魔剣士「お姫様の家出に付き合うことになった」【現在完結】

Naminagare-波流-

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第六章【エルフの隠れ里】

6-12 いざ、新たな旅路へ(8月18日追記有り)

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―――【 次の日 早朝 】

魔剣士と白姫は、ツリーハウスの外から聞こえてくる"コォンコォン"という異音で朝早くから目が覚めた。
窓の外を見ると森の影響なのか、猛烈なモヤがかかったおり、その中から聞こえてくる音は不気味に聞こえた。
ツリーハウスには猛竜騎士の姿もなく、心配になった二人はすぐに着替え、魔剣士が先導してその音の方向へと向かい……。

魔剣士「……なんだこの音は」
白姫「前が見えないくらいモヤモヤしてるから、凄く怖いね……」キョロキョロ
魔剣士「オッサンの姿も見えないし、あるはずのウィッチの身体もなくなってるし…どうなってんだこりゃ……」
白姫「何かあったのかな……」
魔剣士「…音も近い、慎重に進もう」
白姫「うん……」

視界はわずか数メートルで、二人は手を握りながら武器を構え、静かに進んでいく。

ザッ…ザッ……
魔剣士「…」
白姫「…」

やがて、5分ほど歩いたところであろうか。
その異音がより近くなり始めた頃、ここで魔剣士と白姫が同時にあることに気が付いた。

魔剣士「……あっ」
白姫「あっ…」
魔剣士「もしかしてここは……」
白姫「魔剣士と猛竜騎士さんが戦った…広場……?」
魔剣士「そうだ……」
白姫「……って、何かあるよ!」ハッ!
魔剣士「ん…?」

白く視界の遮られた向こう側に、薄らと何か"大きな箱のようなもの"が置いてあるのが確認できた。

魔剣士「なんだありゃ、箱……か?」
白姫「うん…。それと周りに何かおいてあるみたいだけど……」
魔剣士「行ってみようぜ!」ダッ!
白姫「うんっ…」ダッ!
タタタタッ……!!

そして二人はそれにギリギリまで近づくと、ようやく何が置いてあるのか把握することが出来た。
長い木製の箱状のようなものが1つ、地面へ突き刺さった太い大木に巻きつけられ、周りには乾燥している木材が"くべられて"いた。

魔剣士「…」
白姫「これって……」
魔剣士「そういうことか…」
白姫「…っ」

……そう。
つまり、そういうことであった。

…ザッ!
猛竜騎士「起きたか、二人とも」
魔剣士「オッサン……」
白姫「あ、おはようございます……」
猛竜騎士「よく霧状だったのにココが分かったな。起こさないように遠くで作業をしていたんだが」
魔剣士「朝の森って音をよく通すのか知らないが、ツリーハウスん中までコォンコンォンって聞こえてきたぜ?」
猛竜騎士「本当か…それは悪かったな」
魔剣士「…っつーか、こういうことするなら俺らにもさせるのが道理じゃねえの?」
猛竜騎士「昨日のこともあるし、朝から起こすわけにはと思ってな」
魔剣士「そういう問題じゃねぇだろうが、俺も木をくべるよ、貸せって」グイッ!
白姫「…わ、私も手伝います!」
猛竜騎士「お前ら……」

早朝から響いていた異音は、猛竜騎士が伐採をしている音であり、それをこの木製の箱と大木、くべられている木に利用していたのだ。
また、この二人もこの光景を目にして、"ソレ"は瞬時に理解できた。
この箱と、くべられた材木、その意味を。

魔剣士「……ウィッチの火葬、だろ。俺だって手伝うっつーの、お世話になったんだからな」
白姫「色々教えてくれたから……優しかったですから……」
猛竜騎士「…すまないな、ありがとう」
魔剣士「当たり前だろうが」
白姫「当たり前です!」

猛竜騎士「……二人とも、彼女との別れ…最期に顔を見ておくか?」
猛竜騎士「気のせいかもしれないが、彼女は笑っているんだ」
猛竜騎士「なんだか…許された気がするよ」

