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黒闇の魔法少女、それでもアナタを愛す
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「賭けは俺の勝ちだ」
違う。そうじゃない。
アカツキが変な事を言うから無意識に手を抜いてしまったのだ。
本気で殺そうとした攻撃に綻びができたのだ。
それではわたくしの事を信用したとは言えない。わたくしが失敗しただけ。
「ケロベロス、喰らいなさい!」
認めたくない。
わたくしはそんなに単純な人間じゃないはずだ。
簡単に人を信じては裏切られた。もう嫌だ。裏切られたくない。
心を闇に沈めて、目の前の唐紅の魔法少女を処分するのみ、だと言うのに力が入らない。
わたくしは彼女の事を信用しようとしているのか⋯⋯そんな訳ない。
冷静に考えなさい。
彼女は天使様の敵だと言う。つまりは裏切り以前に敵である。
わたくしが信用できる要素が全くないじゃない。
「アナタの次はミドリお姉様ですわ。それは変わらないですわ」
「変わるさ!」
どうしてそこまで、血を流しながら笑みを浮かべる事ができるのか。
わたくしには分からない。
どうしてそこまでわたくしの信用を得ようとするのか、全く分からない。
ミスしたら死んでしまうかもしれないのに。
◆
あああああ、くっそ痛え!
去勢張ってるけど今すぐに地べたをゴロゴロしたい。再生に集中したい!
ケロベロスを倒してやろうか⋯⋯ダメだ。倒したら可能性が全て消える。
「クロエさんは寂しくないのか。そんな人生を送って」
「寂しくないですわ」
「嘘だろ」
寂しくない訳が無い。
クロエさんのやっている事はとことん孤独になる。
信用できる人が近くにいるってだけで、心の余裕は大きく広がるのだ。
俺には紗奈ちゃんって言う全面的に信用できる相手がいる。
クロエさんにはミドリさんやシロエさんって言うそれにふさわしい相手がいる。
「言うの恥ずかしいけどさ。俺はクロエさんの友達になりたい! 君が傷つく事はしないし、相談だって聞ける」
「バカじゃないですの! 処分を否定されるだけで心が傷つきますわ!」
「どうしようもないじゃん!」
ケロベロスが動き出さずに俺の事を睨んでいる。
クロエさんの命令次第で攻撃して来ると思うが、来ないって事はクロエさんの中でも何か思っているはずだ。
あと一押し。
「君にも感情があるはずだ!」
「⋯⋯ッ! 感情、そうですわね」
雰囲気が変わった。
◆
感情、そうですわね。
感情なんて言うめんどくさいのがあるから悪いのですわ。
悪魔を全て殺せばわたくしのこのめんどくさい考えも消えるでしょう。
今は我慢して、責務を全うする事にしよう。
「ケロベロス」
わたくしは今度こそ、アカツキを殺そうとケロベロスに命令を飛ばす。
⋯⋯あれ?
どうしてあそこまで深手の負傷が既に再生しているのでしょうか?
さすがに早すぎる。
まぁ、構わない。
一撃で殺してしまえば全くもって問題ないのだから。
◆
ケロベロスが狂気に満ちた目を向けて俺に迫って来る。
その迫力はまじで命が奪われそうである。
抵抗しないと死ぬ⋯⋯そう思わせる気迫を感じる。
でも、俺は向き合う。抵抗しない。信用する。
一方的な信用だし、ただのギャンブルだ。
「俺はクロエさんが殺しに来ない事を信用する」
そして、紗奈ちゃんがピンチに駆けつけてくれると信用している。
駆けつけて来ないすなわち、今はピンチじゃない。
だから俺はこの攻撃でも死なない。その自信がある。
あとは痛みに全力で耐えるだけの簡単な作業だ⋯⋯簡単かなぁ?
