おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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日常編 温泉街

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「さぁ、グレイズさん。ジェネシス君も連れ去られたことだしお背中流しますよ」

 ガラッと扉を開けたのは、メリーだった。

 思わず俺は視線を明後日の方向へ向けていた。

「ば、馬鹿っ! メリー! 入ってくるなよっ!」

「大丈夫、ちゃんと湯浴み着を着てるから。さぁ、みんなもう一回入るわよー」

「違う! 俺が裸だっ! はだか!!」

「わーい、グレイズさん。ファーマがお背中流してあげる―」

「ファーマ、それ私もやる。グレイズの背中半分ずつ洗うと効率がいい」

「あ、あの私も洗うのに入れてもらえますか……。端っこでいいので」

「では、わたくしは髪を洗わせてもらう方に回った方がよろしいでしょうかね。セーラさんもそっちにしておきます?」

「え? ええぇ!? そっちです。グレイズさんの前に回るってことですよね。あ、あたし緊張する」

「み、みなさんっ! ブラックミルズの外に出たからって開放的になり過ぎですよ! 絶対にグレイズさんがへそ曲げますって」

 ガラッと大きく開いたドアから続々と湯浴み着に身を包んだみんなが入ってくる。

「別にいいじゃない。見られて減るものじゃないし、みんなの納得してるんだから」

「俺のは見られると減っていくんだよっ! それ以上、一歩でも近づけば俺は全力ダッシュで逃走するからな」

 いきなりの女性陣の登場に動揺した俺は、彼女たちにそれ以上近づくなと手で制していた。

 ジリジリと距離を詰めていたいたみんなの足が俺の言葉で止まる。

 どうやら、理性が戻って思いとどまってくれたようだ。

 ふぅ、これで何とか何事も起きずにすむ。

 旅先で何か起こしたら、ブラックミルズに帰った時に絶対に街の連中の酒のつまみ話にされちまうからな。

「わふぅうう(往生際の悪い人ですね~)」

 ハクが俺をジト目で見て非難してくるが、おっさんは色々と面倒な人種だということをそろそろ知って欲しい。

「近づくのがダメなら見てるのはいいのね?」

「えー、グレイズさんと入りたいなぁー」

「ファーマ、グレイズ、近づくと怒って逃げる」

「私はグレイズさんの入浴を見てるだけでも十分楽しいですけど」

「わたくしはグレイズ様の指示に従います」

「あ、あたあたしも見てるだけで十分かなー。アハハ」

「見、見る分には問題も起きないでしょうし、これくらいなら……」

 俺が接近を制したため、女性陣がその場に座り込んで、ジッとこちらを見てきていた。

「ちょ! ちょっと待て! そこで見られてたら俺が出れないだろうが」

 女性陣が動く気配を見せなかったので、俺はのぼせる前に行動することにした。

「悪いな。『まだ』混浴は早いと思うんだ」

 俺はそう言うと、浴槽に張られた温泉に向けて掌底を放ち、盛大な水しぶきを噴き上げる。

「「「「「「きゃあっ!!」」」」

 いきなりあがった水煙に女性陣がたちが驚いている間に、俺は全力で更衣室に向けて駆け去り、着替えを手に居室に逃げ込むことにした。


 居室に戻ると、宿の者が夕食を持って来ていたようであった。

「あら? お連れ様と混浴されるのではなかったのですか? 皆様、ずいぶん楽しみにされて行かれましたのに。旦那様が先に出てきてしまっては悲しむのでは?」

 年嵩の店員のようで、夕食の配膳の手元は止めずに口が滑らかに動いていた。

「あー、俺たちはちょっと特殊な事情があってな……」

「ええ、分かりますよ。若い子を何人も嫁に迎えられるとなると、それはもう大変でしょうね」

 だぁあああっ! 完全に勘違いしてる。

 いや、間違ってもいないけど、『まだ』そういう関係ではない。

 彼女たちは大事な『仲間』である。

「ゲフン、ゲフン。彼女たちは大事な人ではあるけど、まだそういった関係ではないんでね」

「あら、随分と殊勝なことで……。殿方がうら若い女性たちに好意を寄せられたら、大概は受け入れてきているのを見てましたので、お客様もそういった方かと思ってましたが……」

 年嵩の店員はズケズケと言いたい放題に言ってくれていた。

 普通の男ならすでに手を出して陥落しているらしいが、俺としては育てたい気持ちの方がまだ強かったのだ。

「あー、だから寝る場所は別室だからな。俺は馬車で寝るんでこっちには女性陣しか寝ないぞ」

「あらあら、お堅い人のようで。あの娘たちも大変だこと。でも、あんまり焦らすと我慢できなくなった娘たちに襲われかねないから気を付けなされ」

 年嵩の店員はクスクスと含み笑いをしつつ、夕食の配膳を終えると居室から出ていった。

 その後、戻ってきた女性陣が心持ちしょんぼりとした表情をしていたので、先ほどの店員のアドバイスを実践するべく、恥ずかしさを押し殺し一人ずつに食事の給仕をしてあげた。

 普段を俺に対して給仕をしてくれたが、今日は逆だったのでみんな照れつつも大いに満足してくれたようであった。

 けれど給仕が終わった後、俺は恥ずかしさのあまり、みんなに『俺は馬車で寝るからっ!』と言い捨てて、即座に逃亡することになった。




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 おっさん商人二巻が今月下旬に発売される予定です。二巻の方も精いっぱい書かせてもらいましたので一巻購入された方、引き続きよろしくお願いします。
一巻まだだよという方いらっしゃいましたら、二巻と同時に買って頂けると大変に助かります。


 また、本日より新作『お前が『パパ』になるんだよっ! ~虐げられた最強勇者は逃亡先の国で愛娘たちと愛妻に囲まれまったり生活満喫します~』を連載開始いたします。召喚された勇者が異世界で同じ日本からきた娘と魔王を養子にして美人嫁もらってまったりと溺愛パパ生活をおくるスローライフ作品です。今のところ40日分ほど連続更新予定となっております。お時間ありました下記リンクよりよろしくお願いします。お気に入り登録していただければ幸いです。
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