魔剣士「許してたんだろ、あの時に光に包まれてそう言ってたじゃねえか」
白姫「きっと、最期に自分の気持ちを打ち明けられて…嬉しかったんだと思います」
猛竜騎士「…っ」
魔剣士「顔は見なくていいよ。どうせ、その笑顔はアンタに向けられたもんだろうしな」
猛竜騎士「魔剣士……」
魔剣士「それに、もう1度ウィッチ…あのババァの笑顔を見たら悲しくなっちまうし」ハハハ!
白姫「魔剣士~……」
魔剣士「あ、ウソウソ!ババァじゃないよ、お姉さまです!はい!」
猛竜騎士「ぷっ…ぷはははっ!!全く、ウィッチにまた殴られるぞお前は!」
魔剣士「あ~…勘弁。最初に会った時も何かで殴られたんだよなオレ……」
猛竜騎士「ったく……」ハハハ…
魔剣士「……っと、乾燥木材をくべ終わったぜ」フゥ
白姫「こっちも終わりましたっ」

猛竜騎士「ん、ありがとうな……」
猛竜騎士「…ウィッチ」
猛竜騎士「じゃあ、本当の…別れだな……」

魔剣士「…」
白姫「…」

猛竜騎士は一歩前で出ると、片手の先に炎の魔力を集中させたのか、赤い光が辺りを包み込み始めた。

魔剣士(ウィッチ……)
白姫(ウィッチさん……)
猛竜騎士(ウィッチ……)

やがて猛竜騎士は、その腕を高く上げると、
「今まで有難う……」
そう小さく呟き、片腕に炎を展開させ、勢いよく降り下ろすと同時に木材へと着火させた。
"ボゥッ!"と炎が唸り、纏わり、全てを飲み込み、それは徐々に大きくなり、燃え盛る炎から発する煙はまるで昨夜の光のように、天高く昇って行った。

猛竜騎士「……皮肉だな」
白姫「…何がですか?」
猛竜騎士「今でこそ真っ白な煙だが、昨晩のあの光のことだ」
白姫「黄金の輝きですか…?」
猛竜騎士「アレだけ見たら、誰がバーサク…闇の魔法だと思うだろうか」
白姫「…」
魔剣士「…」

猛竜騎士「彼女を殺したのも、俺らを救ったのも、最期の時間を与えてくれたのも、それは闇魔法だった」
猛竜騎士「……一体、どうしたらいいのかが分からなくなってしまうよ」

魔剣士「オッサン……」
白姫「猛竜騎士さん…」

猛竜騎士「今さら考えても仕方のないことだがな」
猛竜騎士「俺らはこれからのことを考えなければならないんだ。冒険はまだ始まったばかりなんだからな」
猛竜騎士「生きていればこういうこともある」
猛竜騎士「そうだ、立ち止まってはいられないんだ……」

魔剣士「…」
白姫「…」

猛竜騎士「……そんな顔をするな。それより、お前が手に入れたその魔力…使ってみたのか?」
魔剣士「いや…。昨晩、魔導エルフをカチンコチンにした以外は…」
猛竜騎士「…そうか」
魔剣士「結局さ、俺の力ってどんなんか俺も分かってないんだよな」
猛竜騎士「お前の力は……」
魔剣士「こんな風に、魔力を練ったり集中すると金色の輝きは出るんだけどよ」パァッ!!
猛竜騎士(黄金の煌き、か……)

魔力を練り始めた瞬間、魔剣士の身体にウィッチと同じ"黄金の輝き"が漂い始めた。

白姫(ウィッチさんの力を受け継いだみたい……)
猛竜騎士(しかし、魔剣士の身体に合致した腕輪だ。命を削ることはあるまいが……)

