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王都編 グレイズ、冒険者ギルドに喧嘩を売る
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「わふぅうう!(グレイズ殿ー。待ってください!)」
みんなの包囲網に危険を感じて逃げ出した俺の後をハクが付いてきていた。
王都の街をハクと二人で宿を目指してブラブラ歩く。
王国一の都市である王都は人も多く、商店が道の両脇に軒を連ねていた。
王国のあらゆる品が集まる場所だと聞いてはいたが、俺の見たことのない物も多数並べられて売られている。
「やっぱ、品ぞろえが違うな……」
「わふぅうう!(王都ですからねー。一番、物が集まる場所ですし、みなさんへの婚約の指輪の材料でも仕入れていきますか?)」
「うっさい、ただでさえ危ない旅なのに、そんな爆弾仕入れたら……」
「わふぅう。(もう、年貢の納め時かと思いますけどねー)」
ハクの言いたいことも分かるし、俺もそろそろみんなの圧力に屈して、『式を挙げるか』っていいそうになるが。
そこは、男として自分が立てた目標をクリアしてからにしておきたいのだ。
そうしないと後の生活で色々と尻に敷かれーー
「わふぅ。(もう、完全にみんなの尻に敷かれてますけどねー)」
「うっさい」
ハクが茶化してくるので、モフリ刑を実行しようとしたが、上手く逃げられた。
じゃれ合っている俺たちの近くを勢いよく馬車が通過してのが見えた―――
「あ、危ないっ!」
誰かが大きな声で叫んだのが聞こえ、声の方に視線を向ける。
すると、馬車の前で子供が固まり轢かれそうになっていた。
咄嗟に身体が動き、一瞬で少女の元に駆け寄ると、片手で馬車を止める。
ガシンッという大きな音を立て、馬車は止まった。
「ふぅ、危なかったな。気を付けないといけないぞ」
「う、うん! おじちゃんありがとう」
「おぅ、怪我ないな」
「うん、大丈夫」
子供の身体を一通り眺めて外傷がないのを確認した。
とりあえず、無事でよかった。
周囲で見ていた人たちも子供の無事を見てホッと安堵していた。
「おじちゃん、ありがとねー」
子供が手を振って駆け去っていった。
「おい、そこの下郎。この馬車を誰の馬車だと思っているのだ!! こんなことしてタダで済むと思うなよっ!」
俺が片手で止めた馬車の御者が衝撃で顔を打ったらしく、鼻血を垂らしていたのが見えた。
緊急だったとはいえ、悪いことをしてしまった。
この場合、一応、トラブルにならんように謝っておいた方がいいよな……。
後でアルマとかメリーから怒られそうな気もするし……。
「す、すまん。緊急事態だったから、咄嗟に馬車を止めてしまった。本当にすまなかった。そうだ! 俺は回復魔法を使えるからーー」
俺が御者の男と話していると、後ろの扉が開いて、巨体を揺らして男が転がり出てきた。
「お、おい!! 何をやっとるのだっ! この無能御者めっ! お前なんかいつでも首にできるんだぞっ!」
「あー、すまん。俺が馬車を急に止めてしまったからな。あんたは怪我してないか?」
転がり出てきた男に対し、怪我の有無を確認する。
すると、巨体の男が顔を真っ赤にして怒り出した。
「お前っ! この私に対し、その口の利き方はなんだっ! 私は冒険者ギルド本店のギルドマスターたるハリアーだと知っての狼藉かっ! こんなことしてどうなるか分かっているだろうなっ!」
巨体の男が口から唾を飛ばしてこちらを罵っていた。
まずい、こいつが俺を呼びつけた冒険者ギルド本部の新しいトップか……。
こんな居丈高な男が巨大組織である冒険者ギルドのトップだと思うと、結構ヤバイのかもしれん。
俺は自分の来訪目的である冒険者ギルドの本部のトップと期せずして出会ったが、その人物に対し憂慮を覚えた。
「おいっ! お前! 聞いてるのかっ! 私は――」
「聞いてるよ。冒険者ギルドの本店のギルドマスターってことは了解した。馬車を無理矢理停めた件は謝る。それに怪我した御者は回復魔法で癒す。これはまず問題ないか?」
俺はなるべく相手を刺激しないようにやんわりと話し合いを進めていく。
こういった相手は経験上、言い返してヒートアップさせないのが得策である。
下手にヒートアップすると思考が斜め上に飛んでいって、話が通じなくなる恐れがあるからだ。
だから、なるべく落ち着いた声音で謝罪と対応をしていた。
「ああっ! 私はそんなことを聞いてるわけじゃないっ! この私は王都で巨大な権勢を握る冒険者ギルドのギルドマスターだと理解してて、それでもなおこのような行為に及んだのかと聞いておるのだっ!」
「仕方ないだろう。子供を助けるためだ」
「ああっん!! 子供を助けるためだと!! そのようなつまらんことで冒険者ギルド本部に向かう私の馬車を停めただと!! お前は何様のつもりだ!」
ハリアーが俺の顔に指を突きつけて激高していた。
やばい、勝手にヒートアップして話が通じなくなりそうだ。
こうなるとこういった輩は面倒臭いことになる……。
「すまなかった。だが、あのまま見過ごすわけには……」
「うるさいっ! 口答えするな! 私が業務就かねば、この王都は立ち行かないのだぞ! お前はその邪魔をした自覚はあるのか!! ああん!?」
