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25 山育ち、アーシア殿と再開する
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いきなり運営から呼び出しとは。
別におかしな事は何もしていないと思うのだが。
ああいや、おかしな事は結構しているが。、
問題になるようなことはないと思うのだが。
加護薬の件なら、シオリ殿も同時に呼ばれるのが可笑しいし。
そもそも、呼び出しの言葉遣いは非常に丁寧だった。
客人を招待するような物言いだ。
ソラ殿にも見せたが、おそらく悪いことではないだろうということ。
ただあのひとは何を考えているかわからないからな。
一応、警戒はしておこう。
「シオリ殿は、今回の呼び出しが何なのか聞いているか?」
「いいえ、でも私の場合差出人が知人だったから、何かを咎められるとかはないとおもう」
シオリ殿とは、メッセージを通してそんな話をした。
いやはやこのメッセージという代物は、遠くにいてもやりとりができるのが素晴らしいな。
相手の声を聞けないというのが少しもったいないと思うが。
たしか、電話とかいうやつなら声もやり取りできるのだったか?
シオリ殿に限らず、俺とやり取りする相手――ソラ殿とスラ子だ――はやり取りがメッセージで十分なことが多いので、電話というやつをした経験は今のところない。
配信が一番近いのだろうか。
さて、指定された日時である週末の土曜。
俺達は東地区中央ダンジョンへ集まっていた。
本来ならばシオリ殿と第五階層へ潜る予定だったのだが。
いやまぁ、内容次第ではそのまま第五階層へいいか。
とにかく、まずは話を聞くとしよう。
運営のお姉さん――いつもお世話になっている人だ――に声をかけて事務所の中へ入る。
そこには――
「あら、早かったわね」
「シオリ殿の方が早かったようだが」
「私は……自分で言うのも何だけど、せっかちなのよ」
シオリ殿がすでに待っていた。
予定されていた時間まではまだ数十分以上あるのだが。
まぁ、二人で話をしていればすぐに時間は過ぎるか。
「とりあえず、第四階層突破おめでとう。速いペースね」
「転移先の直ぐ側に入口があってな、運が良かったのだ」
「ああ、たまにあるわね」
まずは第四階層突破を祝福される。
「それで、第五階層の踏破はどうする?」
「この後時間があれば、そのまま行ってしまおうと思うのだが」
「どうかしらねー。午前中の呼び出しだから、こっちの予定も加味してくれているとは思うけれど」
そして次は第五階層踏破の話だ。
第五階層にはダンジョン部分とボス部屋があり、ボス部屋の前には転移陣がある。
なのでボス部屋前に到達すれば、ボス部屋にはいつでも挑戦できる。
今日一日ふたりともフリーだから、最悪そこまでやってしまえばいいだろうという話になった。
マップさえ解れば一時間か二時間程度で踏破できるのがダンジョンだからな。
と、その時である。
二人で待たされていた部屋の扉がノックされた。
どうぞ、とシオリ殿が促すと――
「やぁ、待たせてしまったかな」
現れたのは――なんと、驚くことにアーシア殿だった。
シオリ殿は驚いた様子を見せていない。
どうやら、シオリ殿の言う「知り合い」とはアーシア殿のことらしい。
「時間ぴったりよ、貴方らしいわね。アーシア」
「いや何、私は品行方正だからね。時間はきっちり守るタイプなのさ」
「こいつ……」
何やら、シオリ殿はアーシア殿に言いたいことがあるようだが、それをシオリ殿は飲み込んだらしい。
まぁ、こっちを見定める視線からして言えることだが、明らかに品行方正というタイプではない。
ソラ殿にも言えることだが、こういう胡散臭いタイプは相手に隙を見せないものだ。
時間ぴったりにやってくるのも、品行方正だからというわけではなく、相手に自分の意図を見せないためだろう。
……まぁ、これは婆ちゃんの受け売りというか、婆ちゃんのソラ殿に対する評価なんだが。
「そして、コウジくん! 久しぶりだねぇ!」
「久しぶりです、アーシア殿」
「殿なんて、他人行儀な物言いはよしてくれよ。気軽にアーシアお姉さんと読んでもいいんだよ?」
「では、アーシア殿」
「んー!」
隣で、シオリ殿が吹き出していた。
俺が冗談を言うのが、珍しかったかららしい。
まぁ自分でも珍しいことをしていると思うが。
こういう手合には、多少冗談を言ったほうが向こうも気を良くするとソラ殿で知っている。
「いや、とにかく。二人の活躍は私も見ているよ。シオリは悪かったね」
「ほんとよ、あなたのせいで危うくロストするところだったんだ」
「でも、私はコウジくんがいることを知っていた。結果的にはふたりとも助かったんだからよかっただろ?」
「それは……」
「失礼、お二人は何の話をしているので?」
ああ、とシオリ殿が気付いた様子で言う。
「ごめんなさい、実をいうと貴方のことは暴走前から知っていたの」
「なんと?」
曰く、アーシア殿とシオリ殿は知己である。
そしてその繋がりで、シオリ殿はアーシア殿から俺に関して気にかけるよう頼まれた、と。
「いやそれは……お手数おかけする」
「いやいやこっちこそ、完全に頭からすっぽ抜けてて、説明するの忘れてたわ。ごめんなさい」
正直、原因は俺が加護薬を飲まなかったことだろうから、俺は何も言えない。
シオリ殿も、説明を忘れたと気にしているようだが、そこは仕方のないことだろう。
さて。
「じゃあ顔合わせも終わったことだし、本題に入っていいかな?」
「っと、わかったわ」
「ああ」
果たして、一体何の話が始まるのか。
疑問に思ったところに――
「二人に、ダンジョンを救ってほしいんだ」
とんでもなくよくわからない話が、飛んできた。
別におかしな事は何もしていないと思うのだが。
ああいや、おかしな事は結構しているが。、
問題になるようなことはないと思うのだが。
加護薬の件なら、シオリ殿も同時に呼ばれるのが可笑しいし。
そもそも、呼び出しの言葉遣いは非常に丁寧だった。
客人を招待するような物言いだ。
ソラ殿にも見せたが、おそらく悪いことではないだろうということ。
ただあのひとは何を考えているかわからないからな。
一応、警戒はしておこう。
「シオリ殿は、今回の呼び出しが何なのか聞いているか?」
「いいえ、でも私の場合差出人が知人だったから、何かを咎められるとかはないとおもう」
シオリ殿とは、メッセージを通してそんな話をした。
いやはやこのメッセージという代物は、遠くにいてもやりとりができるのが素晴らしいな。
相手の声を聞けないというのが少しもったいないと思うが。
たしか、電話とかいうやつなら声もやり取りできるのだったか?