ウィッチの命を奪ったのはあくまでも失敗したレガシー(古代アクセサリ)の暴走による限界値以上に魔力を受けたことによるタンクの崩壊、魔力枯渇の症状であった。
しかし魔剣士の場合は、ウィッチが発見した古代の強力な魔力を封印し、それを腕輪に封印したいわゆる完成品。
更に、腕輪を装備した魔剣士にウィッチの暴走の抑制により、ほぼ合致したといって間違いない。
つまり、今の魔剣士は古代の魔力を完全に得たの等しく、決して命を奪ったりするものではないだろう。

魔剣士「オッサンはこの光がどうとかは知ってるのか?」パァァッ!
猛竜騎士「お前自身、それはどう思う?」
魔剣士「そりゃ、無造作に魔力を生んでるっつーかさ…そういう気はするぜ」
猛竜騎士「無造作…無限か」
魔剣士「あぁ、いくらでも剣に火炎を装着できそうだし、いくらでも上級魔法を撃てそうだ」ハハハ
猛竜騎士「……はははっ、古代の魔法もそうなっては笑いモノだな」
魔剣士「あぁ?」

猛竜騎士「はぁーあ、若いころにウィッチの一件があってからバーサク魔法について勉強をしといて良かったと思うぞ」
猛竜騎士「力を無駄にするとうか、持て余すというか、その黄金の輝きについて俺は知っているっちゃ知ってるからな……」

魔剣士「……物知りにも程があるだろオッサン」
猛竜騎士「ま、簡単に教えてやろう。それは属性にあらざる属性を持つ魔法だ」
魔剣士「属性にあらざる……」
白姫「属性を持つ…魔法ですか?」
猛竜騎士「魔法についておさらいだ」

―――魔法には、火・水・雷・風といった属性が備わっている。
これは魔剣士らも勉強したことで分かっていたが、属性には光と闇という二大の上位属性が存在する。
光は主に回復や支援といった、今、白姫が習得を続けているものにあたる。
その対となる闇属性は、自身の強化や破壊を目的としたもので構成される肉体強化のバーサクの魔法を指し、光が回復というのなら、逆に壊すという意味で扱われており、決して闇の属性という特異な属性があるわけではないことには注意したい。

猛竜騎士「……黄金の輝きを見るだけでは光のようだが、それの用途は闇魔法そのままだ」
魔剣士「どうやって使えば良いんだ?」
猛竜騎士「部分強化は分かるな」
魔剣士「あぁ、それで俺は縮地なんかもしてるしな」
猛竜騎士「それを全身に集中出来るようになると、お前の得た魔力は身体を包み、全身が強化状態となるだろうな」
魔剣士「!」
猛竜騎士「圧倒的な攻撃力、速度、防御力、そういった超強化と生り得る…だろう」
魔剣士「マジかよ……」ドクン…!
猛竜騎士「だが、慢心するな」
魔剣士「う…」
猛竜騎士「それはウィッチですら手を焼いた代物だということを…忘れるな」
魔剣士「あ…」

猛竜騎士「昨晩の話を覚えているか」
猛竜騎士「その魔法を会得、昇華させるためには"生命の幹"が必要になる」
猛竜騎士「お前はまだ、体力も精神面も未熟な故、そのバーサク魔法を完全に扱うことはできないだろう」

魔剣士「…っ」
猛竜騎士「誰もが欲しがるであろう無造作の魔力、物理的にも有利になる最強とも呼べる強化術、お前はどちらも手に入れたことになる」
魔剣士「…っ!」ゴクッ
猛竜騎士「だが、それは扱えなければ結局のところ宝の持ち腐れだ」
魔剣士「…あ、あぁ」
猛竜騎士「今のお前に、洗練された上級魔法と、その肉体の強化術…バーサクを使えと言っても無理だろう?」
魔剣士「……ククク、それは分からないぜ?」ニヤッ
猛竜騎士「おい、そこはハイと言えよ…」ハァ
魔剣士「見てろよ、縮地と同じ要領で全身に魔力を注いで、自分の能力を高めればいいんだろ!?」パァァッ!!!
猛竜騎士(やれやれ……)
白姫(ま、魔剣士の身体が黄金に輝いてく……!)

