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条件8*部外者は完全阻止!
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「ゆかり…、やっぱりまだ根に持ってるんじゃん…」
「違うよー、流れで話しただけだよ」
辞令が下りるまでは秘密にしていた事を秋葉さんが根に持っていると思い、いじける副社長に否定する秋葉さん。
二人のやり取りが可愛らしくて、笑みがこぼれる。
二人の良好な関係が羨ましくもある。
私と相良さんの関係は良好とは言えず、相良さんに左右されては悩み事が増える。
会社ではクール気取ったり、落ちかけたダンボールを足で押したりして素行が悪いと思えば、プライベートではエスコートしてくれて私を甘やかしたりするし…
相良さんって、よく分からない。
この人、本当は多重人格なのかな?
「ここでいいの?」
「うん、このブランドが似合いそうだから、ここにする」
相良さんはあまり会話に混ざらず、三人で会話をしている内に目的地付近に着いたらしく、駐車場に車を停めてから言われるがままに歩くと秋葉さんがお目当てのショップに着いた。
秋葉さんに手を引かれてショップの中に入り、周りを見渡すと可愛らしい洋服が沢山あった。
店員さんが「いらっしゃいませ」と微笑みかけてくる中、ショップの奥側に位置しているパーティードレスなどが置いてある場所に辿り着く。
「くるみちゃん、どんなのが好き?」
秋葉さんに尋ねられたが、聞かれても疑問しか浮かばない。
このドレスを選ぶ意味は何だろう?
「えっとぉ…」
「相良さんから一緒に選んであげてって、お願いされてるの。相良さんがプレゼントしてくれるから遠慮しなくていいみたいだよ?」
私が戸惑っていると秋葉さんがニコニコしながら私に話しかける。
「…ゆかりも選びなよ。あ、コレがいい!」
「無理っ!だって身体のラインが出すぎるからもん!」
「えー、着て欲しかったのに!」
副社長が差し出したのは身体のラインが綺麗に出そうなタイトなデザインのドレス。
秋葉さんになら大丈夫だと思う、副社長もそれを分かっているから勧めたのだと思われる。
店員さんも交えてドレスと靴を選び、試着をしてから購入してもらった。
秋らしい落ち着いた色のワインレッドの色合いのドレス。
肩から袖、胸辺りにかけてがレース、その下部分がノースリーブのドレスになっていて、ウエスト横に大きめのリボンが付いている。
同じくワインレッドのパンプス、白のクラッチバッグに丈の短めのジャケット。
秋葉さんが選んだのは、濃紺の綺麗めなドレスに高めなヒール。
「くるみちゃん、ワインレッドのドレス、凄く似合ってたー。可愛い過ぎるっ!」
「普段、着たことがない色なのでドキドキします。秋葉さんはスタイルも良いし、どんなドレスでも似合いますね。高めのヒール、憧れます!」
「ヒールね、履きなれないから嫌なんだけど…これから履く機会がありそうだから慣らさなきゃいけないと思って…」
ショップを出てからは、ドレス選びの興奮が冷めやらず、ガールズトークが止まらなくなり、彼氏達なんて、そっちのけ。
相良さんがショップバッグを持つ訳がなく、まとめて副社長に持ってもらっている。
「そう言えば…、このドレスはどこに来て行くのでしょうか?」
「くるみちゃん、聞いてないの?今度、オーベルジュ…、えっと…ホテルの高級レストランに食事に行くのよ?顔合わせ前に一度、練習でスマートカジュアルOKなお店に行こうって話だったの。その練習が、今日ね!」
オーベルジュ?高級レストランのお店の名前?
練習?スマートカジュアル?
