレイズさんの持ち込みをより重量物である武具に特化してもらった方が、効率がいいかもしれませんね。武具は利幅が大きいですけど動きの軽い商品ではないので、グレイズさんが潜る際に補充してもらうくらいで事足りそうですし」

「そうねぇ。おっさんずならまだしも、高価な武具を冒険者に運搬してもらうわけにもいかないしね」

「俺は武具に特化させてどれだけ重くなっても大丈夫だが、また増やすか?」

「いいえ、そろそろ買い替え需要はひと段落付きそうですので、今までと同じくらいでいいかと。新規パーティーが中堅に育つ頃にまた一波きそうですけど」

 セーラが販売現場での感触を俺たちに伝えてきていた。

 セーラによると中堅冒険者たちの買い替え需要は一段落付いたようで、新規に組み直されたパーティーに組み込まれた駆け出したちがランクアップした頃にもう一度、買い替え需要が生まれると見ていた。

 ブラックミルズの新規冒険者登録数はこの半年でかなり増えており、ほとんどが駆け出しランクの者たちである。

 そのため、装備の買い替え需要の波がくれば、またかなりの武具が捌けると思われた。

「おっけー。じゃあ、ラインナップの値段帯をちょっと下げようかしらね。駆け出しの子たちがギリギリ手が出せそうな装備類を中心に据えていくことにしましょう」

「じゃあ、魔法書のラインナップをワンランクあげてください。装備が整ったことで、魔法職の人たちが魔法のバリエーションを増やし始めていますので」

「あら、そうなの。おっけ、魔法書のラインナップをあげるのね。おばばには頼んでおくわ。中級クラスもいけそう?」

「魔法書について色々と聞かれますので、増やした方が利幅が増えそうな気がします」

 装備がある程度整ったパーティーは、魔法職の魔法を強化し始めているようで、魔法書の需要が増え始めているらしい。

 武具よりも軽くて嵩張らない魔法書は金額も高額で売れれば、かなりの利幅が期待できる商品である。

 中級ともなれば一〇万とか二〇万ウェルはする品物もザラにある高級品であるのだ。

 そんな物が売れるようになってきたということは、冒険者たちの懐がかなり改善され始めているという証拠だろう。

「ダンジョン販売店はこれからもっと売り上げが伸びますよ。私もガンガン売っていきますんで、グレイズさんもガンガン運んでくださいね」

 セーラがニッコリと笑って、俺の仕事を増やしてきた。

 運ぶ量が増えても大した手間ではないので、セーラやメリーに言われるがままに商売の方はお任せすることにした。

 まぁ、俺もジョブは商人なんだが、商才に関しては二人の方がありそうである。

 商人としては独立できなかった雇われ奉公人どまりだった俺なので、親の跡を継いで店を切り盛りしたメリーとダンジョン販売店を切り盛りしているセーラにはかなわない気がしていた。

「おぅ、荷運びは任せておけ」

「グレイズ、そんなこと言うとメリーとセーラに扱き使われるぞ。メリーは元々だが、セーラも意外と人遣いが荒いからな」

「オレらなんて擦り切れるまで扱き使われているんだからな」

「わしらも歳だからなぁ。意外と往復だけでもきつい」

 おっさんずはセーラの護衛兼販売員兼荷物運びもやっているため、かなりくたびれているようだ。

 販売店への往復で月に二〇日くらいはダンジョンに潜っているため、下手をすれば冒険者時代よりも忙しくなっているはずであった。

 その分、売り上げからの歩合給も追加されて彼らの借金も急速に減っているはずだった。

「その分はお給金で補填してると思うけど? 足りないかしら?」

 メリーがおっさんずたちの言葉を聞いてニコリと笑う。

「い、いや。十分すぎるほど貰ってるさ。これ以上はいらないぞ。俺たちはそんなにいっぱい働けないからな」

 メリーの笑みにおっさんずたちがすくみ上る。

 給料がこれ以上あがれば、メリーから更なる仕事を振られると察して予防線を張ったのだろう。

「冗談よ。おっさんずに倒れられたら困るから適度に休みを取ってね。交代要員もまた見繕っておくし、誰か信頼できる冒険者仲間いたら紹介してよね」

 おっさんずはブラックミルズでも古株の冒険者であるため、色々と人脈を持っている人たちだ。

 その人脈を使って、メリーが更なる交代要員を探そうと画策していた。

「ああ、引退間近の奴らで良さそうなのがいたら、声をかけておいてやるよ。この仕事は頑張れば冒険者よりも稼げるからな」

「グレイさんには期待しているわよ。さて、次に持ち込む物を見繕うのは、私とグレイズさんでやるから、セーラとおっさんずはお休みを満喫してね」

 メリーが仕事を終えて戻ってきたセーラとおっさんずたちに休息をするように促した。

 ダンジョンから帰還してほぼ寝てないだろうから、今が疲れのピークに達しているとメリーも察しての声かけだと思われた。

「おう、じゃあ遠慮なく寝させてもらうぜ」

「メリーさん、すみませんけど、あとをお願いします」

「はいはい。任せておいて」

 おっさんずとセーラは荷解きを終えると、倉庫から自宅へと帰っていった。

 その後、残った俺とメリーで明日持ち込む分の荷造りをすることにした。
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