魔剣士「う、うひょーーー!!」パァァッ!!
魔剣士「さすがに絵本のように髪の毛が長くなったり、黄金色になったりはしねぇが……!」ビキビキッ!!
魔剣士「黄金のオーラが目に見えてるし、どうだ!どうだどうだ!?」パァァアッ!!!

猛竜騎士「1か月の修行は伊達じゃなかったようだが、お前の練りはまだ未熟だ」
魔剣士「あぁっ!?」
猛竜騎士「現にホレ、注意しろよー」
魔剣士「何が!?」
猛竜騎士「爆発すんぞ」ニヤッ
魔剣士「へ……!?」
ビキッ…!ビキビキビキ!!
魔剣士「あ、あだ…!あだだだだっ!!?」ズキズキッ!!
猛竜騎士「ほれな……」
白姫「ま、魔剣士!?」

金色のオーラを纏った魔剣士であったが、その"経験不足による痛み"はすぐに始まった。
単純にあらゆるステータスが不足する魔剣士にとって、バーサク魔法を扱うことは無理に等しく、全身へと猛烈な痛みが襲ったのだ。

魔剣士「がっ……!」ガクッ!
魔剣士「いってぇぇ……!」ズキズキ…!

猛竜騎士「肉体強化術、バーサク魔法。それを扱う者をバーサーカーと呼ぶ」
猛竜騎士「闇の術式である古代魔力を用いて、自身を高め、あらゆる破壊に特化した闇魔法」
猛竜騎士「例えその基本である古代魔力を手に入れたところで、お前が扱える代物ではないということだ」

魔剣士「く、くっそが……!」
猛竜騎士「しかも残念なお知らせがある」
魔剣士「んだよ…!」
猛竜騎士「さすがの俺も、バーサク術の知識はあっても俺が会得していない以上、闇魔法自体の教えはすることができん」
魔剣士「な、なんだと……」
猛竜騎士「純粋に長年をかけて経験を培って使えるようになるしかないということだな」
魔剣士「冗談だろ…!折角こんなスゲェ魔力を持ったのにか!?」
白姫「じゃあ、今は宝の持ち腐れってことになるんですか……?」
猛竜騎士「そうなるだろう」
魔剣士「うっそだろ……。マジかよ、最悪だ…面白くねぇぇ……」ハァァ
猛竜騎士「…」

白姫「……だ、大丈夫だよ!魔剣士ならきっと使えるようになるはずだよっ!」
魔剣士「長い話になるだろうが……」
白姫「魔剣士ならあっという間に覚えちゃうかもしれないよ!」
魔剣士「一生かけて覚えることになるかもしれねぇのは変わらんだろ…」
白姫「う~……」
魔剣士「これほど無駄なことがあるかよ……」
白姫「むぅぅ……」
魔剣士「ガッカリだ……」
白姫「わ、私も魔剣士が覚えられるまで一緒に勉強するから頑張ろうよ~!」
魔剣士「……あのね」
白姫「ねっ!一緒に頑張ろうよ!」
魔剣士「一生かかったとしたら、ずっと俺の傍にいねぇといけねぇんだから…」
白姫「そ、そうなったら一緒にいればいいもん!」
魔剣士「!?」
白姫「えへへ、でしょっ?」
魔剣士「ば、バカ野郎か!軽はずみにそういうもんじゃねぇよ!!」
白姫「ふぇっ!?な、なんで怒るの~!」
魔剣士「こ、この……!」
ギャーギャー!!

