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条件9*ハイスペック彼氏に所有されるなら自分磨きをする事!
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「早く乗って!」
不機嫌発動中で、いつもならドアを開けてくれるのに降りもせず、半開きにした窓から低い声が届いた。
今までのエスコート的な行為が当たり前ではなく、自分でドアを開く事が当たり前だったと今更思う。
「…お願いします」
助手席に乗り込むと相良さんを横目で気にしながら、ベルトを締める。
「はい、これ。副社長から…」
運転しながら、左手で渡されたのは"謝礼"と書かれた封筒。
「何ですか、コレ?」
「勤務時間外に仕事の話をしてしまったから、謝礼だって。胡桃沢さん、基本は定時キッチリの派遣だからじゃない?」
残業は申請しないと出来ない事になっているので、色々と面倒なのだろう。
気になったので、その場で開けてみると・・・な、何と一万円が入っていたので驚いた。
「い、一万円入ってましたよ!いいんでしょうか!?」
「副社長の気持ちなんだから、有難く受け取ったら。…ちなみに副社長本人が渡すと受け取らないと困るからって言われて預かって来たから、俺にも返さないでよ!」
驚いてはしゃいでしまう私に対して、冷静な相良さんは呆れた様に返答する。
「わっ、分かりました…。じゃあ、相良さん、今日はこれで御飯食べに行きましょ!…駄目ですか?」
「……駄目じゃないけど、折角貰ったんだから自分の為に使ったら良いのに」
「え?だって、相良さんと一緒に行くんだから自分の為でもありますよ?」
「……あ、そう…」
私は何か変な事を言ったかな?
横目でチラリと見られたと思ったら、素っ気のない返事をされました。
相良さんと一緒に食事に行く事は私にとっても大切な事だから、謝礼がなくなっても惜しくない。
会計時に財布を出したら断られ、いつも相良さんが支払いをしてくれているので、こんな機会でもないとお返し出来ない。
美味しいものが食べたいな。
「何か食べたいものはありますか?」
「……今日は和奏が決めて」
「分かりました。ずっと気になってましたが、相良さんはお肉苦手ですか?」
出かける時は、いつも野菜多めの食事で尚且つ、魚類がある時は魚料理を選んでいるので気になっていた。
「そんな事はない。…実は家から持たされる弁当の中身が肉ばかりで、バランス良くと思うと野菜と魚に目が行ってしまうだけ」
相良さんからお弁当の話を詳しく聞けば『若いんだから体力付けなさい』と言われ、ほぼ毎日、肉が主流のお弁当が用意されているらしい。
朝、晩は魚料理の時もあれば、精進料理の様に主に野菜だけを使った料理の時もあるらしく、相良さんのお宅が興味深い。
「じゃあ、魚にしましょう。チェーン店の居酒屋なんですけど、海鮮丼の定食が美味しいし、サラダとか天ぷらとかも付いていて、凄いボリュームなんですっ」
「いいよ、そこで。和奏は食べ物の話になるとテンション上がるよね…」
確かにテンション高めに話してしまったかもしれないが、そんなに声を押し殺しながら笑わなくても良いだろう。
けれども、相良さんの笑っているところは滅多に見れないので貴重。
仕草のひとつ1つにキュンとしてしまう私は、相良さんにベタ惚れなのだ。
居酒屋に着くと仕切りの着いた二人用の席に通され、予定通りの海鮮丼の定食を注文し、更には相楽さんのお許しが出たので甘めのカクテルも注文した。
相楽さんは運転がある為にお茶にしたのだが、健康に気を使っているのか、黒烏龍茶だったりもする。
海鮮丼なのに箸でかき込まずに綺麗に食べる姿を見ては、またキュンとしてしまう。
姿勢の良さと箸の使い方が綺麗で、皿を持ちあげて食べる様子を見ては育ちの良さを感じる。
「相良さんって、いつ見ても箸使いが綺麗ですよね」
「…あぁ、箸使いね…。小さい頃、副社長と一緒に箸の使い方の教育をされて、箸の先を余り汚さなくなった」
アッサリと答えているけれど、箸の先から1センチ位しか汚していないのは、余程の訓練が必要だろうと察する。
それに比べて私と来たら…、3センチは汚してしまってるんじゃないの?