頭の中で整理仕切れません。
知らない単語がぐるぐる回っています。
「ゆかり、今のプレゼン、不合格ね」
私達の後ろ側を歩く副社長が笑いながら、声を掛けてきた。
「だって、上手く説明出来ないんだもん!」
「はいはい」と言って、なだめる様に秋葉さんの頭をポンポンと軽く叩く。
「とりあえず、車に乗ってからね?」
ふふっと柔らかく笑った副社長の横で、相良さんが呆れた様な顔で溜め息をつくのが分かった。
車に乗せられ移動した場所はお洒落なレストランで、フランス料理をご馳走してもらった。
スマートカジュアルと言うのは、ジーンズなどのラフな格好を避ければOKのレストランの事だった。
そのスマートカジュアル着用のお店で私はフランス料理のコースを初めて食べて、作法も分からずに緊張し過ぎてナイフを落としてしまう。
他の3人はとても優雅に食事を楽しんでいたが、私だけは恥ずかしさしかなかった。
オーベルジュはホテル内にある高級レストランの事。
今度はそちらに連れて行かれるとの事で、その前にも練習が必要だと相良さんから釘をさされた。
「あの、今日は…ドレスとか色々、ありがとうございました!」
「…別に。持ってなさそうだったから買っただけだし」
食事をしてから秋葉さん達とは別れて、再び車内の中で、今は二人きり。
「…昨日さ、夜遅くなったけど…メールしたんだけど?見なかった?」
「えぇーっ、な、何時頃ですか?」
「多分…、2時~3時辺り。寝てるかな…とは思った。でも、ドラマの続きを見るって約束してたから…って、話聞いてる?」
私は相良さんが話している途中でも、送信してくれたメールが気になり、必死で探す。
朝方に届くショップメールに埋もれていた事が発覚した。
「ご、ごめんなさいっ。来てました。ショップメールに埋もれてしまい、気付きませんでした。…あっ、」
"連絡が遅くなりごめん。明日の予定に変更有り。仕事の一環としてオーベルジュ(ホテルの高級レストラン)のディナーに招待されているので、その前に先日言っていた練習がしたい。ジーンズなどのカジュアル過ぎる服装以外なら基本は大丈夫な店。副社長と秋葉さんも同行。時間は朝に電話する。おやすみ"
「本当に要点しかないメールですね!」
相良さんの送った文章がビジネスと常語が混ざっていて何だか変に面白くて、クスクスと笑ってしまう。
「昨日は不貞腐れてサイレントにしたまま、寝ちゃいました。電話も気付かずすみませんでした…」
「…目が腫れてたのがとれたね。どれだけ泣いてたの?」
運転しながら頭をポンポンとされて、昨日の泣き腫らした夜が嘘だったかの様に心が満たされる。
「…だって、夕方に会った時に機嫌悪くされたし、それに彼女ととても親しげでしたから、ヤキモチというか、とても、ふ、不…安になりました」
「…悪かったよ、謝る」
「…他に言う事ないんですか?」
相良さんを睨みつけて怒った様に話しても、クスクスと笑われて、
「あぁ、気が向いたら話す…」
と言われ上手く交わされた。
拗ねてみたつもりだったけれど、相良さんは隠そうとしているのか、ただ単に今は話したくないだけなのか、あの人の事は教えてはくれない。
「…気が向いたらって…?」
「過去の事だから、今の俺には何にもやましい事はない。和奏と一緒に居るんだから、今はつまらない話はしたくないだけなんだけど?…だから、後でまとめて話す。それでもいい?」
昨日の夕方の高圧的な態度はどこにいったのかと思うほどの甘さで、チラリと横目で私の方を見て微笑む。
心臓の鼓動が飛び跳ねてヤバイ、ドキドキが加速する。
「…相良さんはズルいです。直ぐに丸め込もうとする…」
相良さんの不意打ちには適わずに頬を赤く染めた私は下を向き、顔を隠そうとした。
「まぁ、そう、いじけるなって…」
「………!?」
