転生令嬢と王子の恋人

ねーさん

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 ゴヴァンに伴われて生徒会室に入ると、生徒会長の机にランドルフ・リードが座り、副会長の席にマーク・スペンサーが、応接セットにはクリストファー・マーシャルとエリック・ドイルが座っていた。
 …ロイド殿下はいないのね。
 リザは生徒会室を見渡して小さく息を吐く。
 流石に婚約者からやってもいない不正行為を糾弾されるのは辛過ぎる。

「来たか。リザ・クロフォード」
 ランドルフが立ち上がり、リザの前に移動すると、他の三人も立ち上がり、ランドルフに並んだ。ゴヴァンもランドルフたちの後ろに立ち、一対五で向かい合う形になった。
「確かに君は成績優秀だが、いきなり一位を、それもほぼ満点で取るとはおかしいだろう」
 ランドルフが言うと皆が頷く。
「おかしいですか?」
 リザはわざと大きく首を傾げた。
「私、最近とても勉強しておりますし、当然考査の対策もしておりますわ」
「君はロイド殿下の婚約者だろう?王族との結婚が決まっているのに必死に勉強する意味がどこにある?ただ一位を取りたかっただけだろう?」
 ランドルフはリザを嘲笑うように言う。
「では、将来が決定している私が不正をしてまで一位を取りたかった理由は何ですか?」
 リザはランドルフを睨む。
「殿下に近付くローズへの圧力のため」
「は?」
「ローズに自分の方が上だと分かりやすく誇示するため、ではないのか?」
 リザはローズが成績が良いのか悪いのかすら知らないのだが、確かにローズが学年一位を取ったとは聞いた事はないのでリザが一位になれば確実にローズよりは上だと示せるだろう。
「そんなマウント取るような真似…」
 リザがそれをして何の意味があるのか。
「マウント?」
「いえ」
「…つまり、自分の方が優秀だと示す事でローズを落胆させるのが目的だ」
「ローズさんは私が一位になった事で落胆しているのですか?」
「そうだ。可哀想に『殿下に私は相応しくない』と泣いていた」
 ランドルフが眉間に皺を寄せながらそう言うと、後ろの四人も痛ましそうな表情かおをする。
「お前はローズを傷付けたかったんだろう?まんまとそうなって満足か?」
 今まで黙っていたマークがリザを睨みながら言う。
「ローズを泣かせるなんて…」
 エリックも呟く。
 ああ、みんなローズさんを好きなのね…
 でも普通好きな女性が他の男性を想って泣いていたら、慰めてあわよくば自分の方を振り向かせたいと思うものなんじゃないの?揃って「ローズが可哀想」と私に敵意を向けてくるなんて…これがゲームの強制力なの?
「…先程、ニューマン先生は『不正行為を認めた』と仰いました。証拠があるなら示してください。ないなら他の生徒の前で私の汚名を晴らしてください」
 リザは低い声で言う。
「汚名?お前はローズを傷付けた。充分な罪だ」
 マークが口角を上げて言う。
「…スペンサー様は私が証拠もなく不正行為を疑われても、ローズさんを傷付けたのだから仕方ないと?」
「そうだ」
 不正行為をしたと思われた私が、皆からどんな目で見られるか、どんな噂をされるか…それを。
「ローズさんが勝手に傷付いたのよ。私のせいじゃないわ」
 リザはスカートを握りしめる。
「はあ?」
 五人の咎めるような視線がリザを刺した。
「ローズさんがロイド殿下を好きなら、私はいつでも婚約解消に応じますから!だからもう私を巻き込まないで!」
 そう言うと、リザは踵を返し生徒会執務室の扉へ向かう。
 悔しくて涙が滲んだ。

 勢い良く扉を開けると、そこにロイドが立っていた。
「ロイド殿下…」
 リザがロイドを見上げるとロイドは呆然として口を開く。
「…不正行為で生徒会室に呼ばれたと…聞いて…」
 リザの眼から涙が溢れた。
「何故泣いている?」
「殿下のせいです」
「…俺の?」
 ロイドがリザの方へ手を伸ばすが、リザは後退さがってそれを避けた。
「殿下はさっさとローズさんとくっついて、私との婚約を解消してください!」
 リザはロイドの脇をすり抜けて走り出す。
「リザ!」
 背中にロイドの声が聞こえた。
 殿下に初めて名前を呼ばれたわ。
 リザは廊下を走りながらそう思った。
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