「どうしたの?食べないの?」
「たっ、食べますけど…」
箸が止まってしまった私に対して、相良さんが気遣うように尋ねた。
相良さんとのスペックの違いの差が開き過ぎていて、恥ずかしくて箸を使えなくなってしまった。
一旦、箸置きに箸を戻し、食を進めている相良さんを見つめる。
様々な面で釣り合わないのかもしれない。
相良さんは容姿端麗だし、育ちも良いし…、私なんて取り柄がないもの。
チビだし、童顔だし、仕事だって安定してないし、ピアノが弾けても役には立たない。
「…相良さん、私、あのっ…」
私の異変に気付き、相良さんも箸を置く。
「和奏?」
不思議そうに疑問形で名前を呼ばれて、私は俯きながら問いかける。
「相良さんは無理して付き合っていますか?相良さんの育ちの良さに対して、私の駄目さが浮き彫りになっていて…。
身の程知らずで本当にごめんなさいっ…。もうこれ以上、一緒に居たら、相良さんが恥ずかしい思いするかもしれないし…。あの、ほら、私は、フレンチのマナーも知りませんし…箸だって…」
ピタッ。
左頬に右手が伸ばされると、骨張った手の感触が頬に伝わる。
「顔上げて?何でそんなに卑屈になってるの?無理してるのは俺じゃなくて、本当は和奏なんじゃないの?」
「…ち、違っ」
無理している訳ではないけれど・・・相良さんに追い付きたいのに追い付けなくて、ヤキモキしているのは確かだ。
「和奏に俺がどう見えてるのか知らないけど…俺は和奏を駄目な人間だなんて思った事はないから」
「…あ、ありがとうございます…」
「何でお礼言うの?」
相良さんが否定してくれたので私は救われた。
素直に嬉しかったので、お礼を言ってしまったら相良さんはクスクスと笑い出して、左頬から右手を離していつもみたいに頭をポンポンしてくれた。
「…無理強いしてるのは俺かもしれない。和奏が嫌じゃなかったら、今度…住んでる家に来てみる?来週末は一人きりだから…」
「……お邪魔します」
"来週末は一人きり"───その言葉にドキッとしたのは、お泊まりデートを想像しただけではなく、家には他の誰かも一緒に住んでいると言う事を想像出来るからだ。
今、根掘り葉掘り聞いても、相良さんの事だから上手くはぐらかすだろうから聞きはせず、我慢する。
御両親はアメリカに住んでいるし、誰なんだろう?
まさかのシェアハウス?
でも、毎日の様にお弁当が用意されているって言ってたし…?
兄弟とか?姉や妹とか?