巨大組織のトップに就いた男の性格の悪さに、冒険者ギルドという組織の腐敗を感じる。
田舎の支店では感じなかった権力の腐臭が鼻につくな……。
ジェイミーはこんな奴らと話し合いをして色々とやってたのか、ご苦労なこった。
俺はハリアーと話していて頭が痛くなるのを感じていた。
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おっさん商人二巻、好評発売中です。お近くの書店の新刊棚にあるとおもいますので、お買い上げいただければ幸いです。
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「わふぅう。(もう、年貢の納め時かと思いますけどねー)」
ハクの言いたいことも分かるし、俺もそろそろみんなの圧力に屈して、『式を挙げるか』っていいそうになるが。
そこは、男として自分が立てた目標をクリアしてからにしておきたいのだ。
そうしないと後の生活で色々と尻に敷かれーー
「わふぅ。(もう、完全にみんなの尻に敷かれてますけどねー)」
「うっさい」
ハクが茶化してくるので、モフリ刑を実行しようとしたが、上手く逃げられた。
じゃれ合っている俺たちの近くを勢いよく馬車が通過してのが見えた―――
「あ、危ないっ!」
誰かが大きな声で叫んだのが聞こえ、声の方に視線を向ける。
すると、馬車の前で子供が固まり轢かれそうになっていた。
咄嗟に身体が動き、一瞬で少女の元に駆け寄ると、片手で馬車を止める。
ガシンッという大きな音を立て、馬車は止まった。
「ふぅ、危なかったな。気を付けないといけないぞ」
「う、うん! おじちゃんありがとう」
「おぅ、怪我ないな」
「うん、大丈夫」
子供の身体を一通り眺めて外傷がないのを確認した。
とりあえず、無事でよかった。
周囲で見ていた人たちも子供の無事を見てホッと安堵していた。
「おじちゃん、ありがとねー」
子供が手を振って駆け去っていった。
「おい、そこの下郎。この馬車を誰の馬車だと思っているのだ!! こんなことしてタダで済むと思うなよっ!」
俺が片手で止めた馬車の御者が衝撃で顔を打ったらしく、鼻血を垂らしていたのが見えた。
緊急だったとはいえ、悪いことをしてしまった。
この場合、一応、トラブルにならんように謝っておいた方がいいよな……。
後でアルマとかメリーから怒られそうな気もするし……。
「す、すまん。緊急事態だったから、咄嗟に馬車を止めてしまった。本当にすまなかった。そうだ! 俺は回復魔法を使えるからーー」
俺が御者の男と話していると、後ろの扉が開いて、巨体を揺らして男が転がり出てきた。
「お、おい!! 何をやっとるのだっ! この無能御者めっ! お前なんかいつでも首にできるんだぞっ!」
「あー、すまん。俺が馬車を急に止めてしまったからな。あんたは怪我してないか?」
転がり出てきた男に対し、怪我の有無を確認する。
すると、巨体の男が顔を真っ赤にして怒り出した。
「お前っ! この私に対し、その口の利き方はなんだっ! 私は冒険者ギルド本店のギルドマスターたるハリアーだと知っての狼藉かっ! こんなことしてどうなるか分かっているだろうなっ!」
巨体の男が口から唾を飛ばしてこちらを罵っていた。
まずい、こいつが俺を呼びつけた冒険者ギルド本部の新しいトップか……。
こんな居丈高な男が巨大組織である冒険者ギルドのトップだと思うと、結構ヤバイのかもしれん。
俺は自分の来訪目的である冒険者ギルドの本部のトップと期せずして出会ったが、その人物に対し憂慮を覚えた。
「おいっ! お前! 聞いてるのかっ! 私は――」
「聞いてるよ。冒険者ギルドの本店のギルドマスターってことは了解した。馬車を無理矢理停めた件は謝る。それに怪我した御者は回復魔法で癒す。これはまず問題ないか?」
俺はなるべく相手を刺激しないようにやんわりと話し合いを進めていく。
こういった相手は経験上、言い返してヒートアップさせないのが得策である。
下手にヒートアップすると思考が斜め上に飛んでいって、話が通じなくなる恐れがあるからだ。
だから、なるべく落ち着いた声音で謝罪と対応をしていた。
「ああっ! 私はそんなことを聞いてるわけじゃないっ! この私は王都で巨大な権勢を握る冒険者ギルドのギルドマスターだと理解してて、それでもなおこのような行為に及んだのかと聞いておるのだっ!」
「仕方ないだろう。子供を助けるためだ」
「ああっん!! 子供を助けるためだと!! そのようなつまらんことで冒険者ギルド本部に向かう私の馬車を停めただと!! お前は何様のつもりだ!」
ハリアーが俺の顔に指を突きつけて激高していた。
やばい、勝手にヒートアップして話が通じなくなりそうだ。
こうなるとこういった輩は面倒臭いことになる……。
「すまなかった。だが、あのまま見過ごすわけには……」
「うるさいっ! 口答えするな! 私が業務就かねば、この王都は立ち行かないのだぞ! お前はその邪魔をした自覚はあるのか!! ああん!?」
巨大組織のトップに就いた男の性格の悪さに、冒険者ギルドという組織の腐敗を感じる。
田舎の支店では感じなかった権力の腐臭が鼻につくな……。
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