そんな私に気付いたのか、ちょうど信号待ちで停車した時に唇に柔らかい感触を感じた。
「わ、…さ、相良さん!?」
「……そんなに反応されたら、こっちが恥ずかしくなるからっ」
更なる追い打ちをかける様な不意打ちのキスに驚きを隠せずに騒いでしまうと、相良さんまでもが頬を赤くした。
歩道には行き交う人達、反対側の車線の信号待ちの車…誰も見ていないかもしれないけれど、周囲の事を考えたら恥ずかしさが増した。
「とにかく余計な心配したくないんだったら、あの人が訪ねてきても通さない事。もう来ないとは思うけど…」
「はい、分かりました」
まだ頬の赤いままの相良さんだったが、信号が青になると直ぐに車を走らせた。
「まだ早いけど、こないだの続き…」
「こないだの続き…?い、今ので、よ、欲情したんです、か?」
こないだの続き…真っ先に思い出してしまったのは押し倒されて、ビンタをしてしまった事。
モジモジしながら言葉に出してしまったが、相良さんは大笑いしている。
「…っぷ!…っはは、和奏からそんな言葉を聞くとは思わなかった!ドラマの続きって言いたかったんだけど…!和奏がそっちの続きをしたいなら、そうしよっか?」
「…か、勘違いっ、でし…た」
「和奏にビンタされるから、無理にはしないけど…そのうち欲情したら…ね?」
「も、もう言わないでっ!相良さんのバカッ」
からかうようにずっと笑っている相良さん。
勘違いして口走ってしまって私は恥ずかしく思いつつも反省している最中だが、こんなに笑っている姿を見るのは初めてで嬉しい。
「そうだ!和奏はメール気付かないから、メッセージアプリを設定しといて」
「うわっ、は、はい!」
助手席側にスマホをポイッと投げられて、膝の上に乗ったので滑り落ちない様に慌てて掴む。
「チャットみたいで面倒だったからアプリ入れなかったけど、和奏がメールよりやり取りが楽なら入れといて。それから、気になるならチェックしてもいいよ?履歴とか…」
「チェックしませんっ!」
「ついでに、坂上 麗紗も消しといて。必要ないから…」
「嫌です、自分で消して下さい!」
わだかまりが溶けたかの様に穏やかな雰囲気だけれども、私にはあの人の事が解決されていないままだが、相良さんが関係を絶とうとしているのは確かな事。
言いたくなさそうなところを見ると、やっぱり元彼女なんだろうな…。
私とは似ても似つかない、正反対の様な彼女。
相良さんが、ますます理解出来ない。
「違うよー、流れで話しただけだよ」
辞令が下りるまでは秘密にしていた事を秋葉さんが根に持っていると思い、いじける副社長に否定する秋葉さん。
二人のやり取りが可愛らしくて、笑みがこぼれる。
二人の良好な関係が羨ましくもある。
私と相良さんの関係は良好とは言えず、相良さんに左右されては悩み事が増える。
会社ではクール気取ったり、落ちかけたダンボールを足で押したりして素行が悪いと思えば、プライベートではエスコートしてくれて私を甘やかしたりするし…
相良さんって、よく分からない。
この人、本当は多重人格なのかな?
「ここでいいの?」
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相良さんはあまり会話に混ざらず、三人で会話をしている内に目的地付近に着いたらしく、駐車場に車を停めてから言われるがままに歩くと秋葉さんがお目当てのショップに着いた。
秋葉さんに手を引かれてショップの中に入り、周りを見渡すと可愛らしい洋服が沢山あった。
店員さんが「いらっしゃいませ」と微笑みかけてくる中、ショップの奥側に位置しているパーティードレスなどが置いてある場所に辿り着く。
「くるみちゃん、どんなのが好き?」
秋葉さんに尋ねられたが、聞かれても疑問しか浮かばない。
このドレスを選ぶ意味は何だろう?