しかし、麗紗さんの様な美人過ぎる女性の存在が出てきたらと気が気じゃなくて落ち着かないけれど、当日までのお楽しみにするしかないかな…。
「両親は渡米してるし、誰と住んでるの?…って聞きたいんでしょ?和奏の顔を見てればバレバレだから。遠慮なく聞けば良いのに」
「聞いたら教えてくれましたか?」
「……さぁ?どうかな?和奏の驚く顔が見たいから、当日まで言わないかも」
「うぅ…、やっぱりそうですよね。まぁ、最初から教えてくれると思ってなかったけど…」
意地悪そうな笑みを浮かべて、私を見てはからかって楽しんでいる。
先に食ベ終わった相良さんは私に甘味のメニューを差し出したので、ついつい誘惑に負けてしまった。
箸の使い方を気にしつつ、海鮮丼の定食を間食した後、小豆とホイップクリームが添えてある抹茶アイスを食べつつ、別な甘めのカクテルをお代わりをした。
一匙すくい上げて「抹茶アイス食べます?」と聞いたら、私のスプーンを持つ手を掴み、自分の口まで運ぶ。
「結構苦い…」と言い、唇を舌先で舐める仕草が何とも言えない色気を放っていて、私は目が離せなかった。
職場では見せない裏の顔を独り占め出来るのは彼女の特権。
食事を済ませ店の外に出ると、少しホロ酔い気分の私はもっと独り占めしたくて相良さんの左腕に右腕を絡ませる。
相良さんは抵抗もせず、何にも言わず、まるで猫を撫でるかのように私の頭をクシャクシャと撫でる。
絡めた腕の体温が心地良く、汗ばみを感じない。
夜は少しづつ肌寒さを感じさせて、季節が夏から秋へと変わろうとしている。
「私、相良さんに相応しくなれるように頑張りますね」
箸先の使い方からフレンチの食事のマナー、料理の腕も上げたいし、相良さんに相応しい女性になる為には数を上げたらキリが無い程に学ぶべき事が沢山ある。
「和奏は和奏のままでいいよ。背伸びしなくていいから」
「それじゃ駄目です!相良さんの彼女と堂々と言える日が来た時に、相良さんが皆から避難されたら困りますから!」
「…っふふ、せいぜい牛乳でも飲んで頑張ってね」
「し、身長の話じゃないですよ!…って、聞いてます?」
声を潜めて笑う相良さんは意地悪で、155センチしか身長のない私を小馬鹿にするかのように話をはぐらかした。
相良さんが私の頭を再び撫でてから、車に乗り込む。
乗り慣れた助手席、安心する爽やかな香り、唯一変わった事は車内のBGMが相良さんの好きな洋楽に変わった事。
今までは副社長が置いていった音源だったけれど、最近では自分の好きな洋楽以外の私の好きな曲もかけてくれたりもする。
少しずつ知っていく相良さんの事。
これからも隣に居たいから、移り変わる季節と共に私も変わりたい。
まずは思い付くままに頑張ろう───……
不機嫌発動中で、いつもならドアを開けてくれるのに降りもせず、半開きにした窓から低い声が届いた。
今までのエスコート的な行為が当たり前ではなく、自分でドアを開く事が当たり前だったと今更思う。
「…お願いします」
助手席に乗り込むと相良さんを横目で気にしながら、ベルトを締める。
「はい、これ。副社長から…」
運転しながら、左手で渡されたのは"謝礼"と書かれた封筒。
「何ですか、コレ?」
「勤務時間外に仕事の話をしてしまったから、謝礼だって。胡桃沢さん、基本は定時キッチリの派遣だからじゃない?」
残業は申請しないと出来ない事になっているので、色々と面倒なのだろう。
気になったので、その場で開けてみると・・・な、何と一万円が入っていたので驚いた。
「い、一万円入ってましたよ!いいんでしょうか!?」
「副社長の気持ちなんだから、有難く受け取ったら。…ちなみに副社長本人が渡すと受け取らないと困るからって言われて預かって来たから、俺にも返さないでよ!」
驚いてはしゃいでしまう私に対して、冷静な相良さんは呆れた様に返答する。
「わっ、分かりました…。じゃあ、相良さん、今日はこれで御飯食べに行きましょ!…駄目ですか?」
「……駄目じゃないけど、折角貰ったんだから自分の為に使ったら良いのに」
「え?だって、相良さんと一緒に行くんだから自分の為でもありますよ?」
「……あ、そう…」
私は何か変な事を言ったかな?
