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最終章 そして、伝説へ
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魔物が溢れだしたの報告をブラックミルズの冒険者ギルドから受け、俺たちはすぐにブラックミルズに帰還するため、来た道を、馬車を飛ばして戻っていた。
だが、王都に続く本街道と言えども夜は真っ暗であり、馬車を走らせるのは危険であり、野営する準備を始めていた。
その間にも色々と情報が入ってきており、メンバーたちを集めて情報の共有をすることにしていたのだ。
「ヨシュア、集まった情報の報告を頼む」
「はい、現在までに判明している情報はロザーヌ地方で五年ほど前に新たに発見された『絶望都市』より魔物が多数溢れ出してきているとのことです」
最近になり、ロザーヌ地方にあるブラックミルズの近隣で発見された都市型の新規ダンジョンは『絶望都市』と呼ばれていた。
名付けの理由はでき立てということで、ダンジョンの層も浅く、通常のダンジョンより凶悪な魔物が多く徘徊しており、普通の冒険者は探索を禁じれている。
そんなダンジョンを探索するのは、犯罪行為を起こし、探索奴隷に落とされた者たちが粗末の武器と防具を身に着けて探索をしているため、彼らが日々の探索に『絶望する都市』として『絶望都市』の名が定着したらしい。
「それで、『絶望都市』からどれくらいの数が魔物があふれ出して来ているんだ」
「総数は不明! ただ、ブラックミルズ以外の近隣の冒険者ギルドにも、『絶望都市』周辺の村々からの救援依頼が多数寄せられているようです。相当な広範囲での魔物流出が起こっていると推察されます」
情報収集を担当しているヨシュアが、冒険者ギルドネットワークと各地にいるヒッグス・マイヤーの駐在員ネットワークを使い色々な情報を集めてくれていたが、詳細が中々掴めなかった。
「今回の規模での魔物流出は今まで一度もなかった事態で、冒険者ギルドもかなり困惑しているようです。今のところあふれ出して来ている魔物がそれほど強力でないため、冒険者たちが撃退しているそうですが、村ごと自主避難するところも出始めました」
「人的な被害が出る前に避難するところが出てきたか……。街道にも溢れ出しているんだろう?」
「はい、ブラックミルズへの枝街道だけでなく、ロザーヌ地方から王都への本街道にも魔物が溢れ出してきており、物流に遅滞が生じ始め、護衛依頼も冒険者ギルドへ殺到してきているそうです」
街道まであふれ出して来ているのか……地上に魔物が溢れるなんてことは、今までなかったとは言わないが、数が多すぎるぞ。
「グレイズさん、これ本格的にやべーやつですね。王国軍も動員した方がよさそうな案件っすか」
「多分な……何か嫌な予感がする。ダンジョンから魔物が溢れることはあったが、これほどの規模は備えておいた方がいい」
「了解っす。ヨシュア、余からの命令としてサイアスに王国軍招集して、街道防衛にあたるように指示を出しておいてくれ。命令書はすぐに書く」
「はは、承知」
そう言うとジェネシスは自分の乗ってきた馬車に引き返していった。
ジェネシスも王様ということで、今回の件は非常に被害を心配しているようだ。
「グレイズさん、他のダンジョン都市の冒険者にも救援依頼を受けるように、ギルドマスターさんたちを通じてお願いをした方がいいかもしれません。ヨシュアさんが持って来てくれた情報だと、ブラックミルズを含むロザーヌ地方の冒険者ギルドの所属冒険者だけでは捌き切れない量の依頼数にのぼってます」
アルマが、ヨシュアたちモーラッド一族の健脚たちが問題の地域から集めてきた資料を読んで、青ざめた顔をして他の地方からの救援を受けるべきだと提案していた。
すでに依頼数が冒険者たちの数を超えているとなれば、そっちも動いてもらった方がいいか……。
「ああ、了解した。アルマ、ロザーヌ地方以外の冒険者ギルドマスター宛に俺から冒険者の派遣依頼を出す書簡を書く。派遣数の見積もりを出してくれ」
「了解です。すぐに出します」
アルマも資料を手に取ると、馬車の中に戻っていった。
