その愛、運命につき

yuzu

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 晴天の霹靂。

 病める時も、健やかなる時も……と、ついさっき教会で誓い合ったばかりだったのに。

「やだぁ、お姉さまったら。覗きの趣味がおありなんですね。」

 くすくすと私を嘲るように笑う妹のミシェル……と、ミシェルの上に下半身を晒してまたがったまま、岩のごとく固まる夫のケルン。

 床に脱ぎ捨てられた夫のパンツを震える手で握った私は、床をどすどすと鳴らし歩き、大きく息を吸い込んだ。

「あの……ソフィー?これには訳が……」

「この……×××野郎ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 言い訳をする夫の口の中に、握りしめたパンツを思いっきり詰め込んで叫び声をあげると、その声を聞きつけて両親が新郎控室に駆け込んできた。

「何事なのです!?」
「これから披露宴だというのに、どうしたんだ!?」

 いいながら、二人の目はミシェル達を捉えて呆然とした。

「これは婿殿……一体」

 ズボンを身に着けながら慌てるケルンを指さし、両親に向けて悲痛な声で叫んだ。

「ミシェルが夫を誘惑したんだわ。いつだってそう、ミシェルは私のものをなんだって欲しがって……」
「ミシェル、本当なの?」

 その場にいる全員の視線がミシェルに集まると、ミシェルはなんの悪びれもなく言い放った。

「アデルーン子爵家って、あの広大な領地にある大邸宅のほかに、いくつも都会に別荘をお持ちなんですって。皇太子殿下ともお友達だとか。お姉さまにはもったいないご縁談かなって。それに、ケルンはお姉さまより私の方が好きだっていったもの。」

「ミシェルがいいならそうなさい。」
「かわいい娘のためだ。いいだろう。この婚姻を認める。」
「ありがとうございます!ベンフィード男爵!」

 両親はミシェルを𠮟りつけるどころか、二人のことを認めてしまった。
 私の夫となった人だというのに……。

「どうして……どうしてお母さまもお父様も、いつもミシェルの味方なの。私だってあなたたちの娘なのに!」

 その一言に、場の空気は凍り付いた。
 汚いものをみるような目で振り返る両親、ミシェルが高笑いした。

「きゃはははは。お姉さまったら、私とお姉さまが同じ扱いをしてもらえて当然みたい思っていらしたの?笑える冗談ですわね♡」
「なにがおかしいの?!」
「ミシェルが教えて差し上げる♡子供をなかなか授かれなかったお母さまは、商人からお姉様を買ったの。けれど、翌年にお母様は妊娠。私が産まれて、お姉様は用済みみなったのだけれど、情けで置いてあげたんですって♡あー…かわいそうなお姉様♡」

 ミシェルの話を信じられずに両親を一瞥すると、どうやらその話は本当のようだった。
 「置いてやっただけ感謝して欲しい」とでも言いたげに鼻を鳴らした。

「だから……だからいつも、私の話を聞いてくれなかったんだ。」

 つぶやいた声は誰に拾われることもなく、空気に溶けた。
 
 
 
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