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三色魔法少女の動向
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「自分は、何もできなかった」
部屋の中でそう呟き、膝を抱え込むのは蒼炎の魔法少女であるアオイ。
音の使徒に圧倒的な敗北を二度受け、先日には売人達に抵抗できずにいた。
魔法の性能が他の魔法少女よりも高く、魔法しか扱って来なかった。
それで十分だった。探索者としての魔法士で考えるならとても優秀な部類だろう。
しかし、彼女は魔法少女の責務を背負っていると思っている。
自分が弱いと誰も守れないと、考えてしまっている。
魔法が使えなくなった自分はとても無力である。戦闘も上手い訳じゃない。
精霊には力を与えてもらう事を拒否された。それに恨みを抱いている訳では無い。
悔しい想いはあるが、無理なのは自分が不甲斐ないからだと思っているのだ。
「強くなりたい」
自分が守れるモノはきっと他の誰かが守れるモノ。
それでも何かを守りたい。守れる存在でありたい。
自分にしかできない事は求めてない。
自分にもできる事を求めている。
レベルアップも素が他の探索者よりも強くなる魔法少女だからしにくい。
魔法の威力を上げるための精霊にも拒否される。
魔法が使えない状態になると、ただのお荷物。
そんな自分を変えたくて、様々な武芸を始めたがどれも才能が無い。
魔法の才能はあっても武芸の才能はない。
才能を上回る力も無い。
ただ無力な自分に質問を投げかけて、弱いからと言う答えに辿り着く。
それを繰り返す。
「お父様、お母様、どうしたら良いのですか?」
骨と成り果てた両親の頭を持って質問する。当然答えなど帰っては来ない。
そんなアオイの頭に言葉が入る。
『力が欲しいか』
幻聴かなんなのか、それを理解するよりも早く返事をしてしまう。
「欲しい」
『全てを凌駕する力が欲しいか』
「そこまでは望まない。だけど、誰かを守れる力は欲しい。守られてしまう自分は嫌だ」
言葉は一度間を置いて、再び語る。
『己の怒りと向き合え。さすれば力を与えよう』
「怒り⋯⋯別に怒ってない。悔しいんだ。悲しいんだ。自分の弱さが」
『違う。それは怒りだ。自分が他者よりも劣る劣等感への怒り、何もできずに眠るしかできなかった己への怒り、自分の上を行く全てへの怒り』
「違う。そうじゃないわよ!」
大声で否定するが、脳内に響く声は冷徹に事実のようにもう一度、似たような言葉をかけた。
傷ついた心に言い方を変えて同じ内容の言葉を繰り返す。
自分、周り、ヘイトは様々だが、同じ『怒り』を自覚していく。
「怒り。確かにそうかもしれないわね」
ついには言葉を認めて、己が感じているのは悔しさや悲しさではなく、『怒り』だと考えた。
自分の弱さに対する怒り。
その燃えたぎる怒りを誤魔化す様に、悲しさなどと言う感情を持っていた。そう自覚してしまった。
『ならば与えよう。その怒りを力に変えて、全てに抗える力を』
「え?」
アオイの全身が焼ける様な熱い何かに支配される。
その熱は止まるところを知らず、広まり肥大化していく。
渦巻き膨れ上がるその感情はただ一つ『怒り』だ。
大きくなった怒りは別の方向へと、向かおうとしていた。
◆
ミドリが子供達の寝たのを確認して、自室へと向かった。
「さて。今日はどうかな」
子供達に毎日の日記を取らせている。
学校で起こった事や友達と遊んだ事、何でも良い。
ただ日常を残したくて日記を習慣化させている。その日記を寝る前に見るのがミドリの楽しみだ。
いずれその『楽しい』や『ワクワク』は消えるだろうが、それまでは大切にしようと思っていた。
悲しい想いはさせたくない。
「⋯⋯ッ!」
すぐさま地面に膝を着く。
何も無い虚空からなんの前触れもなく、いきなり天使のような存在が現れた。
「ミカエル様。下界へ降りてくださるとは⋯⋯どのような要件でしょうか?」
「悪魔を宿したモノの強い気配がする。即刻処分して欲しい」
言葉のトーンは一定であり、そこに感情らしきモノは一切ない。
ただ目的を淡々と口にする。
「御意。緑風の魔法少女が責任持って、その愚か者を始末いたします」
「ああ。しっかり責務を果たせ」
そのように言ってから大天使ミカエルは一瞬で姿を消した。
ゆっくりとドアが開いて、一人の子供が入って来る。
「ミドリお姉ちゃん」
「どったの?」
「──くんが漏らして、大混乱」
「ありゃま。今行く」
ミドリは子供達が寝る場所へと向かった。
◆
ミズノは最近、アオイにダンジョン探索が誘われなくて凹んでいた。
自分が弱いから誘われないと、思っている。
『力が欲しいか』
そんなミズノの脳内に直接言葉が投げかけられる。
「欲しい」
『ならば⋯⋯』
「⋯⋯でも与えられたくは無い。ミズノは自分の力で強くならないと、意味が無い。ミズノがミズノを認められない」
自分の力で強くならないと意味が無いと、言葉に対して言った。
その決意発言以降、言葉が脳内に流れる事はなかった。