「グレイズ様、絶望都市の周辺の村々には領主からの下知として避難勧告を出しますね。避難後の保証は我が家で賄いますがよろしいでしょうか?」
ヨシュアの報告を真剣な顔で見ていたメラニアであったが、大惨事が起きる前に少しでも予防しようと決断をしたようだ。
俺としても、人的な被害が予見できるので、メラニアの判断に文句は一切ない。
「ああ、それでいい避難対象地域は冒険者ギルド側との兼ね合いがあるから、アルマと折衝してくれ。避難者は冒険者多数いるダンジョン都市に逃げ込むように指示を出してくれると助かる」
「承知いたしました」
メラニアもアルマが消えた馬車に中に入っていく。
「それにしても、なんで急に魔物があふれ出したのかしら、あそこの『絶望都市』は探索奴隷だけじゃなく、王国軍の兵士も一部駐屯してたはずよね?」
「エルフの古い文献で読んだことある。ダンジョン主が階層を深くする前に何らかの形で強さを獲得すると、稀に大量の魔物を発生させ外の世界にまで溢れ出させると書いてあった」
「だったら、今回はダンジョン主さんが急に強くなっちゃんじゃないかなー。何かおいしいものでも食べたのかな」
「わふうぅ(ファーマちゃん、ダンジョン主はご飯食べないですからっ! 急に強くなる要因としては、他の神器の所有者を取り込んだ可能性が……)」
夕食の準備をしてくれていたメリーたちの会話が耳に入ってくる。
ハクが今回の事態を引き起こしたであろう、原因の一つを喋ってた。
ダンジョン主が他の神器の所有者を取り込むだと……そうか、いつぞやにハクが神器の所有者がダンジョン主を討伐すれば、力が増えると言っていたが……逆のパターンもあり得るのか。
「ハク、その話は本当か?」
「わ、わうふ(え? あ、はい。アクセルリオン神からそう聞いてますし……これまでに何度もダンジョン主と神器の所有者の争いを見てましたからねー。ただ、今回みたいなパターンは極めて稀な状態だと思いますが)」
「そうか……原因がわかっただけでもありがたい」
俺以外にも神器の所有者はいるとは思っていたが……。
その神器の所有者が、出来たてのダンジョン主討伐に色気を出して返り討ちにあったというのが一番しっくりと来そうだな……。
俺の持つ超越者の腕輪はアクセルリオン神の最高傑作という触れ込みだが、他の神器がどれほどの力を持っているかは知らないが……新たな力を求めたゆえに命を失うことになったのは残念だ。
「原因はダンジョン主の予定外のパワーアップみたいだけど、魔物が溢れたのは開放型の都市ダンジョンだったのが影響してるかも。簡易的な監獄でもあったから、脱走防止用に木の塀で囲われてたはずだけど……」
「都市型ダンジョンは、洞窟型ダンジョンと違って下に階層が増えることなく年々廃墟の領域を増やして広がっていくタイプだしな……。外に溢れ出したということは、すでに監獄は陥落していると思うしかないな……」
状況は一刻を争う事態に陥っているが、慌てて戻り、状況把握も体制も整わないままでの討伐は危険を伴いかねない。
冷静に状況を把握しつつ、体制を整え、なるべく被害を抑えて原因となっている絶望都市へのダンジョンアタックを考えなければな……。
「ふぅ、これから忙しくなると思うから、寝られるうちは寝ておいた方がよさそうだ」
「了解ー! その前にちゃんと腹ごしらえしないとねー。ファーマがとびっきりおいしいご飯作るねー」
「ファーマ、私も手伝う」
そう言ってくれたファーマがカーラと一緒に夜の食事を作り始めていた。
ただ時間が流れていくのがもどかしいが、焦ったところで状況が好転するとも思えず、冷静に流出した魔物を抑え込むための体制づくりを進めていくしかない。
まずは、流出した魔物を絶望都市まで押し返すのが先決だな。
ダンジョン主討伐に関してはそのあと考えても遅くはないだろう。
俺はそう判断すると、他の地方のギルドマスターに協力を呼びかけるための書簡を書き、カーラとファーマが作ってくれた飯を食うと、睡眠を取ることにした。
ーーーーーーーーーーーーー
この章で最終章となりますので、応援のほどよろしくお願いします。