シオリ殿に限らず、俺とやり取りする相手――ソラ殿とスラ子だ――はやり取りがメッセージで十分なことが多いので、電話というやつをした経験は今のところない。
配信が一番近いのだろうか。
さて、指定された日時である週末の土曜。
俺達は東地区中央ダンジョンへ集まっていた。
本来ならばシオリ殿と第五階層へ潜る予定だったのだが。
いやまぁ、内容次第ではそのまま第五階層へいいか。
とにかく、まずは話を聞くとしよう。
運営のお姉さん――いつもお世話になっている人だ――に声をかけて事務所の中へ入る。
そこには――
「あら、早かったわね」
「シオリ殿の方が早かったようだが」
「私は……自分で言うのも何だけど、せっかちなのよ」
シオリ殿がすでに待っていた。
予定されていた時間まではまだ数十分以上あるのだが。
まぁ、二人で話をしていればすぐに時間は過ぎるか。
「とりあえず、第四階層突破おめでとう。速いペースね」
「転移先の直ぐ側に入口があってな、運が良かったのだ」
「ああ、たまにあるわね」
まずは第四階層突破を祝福される。
「それで、第五階層の踏破はどうする?」
「この後時間があれば、そのまま行ってしまおうと思うのだが」
「どうかしらねー。午前中の呼び出しだから、こっちの予定も加味してくれているとは思うけれど」
そして次は第五階層踏破の話だ。
第五階層にはダンジョン部分とボス部屋があり、ボス部屋の前には転移陣がある。
なのでボス部屋前に到達すれば、ボス部屋にはいつでも挑戦できる。
今日一日ふたりともフリーだから、最悪そこまでやってしまえばいいだろうという話になった。
マップさえ解れば一時間か二時間程度で踏破できるのがダンジョンだからな。
と、その時である。
二人で待たされていた部屋の扉がノックされた。
どうぞ、とシオリ殿が促すと――
「やぁ、待たせてしまったかな」
現れたのは――なんと、驚くことにアーシア殿だった。
シオリ殿は驚いた様子を見せていない。
どうやら、シオリ殿の言う「知り合い」とはアーシア殿のことらしい。
「時間ぴったりよ、貴方らしいわね。アーシア」
「いや何、私は品行方正だからね。時間はきっちり守るタイプなのさ」
「こいつ……」
何やら、シオリ殿はアーシア殿に言いたいことがあるようだが、それをシオリ殿は飲み込んだらしい。
まぁ、こっちを見定める視線からして言えることだが、明らかに品行方正というタイプではない。
ソラ殿にも言えることだが、こういう胡散臭いタイプは相手に隙を見せないものだ。
時間ぴったりにやってくるのも、品行方正だからというわけではなく、相手に自分の意図を見せないためだろう。
……まぁ、これは婆ちゃんの受け売りというか、婆ちゃんのソラ殿に対する評価なんだが。
「そして、コウジくん! 久しぶりだねぇ!」
「久しぶりです、アーシア殿」
「殿なんて、他人行儀な物言いはよしてくれよ。気軽にアーシアお姉さんと読んでもいいんだよ?」
「では、アーシア殿」
「んー!」
隣で、シオリ殿が吹き出していた。
俺が冗談を言うのが、珍しかったかららしい。
まぁ自分でも珍しいことをしていると思うが。
こういう手合には、多少冗談を言ったほうが向こうも気を良くするとソラ殿で知っている。
「いや、とにかく。二人の活躍は私も見ているよ。シオリは悪かったね」
「ほんとよ、あなたのせいで危うくロストするところだったんだ」
「でも、私はコウジくんがいることを知っていた。結果的にはふたりとも助かったんだからよかっただろ?」
「それは……」
「失礼、お二人は何の話をしているので?」
ああ、とシオリ殿が気付いた様子で言う。
「ごめんなさい、実をいうと貴方のことは暴走前から知っていたの」
「なんと?」
曰く、アーシア殿とシオリ殿は知己である。
そしてその繋がりで、シオリ殿はアーシア殿から俺に関して気にかけるよう頼まれた、と。
「いやそれは……お手数おかけする」
「いやいやこっちこそ、完全に頭からすっぽ抜けてて、説明するの忘れてたわ。ごめんなさい」
正直、原因は俺が加護薬を飲まなかったことだろうから、俺は何も言えない。
シオリ殿も、説明を忘れたと気にしているようだが、そこは仕方のないことだろう。
さて。
「じゃあ顔合わせも終わったことだし、本題に入っていいかな?」
「っと、わかったわ」
「ああ」
果たして、一体何の話が始まるのか。
疑問に思ったところに――
「二人に、ダンジョンを救ってほしいんだ」
とんでもなくよくわからない話が、飛んできた。
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