「えっとぉ…」
「相良さんから一緒に選んであげてって、お願いされてるの。相良さんがプレゼントしてくれるから遠慮しなくていいみたいだよ?」
私が戸惑っていると秋葉さんがニコニコしながら私に話しかける。
「…ゆかりも選びなよ。あ、コレがいい!」
「無理っ!だって身体のラインが出すぎるからもん!」
「えー、着て欲しかったのに!」
副社長が差し出したのは身体のラインが綺麗に出そうなタイトなデザインのドレス。
秋葉さんになら大丈夫だと思う、副社長もそれを分かっているから勧めたのだと思われる。
店員さんも交えてドレスと靴を選び、試着をしてから購入してもらった。
秋らしい落ち着いた色のワインレッドの色合いのドレス。
肩から袖、胸辺りにかけてがレース、その下部分がノースリーブのドレスになっていて、ウエスト横に大きめのリボンが付いている。
同じくワインレッドのパンプス、白のクラッチバッグに丈の短めのジャケット。
秋葉さんが選んだのは、濃紺の綺麗めなドレスに高めなヒール。
「くるみちゃん、ワインレッドのドレス、凄く似合ってたー。可愛い過ぎるっ!」
「普段、着たことがない色なのでドキドキします。秋葉さんはスタイルも良いし、どんなドレスでも似合いますね。高めのヒール、憧れます!」
「ヒールね、履きなれないから嫌なんだけど…これから履く機会がありそうだから慣らさなきゃいけないと思って…」
ショップを出てからは、ドレス選びの興奮が冷めやらず、ガールズトークが止まらなくなり、彼氏達なんて、そっちのけ。
相良さんがショップバッグを持つ訳がなく、まとめて副社長に持ってもらっている。
「そう言えば…、このドレスはどこに来て行くのでしょうか?」
「くるみちゃん、聞いてないの?今度、オーベルジュ…、えっと…ホテルの高級レストランに食事に行くのよ?顔合わせ前に一度、練習でスマートカジュアルOKなお店に行こうって話だったの。その練習が、今日ね!」
オーベルジュ?高級レストランのお店の名前?
練習?スマートカジュアル?
頭の中で整理仕切れません。
知らない単語がぐるぐる回っています。
「ゆかり、今のプレゼン、不合格ね」
私達の後ろ側を歩く副社長が笑いながら、声を掛けてきた。
「だって、上手く説明出来ないんだもん!」
「はいはい」と言って、なだめる様に秋葉さんの頭をポンポンと軽く叩く。
「とりあえず、車に乗ってからね?」
ふふっと柔らかく笑った副社長の横で、相良さんが呆れた様な顔で溜め息をつくのが分かった。
車に乗せられ移動した場所はお洒落なレストランで、フランス料理をご馳走してもらった。
スマートカジュアルと言うのは、ジーンズなどのラフな格好を避ければOKのレストランの事だった。
そのスマートカジュアル着用のお店で私はフランス料理のコースを初めて食べて、作法も分からずに緊張し過ぎてナイフを落としてしまう。
他の3人はとても優雅に食事を楽しんでいたが、私だけは恥ずかしさしかなかった。
オーベルジュはホテル内にある高級レストランの事。
今度はそちらに連れて行かれるとの事で、その前にも練習が必要だと相良さんから釘をさされた。
「あの、今日は…ドレスとか色々、ありがとうございました!」
「…別に。持ってなさそうだったから買っただけだし」
食事をしてから秋葉さん達とは別れて、再び車内の中で、今は二人きり。
「…昨日さ、夜遅くなったけど…メールしたんだけど?見なかった?」
「えぇーっ、な、何時頃ですか?」
「多分…、2時~3時辺り。寝てるかな…とは思った。でも、ドラマの続きを見るって約束してたから…って、話聞いてる?」
私は相良さんが話している途中でも、送信してくれたメールが気になり、必死で探す。
朝方に届くショップメールに埋もれていた事が発覚した。
「ご、ごめんなさいっ。来てました。ショップメールに埋もれてしまい、気付きませんでした。…あっ、」
"連絡が遅くなりごめん。明日の予定に変更有り。仕事の一環としてオーベルジュ(ホテルの高級レストラン)のディナーに招待されているので、その前に先日言っていた練習がしたい。ジーンズなどのカジュアル過ぎる服装以外なら基本は大丈夫な店。副社長と秋葉さんも同行。時間は朝に電話する。おやすみ"