このところ、嫁たちと義弟にいいようにされていたグレイズさんですが、きっとかっこよく締めてくれるはずなので作者も期待しているところです。
だが、王都に続く本街道と言えども夜は真っ暗であり、馬車を走らせるのは危険であり、野営する準備を始めていた。
その間にも色々と情報が入ってきており、メンバーたちを集めて情報の共有をすることにしていたのだ。
「ヨシュア、集まった情報の報告を頼む」
「はい、現在までに判明している情報はロザーヌ地方で五年ほど前に新たに発見された『絶望都市』より魔物が多数溢れ出してきているとのことです」
最近になり、ロザーヌ地方にあるブラックミルズの近隣で発見された都市型の新規ダンジョンは『絶望都市』と呼ばれていた。
名付けの理由はでき立てということで、ダンジョンの層も浅く、通常のダンジョンより凶悪な魔物が多く徘徊しており、普通の冒険者は探索を禁じれている。
そんなダンジョンを探索するのは、犯罪行為を起こし、探索奴隷に落とされた者たちが粗末の武器と防具を身に着けて探索をしているため、彼らが日々の探索に『絶望する都市』として『絶望都市』の名が定着したらしい。
「それで、『絶望都市』からどれくらいの数が魔物があふれ出して来ているんだ」
「総数は不明! ただ、ブラックミルズ以外の近隣の冒険者ギルドにも、『絶望都市』周辺の村々からの救援依頼が多数寄せられているようです。相当な広範囲での魔物流出が起こっていると推察されます」
情報収集を担当しているヨシュアが、冒険者ギルドネットワークと各地にいるヒッグス・マイヤーの駐在員ネットワークを使い色々な情報を集めてくれていたが、詳細が中々掴めなかった。
「今回の規模での魔物流出は今まで一度もなかった事態で、冒険者ギルドもかなり困惑しているようです。今のところあふれ出して来ている魔物がそれほど強力でないため、冒険者たちが撃退しているそうですが、村ごと自主避難するところも出始めました」
「人的な被害が出る前に避難するところが出てきたか……。街道にも溢れ出しているんだろう?」
「はい、ブラックミルズへの枝街道だけでなく、ロザーヌ地方から王都への本街道にも魔物が溢れ出してきており、物流に遅滞が生じ始め、護衛依頼も冒険者ギルドへ殺到してきているそうです」
街道まであふれ出して来ているのか……地上に魔物が溢れるなんてことは、今までなかったとは言わないが、数が多すぎるぞ。
「グレイズさん、これ本格的にやべーやつですね。王国軍も動員した方がよさそうな案件っすか」
「多分な……何か嫌な予感がする。ダンジョンから魔物が溢れることはあったが、これほどの規模は備えておいた方がいい」
「了解っす。ヨシュア、余からの命令としてサイアスに王国軍招集して、街道防衛にあたるように指示を出しておいてくれ。命令書はすぐに書く」
「はは、承知」
そう言うとジェネシスは自分の乗ってきた馬車に引き返していった。
ジェネシスも王様ということで、今回の件は非常に被害を心配しているようだ。
「グレイズさん、他のダンジョン都市の冒険者にも救援依頼を受けるように、ギルドマスターさんたちを通じてお願いをした方がいいかもしれません。ヨシュアさんが持って来てくれた情報だと、ブラックミルズを含むロザーヌ地方の冒険者ギルドの所属冒険者だけでは捌き切れない量の依頼数にのぼってます」
アルマが、ヨシュアたちモーラッド一族の健脚たちが問題の地域から集めてきた資料を読んで、青ざめた顔をして他の地方からの救援を受けるべきだと提案していた。
すでに依頼数が冒険者たちの数を超えているとなれば、そっちも動いてもらった方がいいか……。
「ああ、了解した。アルマ、ロザーヌ地方以外の冒険者ギルドマスター宛に俺から冒険者の派遣依頼を出す書簡を書く。派遣数の見積もりを出してくれ」
「了解です。すぐに出します」
アルマも資料を手に取ると、馬車の中に戻っていった。
「グレイズ様、絶望都市の周辺の村々には領主からの下知として避難勧告を出しますね。避難後の保証は我が家で賄いますがよろしいでしょうか?」
ヨシュアの報告を真剣な顔で見ていたメラニアであったが、大惨事が起きる前に少しでも予防しようと決断をしたようだ。
俺としても、人的な被害が予見できるので、メラニアの判断に文句は一切ない。