猛竜騎士「…」
猛竜騎士「……はぁぁぁ」ハァ
猛竜騎士「全く、お前らは……。魔剣士も白姫も、一回落ち着け」

魔剣士「あ?」
白姫「は、はいっ…」
猛竜騎士「あのな、あくまでも"俺は教えられない"という話だ」
魔剣士「…お?」
白姫「え?」
猛竜騎士「今回は俺も油断したことはあるが、少なくとも…お前らだけで生きていく、バウンティハンターから逃げなくちゃいけない可能性もあると改めて分かった」
魔剣士(バウンティハンター…!)ピクッ
白姫(そ、そっか…。忘れてたけど、私たちは追われてる存在だったんだ……)

猛竜騎士「色々あったが、お前らは成長が出来たとは思う」
猛竜騎士「……だが」
猛竜騎士「当然、二人ともまだまだ実力は足りないし、魔剣士に至っては無駄な力を手に入れただけだ」

魔剣士「無駄っていうなクソジジィ」

猛竜騎士「しかも、う…ウィッチが…な、亡くなって……」
猛竜騎士「白姫が習得していた光の魔法である回復や支援魔法を教えるには、別途時間が必要となった」

魔剣士「…」
白姫「…」

猛竜騎士「そこで、朝から木を伐りながら今後について考えてな」
猛竜騎士「魔剣士にとってその力は今後、お前らが生きていくうえでは必要なものとなると思う」
猛竜騎士「白姫にとっても魔法は必要な技術だし、だが時間が必要なる」
猛竜騎士「それで、どうすればいいのか……考えた」

魔剣士「それで…」
白姫「…どうするんですか?」

猛竜騎士「技術のある者を、頼ればいいんだ」
猛竜騎士「それを踏まえ…次の目的地を決めた」

魔剣士「お、おぉ!?」
白姫「次は…どこへ行くんですか?」

猛竜騎士「通称――"白の大地"と呼ばれる極寒の大地、北方大地……」
猛竜騎士「その中心である氷山に覆われた極氷の国、氷山帝国だ」

魔剣士「氷山……」
白姫「……帝国!」

猛竜騎士「氷山帝国には魔法師や錬金術を研究する、魔法連合というものがあるんだが……」
猛竜騎士「そこでは日夜、魔力枯渇症の魔法病や闇魔法の歴史、研究、あらゆる魔法技術などの研究が行われているんだ」
猛竜騎士「遥か北の大地ならば、お前らに必要な技術もそこなら掴めそうだと思ってな」

魔剣士「…つまり、俺の技術や白姫の魔法を会得するきっかけがあるかもしれないということか?」
猛竜騎士「そういうことだ」
白姫「へぇぇ……!次は氷の大地なんですね……!」

猛竜騎士「西方大地から抜けるのはちょっとバウンティハンターとかの追手も怖いが、俺らだって力をつけた」
猛竜騎士「だが、賞金額が変わらない以上、再び人目につく場所に出るのは気が引けるが……」
猛竜騎士「まぁ1か月を消していたのに、いきなり俺らを発見して追えるわけはないし大丈夫だろう」
猛竜騎士「西方大地を抜けるのにまた時間はかかるが、それもまた修行」
猛竜騎士「今度は西方大地の北側にある"グリーンズノース・ポート"という北の港へ向かう予定で―……」ハッ

…ワイワイ!!
魔剣士「へへへっ、白姫は自然の雪も見たことないんだろ?」
白姫「うん…!白く輝いてて、凄いキレイなんだって聞いたことはあるけど…」」
魔剣士「……白姫みたいだな」ボソッ
白姫「えっ?」
魔剣士「い、いやなんでもねぇよ!!」
白姫「あーっ、何言ったか教えてよ~!」
魔剣士「う、うるせっ!!」
キャッキャッ…!!

