転生令嬢と王子の恋人

ねーさん

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 ある朝、目覚めたら、侯爵令嬢になっていた件

 鏡を見て浮かんだ言葉に思わず「ラノベのタイトルか…」と自分でツッコミを入れてしまった。

 誰だこれは。

 真っ直ぐなブラウンの髪に琥珀色の瞳、色は白く、唇は赤い。フリルたっぷりのドレス、胸はさほど大きくなさそう。細い腰、背も高い。
「化粧が派手…」
 つぶらと言えば聞こえは良いが…目が小さい。アイライン引きすぎ。アイシャドウもピンクが濃すぎる。鼻も低め。ノーズシャドウ入れすぎ。眉は自眉に少し描き足してある。唇は薄くなく厚くなくいい感じだけど、口紅が赤すぎる。髪は肩甲骨を隠す位。

 ええと。

 私は…リサコ。苗字は思い出せないな…17歳の高校三年生。黒髪に黒い瞳の典型的日本人。背は高くないがスリム。胸はやはりなかった。受験を控えた夏休みで、勉強の息抜きに本屋へ行く途中で歩道を爆走してきた自転車にぶつかられ…たような気がする。

 私はリザ・クロフォード。17歳で学園の三年生。学年は四年制だから卒業はまだ。クロフォード侯爵家の次女で………
 ……第二王子の婚約者。

「あれぇ?」
 どちらの記憶もある。
 両手で頭を抱える。目の前の鏡に写った令嬢も同じように頭を抱えた。
「どうなさいました?リザ様」
 幼なじみとも言える侍女のジューンが声を掛けてくる。
「ジューン、私…死にかけた?」
「は?」
 転生前の記憶を取り戻すと言えば、大怪我や熱など、主人公が死にかけた時が多い。
 そう思って言ってみたが、ジューンはものすごく怪訝そうだ。
「違う…みたいね」
 しかし侍女が主家の令嬢に向かって「は?」とは些か不敬では?
 …いやいや、ジューンと私はずっとこうだったわ。
「…ジューン、私、絶賛混乱中よ」
「リザ様?」
「『令嬢の嗜み』である『気の失い方』も思い出せないわ」
「ええ!?あの『伝家の宝刀』『令嬢の最終兵器』を!?」
 ジューンが驚愕の表情を浮かべた。

「…とりあえず、お化粧を落とすわ」


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