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リネットがバーストン伯爵家に帰り着いた時にはもう夜になっていたが、チャールズとエル、姪のミリアムが揃って出迎えてくれた。
馬車から降り立つリネットにチャールズが手を差し出す。
「おかえり、リネット」
兄が困ったように笑うのを見て、リネットの涙腺が崩壊した。
「おにいさま~うええ~」
チャールズは胸に顔を押しつけて泣くリネットの頭をゆっくり撫でてくれた。
兄からの手紙にはアリシアの件の後に、セルダがリリアと婚約を解消し、自分の選んだ令嬢を妃とできる事を条件に王太子となる事を受け入れたと書いてあった。
ただセルダの選ぶ令嬢が誰かは公には明かされてなく、セルダが自分で口説き落とす事、身分を使って相手の令嬢に押し付ける事がないようにと取り決められたそうだ。
学園の冬期と春期の間の休暇中に行われる立太子式までに口説き落とせなければセルダの妃候補は改めて議会が決めることになり、リリアの結婚相手は王家が責任を持って決める事となった。
でもきっとセドリックもリリアも…私だって…知っているんだわ。
「リネットさん、おかえりなさい。疲れたでしょう?」
エルがリネットの手を握ってくれた。
「お義姉様…」
「リネちゃん~ミリぺこぺこよ~」
エルに抱かれたミリアムがチャールズと同じようにリネットの頭に手を伸ばす。思わずふふっと笑みが漏れた。
「…ミリアム、ご飯食べずに待っててくれたの?」
「うん!」
「ありがと。お兄様もお義姉様もありがとう…」
-----
「今日はお忍びだから堅苦しい挨拶はいらないよ。リネット嬢」
リネットがゴルディ家の別荘から家に戻った翌日、セルダがバーストン家にお忍びで訪ねて来た。
「セルダ殿下」
セルダの待つ応接室に重い気持ちで向かったリネットは、セルダの満面の笑みに迎えられて驚いた。
「…色々と驚かせたり困惑させたりした自覚はあるんだ。これでも」
セルダはばつが悪そうに頭を掻く。俯いた紫の瞳がいつもより青く見えた。
リネットはすうっと息を吸い込むと、意を決して喋り出した。
「あの!何で私なんですか?どこが良いんですか?本気なんですか?いつからですか?私婚約者いるんですけどご存知ですよね?リリアとセドリックには私の事伝えたんですか?」
聞きたいと思っていた事が全部口から溢れた。
こんな一度に聞くつもりはなかったけど、まあ…聞き逃すよりは良いか。
こほん。と小さく咳払いをして、リネットは目の前に置かれた紅茶を一口飲んだ。
セルダはクスクスと笑いながら
「最初はね、生徒会のサポートに来てくれたリネット嬢の淹れてくれた紅茶が美味しいなあと思ったからなんだ」
と嬉しそうに言う。
「だからいつも休憩の時にはリネット嬢を指名してお茶を淹れてもらってた」
「そういえば、そうでしたね」
リネットも頷く。そういえばセルダ居る時はいつもリネットにお茶を淹れるように言っていたと思い当たる。
「きっかけはそんな些細な事だけど、同じクラスだし、段々見てたらかわいいな~と思うようになって」
「かわっ!?」
「そうしたら、ずっとリネット嬢にお茶を淹れて欲しいな~コロコロ笑うところを見ていたいな~と思って。学園を卒業しても…つまり好きなんだなあ、と」
「すっ…」
セルダが真っ直ぐにリネットを見ながら微笑む。
あまりにセルダが嬉しそうなのでリネットは赤くなりながら絶句してしまう。
「でも口に出すつもりはなかったんだよ。もちろん態度にも出してなかったと思うし。決められた通りリリア嬢と結婚する事にも不服はなかったしね。」
「だっ…だったら…」
「兄上が『真実の愛』を見つけて、遠い将来にでもその娘と結ばれる可能性ができたのを見ると、私も堪えられなくなったんだ」
笑顔から一転、真面目な表情になり、真っ直ぐ自分を捉えるセルダの視線にリネットはごくりと息を飲む。
「真実の愛」の連鎖…。
「リネット嬢がセドリック・ゴルディ殿と婚約している事ももちろん知っている。セドリック殿とゴルディ侯爵とは昨日話して、リネット嬢に求婚する許可はもらったよ」
セドリック、許可したんだ…。
昨日の、リネットの顔を見ないセドリックを思い出し、リネットの胸はツキンと痛んだ。
セルダは立ち上がると、リネットの前に跪き、手を取ってリネットを見上げる。
真っ直ぐなセルダの紫の瞳に真剣さと甘さを見つけ、リネットは頭がくらくらしてきた。
「リネット嬢…私は貴女が好きだ。私の妃になる事を真剣に考えてみて欲しい」