横目でチラリと見られたと思ったら、素っ気のない返事をされました。
相良さんと一緒に食事に行く事は私にとっても大切な事だから、謝礼がなくなっても惜しくない。
会計時に財布を出したら断られ、いつも相良さんが支払いをしてくれているので、こんな機会でもないとお返し出来ない。
美味しいものが食べたいな。
「何か食べたいものはありますか?」
「……今日は和奏が決めて」
「分かりました。ずっと気になってましたが、相良さんはお肉苦手ですか?」
出かける時は、いつも野菜多めの食事で尚且つ、魚類がある時は魚料理を選んでいるので気になっていた。
「そんな事はない。…実は家から持たされる弁当の中身が肉ばかりで、バランス良くと思うと野菜と魚に目が行ってしまうだけ」
相良さんからお弁当の話を詳しく聞けば『若いんだから体力付けなさい』と言われ、ほぼ毎日、肉が主流のお弁当が用意されているらしい。
朝、晩は魚料理の時もあれば、精進料理の様に主に野菜だけを使った料理の時もあるらしく、相良さんのお宅が興味深い。
「じゃあ、魚にしましょう。チェーン店の居酒屋なんですけど、海鮮丼の定食が美味しいし、サラダとか天ぷらとかも付いていて、凄いボリュームなんですっ」
「いいよ、そこで。和奏は食べ物の話になるとテンション上がるよね…」
確かにテンション高めに話してしまったかもしれないが、そんなに声を押し殺しながら笑わなくても良いだろう。
けれども、相良さんの笑っているところは滅多に見れないので貴重。
仕草のひとつ1つにキュンとしてしまう私は、相良さんにベタ惚れなのだ。
居酒屋に着くと仕切りの着いた二人用の席に通され、予定通りの海鮮丼の定食を注文し、更には相楽さんのお許しが出たので甘めのカクテルも注文した。
相楽さんは運転がある為にお茶にしたのだが、健康に気を使っているのか、黒烏龍茶だったりもする。
海鮮丼なのに箸でかき込まずに綺麗に食べる姿を見ては、またキュンとしてしまう。
姿勢の良さと箸の使い方が綺麗で、皿を持ちあげて食べる様子を見ては育ちの良さを感じる。
「相良さんって、いつ見ても箸使いが綺麗ですよね」
「…あぁ、箸使いね…。小さい頃、副社長と一緒に箸の使い方の教育をされて、箸の先を余り汚さなくなった」
アッサリと答えているけれど、箸の先から1センチ位しか汚していないのは、余程の訓練が必要だろうと察する。
それに比べて私と来たら…、3センチは汚してしまってるんじゃないの?
「どうしたの?食べないの?」
「たっ、食べますけど…」
箸が止まってしまった私に対して、相良さんが気遣うように尋ねた。
相良さんとのスペックの違いの差が開き過ぎていて、恥ずかしくて箸を使えなくなってしまった。
一旦、箸置きに箸を戻し、食を進めている相良さんを見つめる。
様々な面で釣り合わないのかもしれない。
相良さんは容姿端麗だし、育ちも良いし…、私なんて取り柄がないもの。
チビだし、童顔だし、仕事だって安定してないし、ピアノが弾けても役には立たない。
「…相良さん、私、あのっ…」
私の異変に気付き、相良さんも箸を置く。
「和奏?」
不思議そうに疑問形で名前を呼ばれて、私は俯きながら問いかける。
「相良さんは無理して付き合っていますか?相良さんの育ちの良さに対して、私の駄目さが浮き彫りになっていて…。
身の程知らずで本当にごめんなさいっ…。もうこれ以上、一緒に居たら、相良さんが恥ずかしい思いするかもしれないし…。あの、ほら、私は、フレンチのマナーも知りませんし…箸だって…」
ピタッ。
左頬に右手が伸ばされると、骨張った手の感触が頬に伝わる。
「顔上げて?何でそんなに卑屈になってるの?無理してるのは俺じゃなくて、本当は和奏なんじゃないの?」
「…ち、違っ」
無理している訳ではないけれど・・・相良さんに追い付きたいのに追い付けなくて、ヤキモキしているのは確かだ。
「和奏に俺がどう見えてるのか知らないけど…俺は和奏を駄目な人間だなんて思った事はないから」
「…あ、ありがとうございます…」
「何でお礼言うの?」
相良さんが否定してくれたので私は救われた。
素直に嬉しかったので、お礼を言ってしまったら相良さんはクスクスと笑い出して、左頬から右手を離していつもみたいに頭をポンポンしてくれた。
「…無理強いしてるのは俺かもしれない。和奏が嫌じゃなかったら、今度…住んでる家に来てみる?来週末は一人きりだから…」
「……お邪魔します」
"来週末は一人きり"───その言葉にドキッとしたのは、お泊まりデートを想像しただけではなく、家には他の誰かも一緒に住んでいると言う事を想像出来るからだ。
今、根掘り葉掘り聞いても、相良さんの事だから上手くはぐらかすだろうから聞きはせず、我慢する。
御両親はアメリカに住んでいるし、誰なんだろう?