「アオイちゃんを求め過ぎて幻聴が聞こえ始めた」
そう結論を付けて、ミズノは剣術と魔法を同時に使える様に練習を始めた。
何が起こっているかも分からないまま、訓練を続ける。
部屋の中でそう呟き、膝を抱え込むのは蒼炎の魔法少女であるアオイ。
音の使徒に圧倒的な敗北を二度受け、先日には売人達に抵抗できずにいた。
魔法の性能が他の魔法少女よりも高く、魔法しか扱って来なかった。
それで十分だった。探索者としての魔法士で考えるならとても優秀な部類だろう。
しかし、彼女は魔法少女の責務を背負っていると思っている。
自分が弱いと誰も守れないと、考えてしまっている。
魔法が使えなくなった自分はとても無力である。戦闘も上手い訳じゃない。
精霊には力を与えてもらう事を拒否された。それに恨みを抱いている訳では無い。
悔しい想いはあるが、無理なのは自分が不甲斐ないからだと思っているのだ。
「強くなりたい」
自分が守れるモノはきっと他の誰かが守れるモノ。
それでも何かを守りたい。守れる存在でありたい。
自分にしかできない事は求めてない。
自分にもできる事を求めている。
レベルアップも素が他の探索者よりも強くなる魔法少女だからしにくい。
魔法の威力を上げるための精霊にも拒否される。
魔法が使えない状態になると、ただのお荷物。
そんな自分を変えたくて、様々な武芸を始めたがどれも才能が無い。
魔法の才能はあっても武芸の才能はない。
才能を上回る力も無い。
ただ無力な自分に質問を投げかけて、弱いからと言う答えに辿り着く。
それを繰り返す。
「お父様、お母様、どうしたら良いのですか?」
骨と成り果てた両親の頭を持って質問する。当然答えなど帰っては来ない。
そんなアオイの頭に言葉が入る。
『力が欲しいか』
幻聴かなんなのか、それを理解するよりも早く返事をしてしまう。
「欲しい」
『全てを凌駕する力が欲しいか』
「そこまでは望まない。だけど、誰かを守れる力は欲しい。守られてしまう自分は嫌だ」
言葉は一度間を置いて、再び語る。
『己の怒りと向き合え。さすれば力を与えよう』
「怒り⋯⋯別に怒ってない。悔しいんだ。悲しいんだ。自分の弱さが」
『違う。それは怒りだ。自分が他者よりも劣る劣等感への怒り、何もできずに眠るしかできなかった己への怒り、自分の上を行く全てへの怒り』
「違う。そうじゃないわよ!」
大声で否定するが、脳内に響く声は冷徹に事実のようにもう一度、似たような言葉をかけた。
傷ついた心に言い方を変えて同じ内容の言葉を繰り返す。
自分、周り、ヘイトは様々だが、同じ『怒り』を自覚していく。
「怒り。確かにそうかもしれないわね」
ついには言葉を認めて、己が感じているのは悔しさや悲しさではなく、『怒り』だと考えた。
自分の弱さに対する怒り。
その燃えたぎる怒りを誤魔化す様に、悲しさなどと言う感情を持っていた。そう自覚してしまった。
『ならば与えよう。その怒りを力に変えて、全てに抗える力を』
「え?」
アオイの全身が焼ける様な熱い何かに支配される。
その熱は止まるところを知らず、広まり肥大化していく。
渦巻き膨れ上がるその感情はただ一つ『怒り』だ。
大きくなった怒りは別の方向へと、向かおうとしていた。
◆
ミドリが子供達の寝たのを確認して、自室へと向かった。
「さて。今日はどうかな」
子供達に毎日の日記を取らせている。
学校で起こった事や友達と遊んだ事、何でも良い。
ただ日常を残したくて日記を習慣化させている。その日記を寝る前に見るのがミドリの楽しみだ。
いずれその『楽しい』や『ワクワク』は消えるだろうが、それまでは大切にしようと思っていた。
悲しい想いはさせたくない。
「⋯⋯ッ!」
すぐさま地面に膝を着く。
何も無い虚空からなんの前触れもなく、いきなり天使のような存在が現れた。
「ミカエル様。下界へ降りてくださるとは⋯⋯どのような要件でしょうか?」
「悪魔を宿したモノの強い気配がする。即刻処分して欲しい」
言葉のトーンは一定であり、そこに感情らしきモノは一切ない。
ただ目的を淡々と口にする。
「御意。緑風の魔法少女が責任持って、その愚か者を始末いたします」
「ああ。しっかり責務を果たせ」
そのように言ってから大天使ミカエルは一瞬で姿を消した。
ゆっくりとドアが開いて、一人の子供が入って来る。
「ミドリお姉ちゃん」
「どったの?」
「──くんが漏らして、大混乱」
「ありゃま。今行く」
ミドリは子供達が寝る場所へと向かった。
◆
ミズノは最近、アオイにダンジョン探索が誘われなくて凹んでいた。
自分が弱いから誘われないと、思っている。
『力が欲しいか』
そんなミズノの脳内に直接言葉が投げかけられる。
「欲しい」
『ならば⋯⋯』
「⋯⋯でも与えられたくは無い。ミズノは自分の力で強くならないと、意味が無い。ミズノがミズノを認められない」
自分の力で強くならないと意味が無いと、言葉に対して言った。
その決意発言以降、言葉が脳内に流れる事はなかった。
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