猛竜騎士「…」
猛竜騎士「…」プルプル…
猛竜騎士「は、話を聞かんかお前らは!!いつまでたっても!!」クワッ!!
魔剣士「ぬおっ!?」
白姫「ご、ごめんなさいっ…!」

猛竜騎士(全く……)ハァ
猛竜騎士(しかしなぁ、ウィッチよ……)
猛竜騎士(俺も、過去ばっかり振り返っててもダメなんだろう)
猛竜騎士(お前との別れは寂しすぎるが、いつまでも昔を見ていてもお前に怒られちまいそうだ)
猛竜騎士(忘れることはない。しかし、前を向いて俺は歩くよ)
猛竜騎士(この新しい仲間と、新しい旅で、前を向いて……歩く)
猛竜騎士(見守っていてくれ…ウィッチ……)

魔剣士「……さぁってと、オッサン!」
猛竜騎士「ん?」
魔剣士「"ん?"じゃねぇよ!すぐにでも出発するんだろ!?」
猛竜騎士「そんなに急ぐな。まずは準備してから、ウィッチの自宅やツリーハウスも整理してってやろう」
魔剣士「……またエルフの里に戻るのか」
猛竜騎士「俺らが悪いことをしたわけじゃない。それにウィッチのいない里でケンカを売られたら、買うまでだ」
魔剣士「ほう……!なんだ、ケンカに乗り気か」
猛竜騎士「いくら俺でも、人の腹に毒矢ブッ刺されて平和主義とか言ってる程……甘くはねぇんだよ」
魔剣士「ほっほー!ならウィッチの家を整理するついでに、必要なモンとかあったら借りていこうぜ!」
猛竜騎士「お前、それは……」
魔剣士「どうせ無駄になるモンだし、ウィッチもそのほうが喜ぶって!」ハハハ
猛竜騎士「まぁそうだが……」
白姫「……う、うぅ」ブルッ
魔剣士「んあ、どうした…?」
白姫「ち、ちょっとだけ里に入るのは怖いかなって……」
魔剣士「あぁ……。なら、その間はずっと俺が手ぇ握っててやろうか?」ククク
白姫「うんっ…」ソッ
…ギュッ!
魔剣士「おぅ……!?」

猛竜騎士「……ハハ」
猛竜騎士「とりあえず、最早この里に長居も無用!準備をして北方大地へ行くぞ!」

魔剣士「おうよ!」
白姫「は、はいっ!」
猛竜騎士「出発だ!!」

…………
……


・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・


―――西方大地、エルフの隠れ里。
猛竜騎士のかつての仲間であり、愛した女性でもあるウィッチとの出会いは、魔剣士と白姫を更なる成長へと導いてくれた。
だが、その結末はあまりにも残酷なものとなってしまい、悲しみに暮れつつも、新しい旅へと目を向ける。
その後、三人は予定通りウィッチの家屋とツリーハウスを整理し終えると、北方大地への船が出航している"グリーンズノース・ポート"へと向かうため、再び大自然へと足を踏み入れた。
猛竜騎士の考えでは、
「また大自然の生活で辛くはなるし、港には数週間がかかるかもしれないな」
と思っていたのだが、冒険者として魔剣士と白姫のレベルアップは予想を遥か超えるもので、掛かると思われた日数の半分でグリーンズノース・ポートへと到着をすることが出来た。
到着後、バウンティハンターに警戒をしながら久々に人との交流、娯楽を楽しみながら北の港で一泊。

―――そして、次の日の朝。
彼らはいよいよ、氷山帝国のある北方大地行きへの大型船へと乗り込む――……。

…………
……



<第六章へ続く:次回、北の大地"魔法連合"編 近日公開!>
========
「※お知らせ」8月18日追記
章区切りとなるため、次回公開は日数明けとなり、再開予定日は8月初旬の開始予定です。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

(追記)
8月初旬と記載していましたが、次回更新は9月以降の予定となります。
大変申し訳ございません。
宜しくお願いいたします。
========


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●こまーしゃる●
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魔界のとある田舎町"ゼーゲンヴォール"。
そこには小さな雑貨店を経営する、小さな店主、ねこ種の少女"カッツェ・ヒプーシュ"がいた。
そんな彼女と、愉快な住民たちが起こす経営系な魔界日常SS、

『魔界の雑貨屋さん~ねこみみ繁盛記!~』

同アルファポリス様内でのんびり経営中です!

URL:http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/706036279/

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