【完結】夫に穢された純愛が兄に止めを刺されるまで

猫都299

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【ハーレムに加えてほしいと頼まれたけどオレは純愛厨だから君だけいればいい・下】【※多一視点】

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 紫織の兄に起こった事を知る。紫織を庇って怪我をした後、行方が分からなくなったと聞いた。

 紫織は暫く、学校を休んでいた。

 学校に来るようになってからの彼女は、笑わなくなった。できなかったんだと思う。

 オレは傍にいる事しかできず、ただ彼女を見守っていた。


 拓馬が以前、玻璃の悪い噂を流したのは……紫織に執着する仁の関心を逸らす為だったようだ。無駄だったけど。

 賢吾は薄々、気付いていた。「殺人鬼役」は多分、仁だろうと。
 逃避行ルートの舞台を探していた時、地図に番号で1から9までの場所を示されたが……可能性の高い番号を、逆に言ったそうだ。足止めの為に、わざと。
 本当は「9」ではなく「6」番が本命だった。
 本を逆さに読んでいたのは、オレにヒントを伝えたかったのだと。
 分かるかよ!

 だが仁は、苦々しい顔で賢吾を睨んでいた。効果はあったらしい。

 それにしても。今は魔法を封じられているとは言え。これから仁と、どう関わっていけばいいんだ?
 オレは軽い怪我で済んだけど、紫織のお兄さんは……。

 あの件があった以降……仁は性格が暗くなったかのように、どんよりした面持ちでいる。
 教室の後方の席に座り俯いている仁を、複雑な心境で眺める。

 しかし。休み時間中の教室に拓馬が訪れた際、状況が変わった。拓馬が言い放つ。

「こいつの面倒は、オレが見る!」

 クラス中の視線が、拓馬と仁……二人へ集中する。

「オレは、この人生も泥臭く生きていこうと思ってる! こいつも、道連れにしてやる!」

 拓馬の宣言に、仁の相貌が青ざめていく。

「なっ! オレは……!」

 反論しようとする仁の言葉が遮られる。

「オレが色々、教えてやるよ」

 提案する拓馬の顔には、魔王のような凄みのある笑みが浮かんでいる。

「いっ……嫌だ……!」

 二人の間に、一体……何があったんだ。涙目になっている仁が、拓馬によって廊下の方へと引きずられて行く。

 彼らの側へ、歩み寄る人物がいる。賢吾と三弥、恭四だ。

 賢吾が指摘する。

「まさか。噂の通り、二人……高校へ行かないつもりなんです? 受験から逃れる気ですか……?」

 薄らと……賢吾たちの周辺に、怒りのオーラが漂っている雰囲気を感じる。
 三弥も腹黒そうな笑顔で、ねっとりと言う。

「ボクたちを仲違いさせた罪は、重いよ?」

 恭四も訴える。

「お前らだけ、ずりーぞ!」

 オレも交ざって、ツッコミを入れる。

「恭四のは、ただ勉強をしたくないだけだろ」

 仁のした事は許していいものじゃないが……再び道を踏み外さないように、見守るぐらいは手伝わねーとな。

 拓馬が、ポカンとした表情で呟く。

「え……オレも?」

 その後、仁と拓馬の二人は……賢吾と三弥の指導で、みっちりと勉強させられた。



 中学を卒業する頃、紫織に確認する。いつも通る細い坂道の、石垣の側で。やっとの心境で、気持ちを尋ねる。

「高校を卒業したら、結婚してほしい」

 振られるかもしれないと覚悟して口を結んだ時、返事をもらった。

 ……受け入れてくれた。

 勢い余って、彼女を抱きしめる。

「フフッ」

 彼女の笑い声を聞いたのは、本当に久しぶりで……込み上げるものがある。
 涙を溜めた瞳で、微笑まれる。

「何で多一君も、泣いてるの? ……ありがとう」
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