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あの日の真実
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しおりを挟む「ここまで話したのにまだ疑うのか?いいから俺を早く逮捕しろよ!そうしたかったんだろ!?」
まるで、自分を罰してほしいと懇願しているように膳の叫びが響き渡った。
長年の刑事としての勘が、その叫びを拒絶した。
「部下に過去の資料を調べさせたんだ」
蒼介はゆっくりと口を開いた。その声は、あまりにも静かで、膳は息を呑んだ。
「事故当時、現場には確かにトラックのブレーキ痕があった。衝突した跡もあった」
膳の体が、わずかに揺れた。
「だが──」
蒼介は一度、言葉を切った。その間が、膳の心臓を締め付ける。
「人が轢かれたような痕跡は見当たらなかった。」
膳の顔から、血の気が引いていく。その変化を、蒼介は見逃さなかった。
「当時は事故として処理された。それは、意識が戻った後の美奈子の証言があったからだ。そして何より、雨が降っていて証拠が流れた可能性もあった」
蒼介は窓の外を見た。あの日と同じように、今日も雨が降り始めていた。
「それは……」
膳が何か言いかけて、口を閉ざした。
「血痕は路面に染み込む。衣服の繊維は、タイヤの溝に残る。人体を轢けば、タイヤの跡だって独特の形状が残るはずだ」
蒼介の声が、少しずつ重みを増していく。
「でも、何もなかった。まるで、そこで事故が起きなかったかのように」
膳は黙ったまま、床を見つめていた。その肩が、小刻みに震えている。
「つまり__美奈子はあの場所で轢かれたんじゃない」
蒼介の言葉が、静かに落ちた。
「別の場所で轢かれて、あの現場に運ばれたんじゃないか」
「お前一人じゃ、無理だ」
蒼介の声には、確信があった。
「美奈子を別の場所から運ぶ。トラックで偽装工作をする。証拠を消す。それを、お前一人でやるには時間が足りなさすぎる」
膳の呼吸が、荒くなっていく。
「事故が発見されたのは、深夜一時過ぎ。通報したのは通りがかりの通行人だった」
蒼介は、ゆっくりと膳に近づいた。
「でも、お前が自宅を出たのは午後十二時半頃だと言った。自宅から旧道までは1時間かからない。」
「俺は……必死だったんだ」
膳の声は、かすれていた。
「必死なら、なんだ?」
蒼介の問いかけは、容赦なかった。
「お前が25年間隠してきたのは」
蒼介の声が、鋭さを増した。
「叔父ではない、本当の共犯者」
「いない!」
膳が叫んだ。その声には、何かを守ろうとする必死さが溢れていた。
「俺一人だ!俺だけだ!」
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