「ああ、それでいい避難対象地域は冒険者ギルド側との兼ね合いがあるから、アルマと折衝してくれ。避難者は冒険者多数いるダンジョン都市に逃げ込むように指示を出してくれると助かる」
「承知いたしました」
メラニアもアルマが消えた馬車に中に入っていく。
「それにしても、なんで急に魔物があふれ出したのかしら、あそこの『絶望都市』は探索奴隷だけじゃなく、王国軍の兵士も一部駐屯してたはずよね?」
「エルフの古い文献で読んだことある。ダンジョン主が階層を深くする前に何らかの形で強さを獲得すると、稀に大量の魔物を発生させ外の世界にまで溢れ出させると書いてあった」
「だったら、今回はダンジョン主さんが急に強くなっちゃんじゃないかなー。何かおいしいものでも食べたのかな」
「わふうぅ(ファーマちゃん、ダンジョン主はご飯食べないですからっ! 急に強くなる要因としては、他の神器の所有者を取り込んだ可能性が……)」
夕食の準備をしてくれていたメリーたちの会話が耳に入ってくる。
ハクが今回の事態を引き起こしたであろう、原因の一つを喋ってた。
ダンジョン主が他の神器の所有者を取り込むだと……そうか、いつぞやにハクが神器の所有者がダンジョン主を討伐すれば、力が増えると言っていたが……逆のパターンもあり得るのか。
「ハク、その話は本当か?」
「わ、わうふ(え? あ、はい。アクセルリオン神からそう聞いてますし……これまでに何度もダンジョン主と神器の所有者の争いを見てましたからねー。ただ、今回みたいなパターンは極めて稀な状態だと思いますが)」
「そうか……原因がわかっただけでもありがたい」
俺以外にも神器の所有者はいるとは思っていたが……。
その神器の所有者が、出来たてのダンジョン主討伐に色気を出して返り討ちにあったというのが一番しっくりと来そうだな……。
俺の持つ超越者の腕輪はアクセルリオン神の最高傑作という触れ込みだが、他の神器がどれほどの力を持っているかは知らないが……新たな力を求めたゆえに命を失うことになったのは残念だ。
「原因はダンジョン主の予定外のパワーアップみたいだけど、魔物が溢れたのは開放型の都市ダンジョンだったのが影響してるかも。簡易的な監獄でもあったから、脱走防止用に木の塀で囲われてたはずだけど……」
「都市型ダンジョンは、洞窟型ダンジョンと違って下に階層が増えることなく年々廃墟の領域を増やして広がっていくタイプだしな……。外に溢れ出したということは、すでに監獄は陥落していると思うしかないな……」
状況は一刻を争う事態に陥っているが、慌てて戻り、状況把握も体制も整わないままでの討伐は危険を伴いかねない。
冷静に状況を把握しつつ、体制を整え、なるべく被害を抑えて原因となっている絶望都市へのダンジョンアタックを考えなければな……。
「ふぅ、これから忙しくなると思うから、寝られるうちは寝ておいた方がよさそうだ」
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「ファーマ、私も手伝う」
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ただ時間が流れていくのがもどかしいが、焦ったところで状況が好転するとも思えず、冷静に流出した魔物を抑え込むための体制づくりを進めていくしかない。
まずは、流出した魔物を絶望都市まで押し返すのが先決だな。
ダンジョン主討伐に関してはそのあと考えても遅くはないだろう。
俺はそう判断すると、他の地方のギルドマスターに協力を呼びかけるための書簡を書き、カーラとファーマが作ってくれた飯を食うと、睡眠を取ることにした。
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この章で最終章となりますので、応援のほどよろしくお願いします。
このところ、嫁たちと義弟にいいようにされていたグレイズさんですが、きっとかっこよく締めてくれるはずなので作者も期待しているところです。
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