リネットがバーストン伯爵家に帰り着いた時にはもう夜になっていたが、チャールズとエル、姪のミリアムが揃って出迎えてくれた。
馬車から降り立つリネットにチャールズが手を差し出す。
「おかえり、リネット」
兄が困ったように笑うのを見て、リネットの涙腺が崩壊した。
「おにいさま~うええ~」
チャールズは胸に顔を押しつけて泣くリネットの頭をゆっくり撫でてくれた。
兄からの手紙にはアリシアの件の後に、セルダがリリアと婚約を解消し、自分の選んだ令嬢を妃とできる事を条件に王太子となる事を受け入れたと書いてあった。
ただセルダの選ぶ令嬢が誰かは公には明かされてなく、セルダが自分で口説き落とす事、身分を使って相手の令嬢に押し付ける事がないようにと取り決められたそうだ。
学園の冬期と春期の間の休暇中に行われる立太子式までに口説き落とせなければセルダの妃候補は改めて議会が決めることになり、リリアの結婚相手は王家が責任を持って決める事となった。
でもきっとセドリックもリリアも…私だって…知っているんだわ。
「リネットさん、おかえりなさい。疲れたでしょう?」
エルがリネットの手を握ってくれた。
「お義姉様…」
「リネちゃん~ミリぺこぺこよ~」
エルに抱かれたミリアムがチャールズと同じようにリネットの頭に手を伸ばす。思わずふふっと笑みが漏れた。
「…ミリアム、ご飯食べずに待っててくれたの?」
「うん!」
「ありがと。お兄様もお義姉様もありがとう…」
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「今日はお忍びだから堅苦しい挨拶はいらないよ。リネット嬢」
リネットがゴルディ家の別荘から家に戻った翌日、セルダがバーストン家にお忍びで訪ねて来た。
「セルダ殿下」
セルダの待つ応接室に重い気持ちで向かったリネットは、セルダの満面の笑みに迎えられて驚いた。
「…色々と驚かせたり困惑させたりした自覚はあるんだ。これでも」
セルダはばつが悪そうに頭を掻く。俯いた紫の瞳がいつもより青く見えた。
リネットはすうっと息を吸い込むと、意を決して喋り出した。
「あの!何で私なんですか?どこが良いんですか?本気なんですか?いつからですか?私婚約者いるんですけどご存知ですよね?リリアとセドリックには私の事伝えたんですか?」
聞きたいと思っていた事が全部口から溢れた。
こんな一度に聞くつもりはなかったけど、まあ…聞き逃すよりは良いか。
こほん。と小さく咳払いをして、リネットは目の前に置かれた紅茶を一口飲んだ。
セルダはクスクスと笑いながら
「最初はね、生徒会のサポートに来てくれたリネット嬢の淹れてくれた紅茶が美味しいなあと思ったからなんだ」
と嬉しそうに言う。
「だからいつも休憩の時にはリネット嬢を指名してお茶を淹れてもらってた」
「そういえば、そうでしたね」
リネットも頷く。そういえばセルダ居る時はいつもリネットにお茶を淹れるように言っていたと思い当たる。
「きっかけはそんな些細な事だけど、同じクラスだし、段々見てたらかわいいな~と思うようになって」
「かわっ!?」
「そうしたら、ずっとリネット嬢にお茶を淹れて欲しいな~コロコロ笑うところを見ていたいな~と思って。学園を卒業しても…つまり好きなんだなあ、と」
「すっ…」
セルダが真っ直ぐにリネットを見ながら微笑む。
あまりにセルダが嬉しそうなのでリネットは赤くなりながら絶句してしまう。
「でも口に出すつもりはなかったんだよ。もちろん態度にも出してなかったと思うし。決められた通りリリア嬢と結婚する事にも不服はなかったしね。」
「だっ…だったら…」
「兄上が『真実の愛』を見つけて、遠い将来にでもその娘と結ばれる可能性ができたのを見ると、私も堪えられなくなったんだ」
笑顔から一転、真面目な表情になり、真っ直ぐ自分を捉えるセルダの視線にリネットはごくりと息を飲む。
「真実の愛」の連鎖…。
「リネット嬢がセドリック・ゴルディ殿と婚約している事ももちろん知っている。セドリック殿とゴルディ侯爵とは昨日話して、リネット嬢に求婚する許可はもらったよ」
セドリック、許可したんだ…。
昨日の、リネットの顔を見ないセドリックを思い出し、リネットの胸はツキンと痛んだ。
セルダは立ち上がると、リネットの前に跪き、手を取ってリネットを見上げる。
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