まさかのシェアハウス?
でも、毎日の様にお弁当が用意されているって言ってたし…?
兄弟とか?姉や妹とか?
しかし、麗紗さんの様な美人過ぎる女性の存在が出てきたらと気が気じゃなくて落ち着かないけれど、当日までのお楽しみにするしかないかな…。
「両親は渡米してるし、誰と住んでるの?…って聞きたいんでしょ?和奏の顔を見てればバレバレだから。遠慮なく聞けば良いのに」
「聞いたら教えてくれましたか?」
「……さぁ?どうかな?和奏の驚く顔が見たいから、当日まで言わないかも」
「うぅ…、やっぱりそうですよね。まぁ、最初から教えてくれると思ってなかったけど…」
意地悪そうな笑みを浮かべて、私を見てはからかって楽しんでいる。
先に食ベ終わった相良さんは私に甘味のメニューを差し出したので、ついつい誘惑に負けてしまった。
箸の使い方を気にしつつ、海鮮丼の定食を間食した後、小豆とホイップクリームが添えてある抹茶アイスを食べつつ、別な甘めのカクテルをお代わりをした。
一匙すくい上げて「抹茶アイス食べます?」と聞いたら、私のスプーンを持つ手を掴み、自分の口まで運ぶ。
「結構苦い…」と言い、唇を舌先で舐める仕草が何とも言えない色気を放っていて、私は目が離せなかった。
職場では見せない裏の顔を独り占め出来るのは彼女の特権。
食事を済ませ店の外に出ると、少しホロ酔い気分の私はもっと独り占めしたくて相良さんの左腕に右腕を絡ませる。
相良さんは抵抗もせず、何にも言わず、まるで猫を撫でるかのように私の頭をクシャクシャと撫でる。
絡めた腕の体温が心地良く、汗ばみを感じない。
夜は少しづつ肌寒さを感じさせて、季節が夏から秋へと変わろうとしている。
「私、相良さんに相応しくなれるように頑張りますね」
箸先の使い方からフレンチの食事のマナー、料理の腕も上げたいし、相良さんに相応しい女性になる為には数を上げたらキリが無い程に学ぶべき事が沢山ある。
「和奏は和奏のままでいいよ。背伸びしなくていいから」
「それじゃ駄目です!相良さんの彼女と堂々と言える日が来た時に、相良さんが皆から避難されたら困りますから!」
「…っふふ、せいぜい牛乳でも飲んで頑張ってね」
「し、身長の話じゃないですよ!…って、聞いてます?」
声を潜めて笑う相良さんは意地悪で、155センチしか身長のない私を小馬鹿にするかのように話をはぐらかした。
相良さんが私の頭を再び撫でてから、車に乗り込む。
乗り慣れた助手席、安心する爽やかな香り、唯一変わった事は車内のBGMが相良さんの好きな洋楽に変わった事。
今までは副社長が置いていった音源だったけれど、最近では自分の好きな洋楽以外の私の好きな曲もかけてくれたりもする。
少しずつ知っていく相良さんの事。
これからも隣に居たいから、移り変わる季節と共に私も変わりたい。
まずは思い付くままに頑張ろう───……
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