「本当に要点しかないメールですね!」
相良さんの送った文章がビジネスと常語が混ざっていて何だか変に面白くて、クスクスと笑ってしまう。
「昨日は不貞腐れてサイレントにしたまま、寝ちゃいました。電話も気付かずすみませんでした…」
「…目が腫れてたのがとれたね。どれだけ泣いてたの?」
運転しながら頭をポンポンとされて、昨日の泣き腫らした夜が嘘だったかの様に心が満たされる。
「…だって、夕方に会った時に機嫌悪くされたし、それに彼女ととても親しげでしたから、ヤキモチというか、とても、ふ、不…安になりました」
「…悪かったよ、謝る」
「…他に言う事ないんですか?」
相良さんを睨みつけて怒った様に話しても、クスクスと笑われて、
「あぁ、気が向いたら話す…」
と言われ上手く交わされた。
拗ねてみたつもりだったけれど、相良さんは隠そうとしているのか、ただ単に今は話したくないだけなのか、あの人の事は教えてはくれない。
「…気が向いたらって…?」
「過去の事だから、今の俺には何にもやましい事はない。和奏と一緒に居るんだから、今はつまらない話はしたくないだけなんだけど?…だから、後でまとめて話す。それでもいい?」
昨日の夕方の高圧的な態度はどこにいったのかと思うほどの甘さで、チラリと横目で私の方を見て微笑む。
心臓の鼓動が飛び跳ねてヤバイ、ドキドキが加速する。
「…相良さんはズルいです。直ぐに丸め込もうとする…」
相良さんの不意打ちには適わずに頬を赤く染めた私は下を向き、顔を隠そうとした。
「まぁ、そう、いじけるなって…」
「………!?」
そんな私に気付いたのか、ちょうど信号待ちで停車した時に唇に柔らかい感触を感じた。
「わ、…さ、相良さん!?」
「……そんなに反応されたら、こっちが恥ずかしくなるからっ」
更なる追い打ちをかける様な不意打ちのキスに驚きを隠せずに騒いでしまうと、相良さんまでもが頬を赤くした。
歩道には行き交う人達、反対側の車線の信号待ちの車…誰も見ていないかもしれないけれど、周囲の事を考えたら恥ずかしさが増した。
「とにかく余計な心配したくないんだったら、あの人が訪ねてきても通さない事。もう来ないとは思うけど…」
「はい、分かりました」
まだ頬の赤いままの相良さんだったが、信号が青になると直ぐに車を走らせた。
「まだ早いけど、こないだの続き…」
「こないだの続き…?い、今ので、よ、欲情したんです、か?」
こないだの続き…真っ先に思い出してしまったのは押し倒されて、ビンタをしてしまった事。
モジモジしながら言葉に出してしまったが、相良さんは大笑いしている。
「…っぷ!…っはは、和奏からそんな言葉を聞くとは思わなかった!ドラマの続きって言いたかったんだけど…!和奏がそっちの続きをしたいなら、そうしよっか?」
「…か、勘違いっ、でし…た」
「和奏にビンタされるから、無理にはしないけど…そのうち欲情したら…ね?」
「も、もう言わないでっ!相良さんのバカッ」
からかうようにずっと笑っている相良さん。
勘違いして口走ってしまって私は恥ずかしく思いつつも反省している最中だが、こんなに笑っている姿を見るのは初めてで嬉しい。
「そうだ!和奏はメール気付かないから、メッセージアプリを設定しといて」
「うわっ、は、はい!」
助手席側にスマホをポイッと投げられて、膝の上に乗ったので滑り落ちない様に慌てて掴む。
「チャットみたいで面倒だったからアプリ入れなかったけど、和奏がメールよりやり取りが楽なら入れといて。それから、気になるならチェックしてもいいよ?履歴とか…」
「チェックしませんっ!」
「ついでに、坂上 麗紗も消しといて。必要ないから…」
「嫌です、自分で消して下さい!」
わだかまりが溶けたかの様に穏やかな雰囲気だけれども、私にはあの人の事が解決されていないままだが、相良さんが関係を絶とうとしているのは確かな事。
言いたくなさそうなところを見ると、やっぱり元彼女なんだろうな…。
私とは似ても似つかない、正反対の様な彼女。
相良さんが、ますます理解出来ない。
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