「ぐっ」
両肩に食い込む歯が骨を砕く。
中央の頭が俺を包み込む。
「クロエさん、君は優しい子だろ。君に寄り添える友達になりたいんだ」
本心から言えていると信じている。
目を瞑り、痛みに耐えながら時間が過ぎるのを待つ。
背中と腹に食い込む歯によって、わずかだが血が流れ出す。
ゆっくりと、じわじわと食い込ませて来る。
俺の恐怖心を煽るように。動かせるのは足と頭くらいだ。
◆
⋯⋯ああ。アカツキさん。アナタはそこまで。
「認めましょう。わたくしは、甘いですね」
こんなにも単純で分かりやすい人間だったとわ。
天使様を裏切りたくない。だけど、多分わたくしにはアカツキさんもミドリお姉様も殺せない。
殺すのが⋯⋯怖い。
「ケロベロス、もう良いです。帰りましょう」
闇に沈めた人間達を全員解放しよう。
それで許される訳じゃないけど、そろそろ向き合うべきだと思う。
「アカツキさん。わたくしは⋯⋯」
アカツキさんに近づくように一歩一歩足を動かす。
その度に心のどこかで重りが落ちていく気がした。
彼女の肩が高速で再生していく。ちょっとキモイですわね。
「わたくしを裏切りますか?」
「天使のために動くなら俺は君の敵になるよ。でも、それ以外だったら俺は君の敵じゃない。信じて欲しい。君は俺を殺さない。そう信じてる」
「ふふ。甘いのはどちらでしょうね」
アカツキさんがわたくしのせいで真っ赤になった手を差し伸べてくれる。
汚いけど、わたくしは手を重ねようと伸ばした。
「ダメですわお姉様」
腹に灼熱の痛みが走る。下をゆっくりと見ると、純白に血液がべっとりと着いた手が見えた。
細くて長い、わたくしのような手。
「ダメですわ。お姉様。ダメですわ、わたくし以外の人間にたぶらかされてわ」
「ああ、シロエ。アナタは⋯⋯」
消えゆく意識にうっすらと見えた⋯⋯わたくしのリセットされた何十回と言う人生が。
わたくしを一番利用し、周りを全て操っていていた、元凶。
「シロエ⋯⋯」
それでもわたくしは妹であるアナタを、愛していますよ。
違う。そうじゃない。
アカツキが変な事を言うから無意識に手を抜いてしまったのだ。
本気で殺そうとした攻撃に綻びができたのだ。
それではわたくしの事を信用したとは言えない。わたくしが失敗しただけ。
「ケロベロス、喰らいなさい!」
認めたくない。
わたくしはそんなに単純な人間じゃないはずだ。
簡単に人を信じては裏切られた。もう嫌だ。裏切られたくない。
心を闇に沈めて、目の前の唐紅の魔法少女を処分するのみ、だと言うのに力が入らない。
わたくしは彼女の事を信用しようとしているのか⋯⋯そんな訳ない。
冷静に考えなさい。
彼女は天使様の敵だと言う。つまりは裏切り以前に敵である。
わたくしが信用できる要素が全くないじゃない。
「アナタの次はミドリお姉様ですわ。それは変わらないですわ」
「変わるさ!」
どうしてそこまで、血を流しながら笑みを浮かべる事ができるのか。
わたくしには分からない。
どうしてそこまでわたくしの信用を得ようとするのか、全く分からない。
ミスしたら死んでしまうかもしれないのに。
◆
あああああ、くっそ痛え!
去勢張ってるけど今すぐに地べたをゴロゴロしたい。再生に集中したい!
ケロベロスを倒してやろうか⋯⋯ダメだ。倒したら可能性が全て消える。
「クロエさんは寂しくないのか。そんな人生を送って」
「寂しくないですわ」
「嘘だろ」
寂しくない訳が無い。
クロエさんのやっている事はとことん孤独になる。
信用できる人が近くにいるってだけで、心の余裕は大きく広がるのだ。
俺には紗奈ちゃんって言う全面的に信用できる相手がいる。
クロエさんにはミドリさんやシロエさんって言うそれにふさわしい相手がいる。
「言うの恥ずかしいけどさ。俺はクロエさんの友達になりたい! 君が傷つく事はしないし、相談だって聞ける」
「バカじゃないですの! 処分を否定されるだけで心が傷つきますわ!」
「どうしようもないじゃん!」
ケロベロスが動き出さずに俺の事を睨んでいる。
クロエさんの命令次第で攻撃して来ると思うが、来ないって事はクロエさんの中でも何か思っているはずだ。
あと一押し。
「君にも感情があるはずだ!」
「⋯⋯ッ! 感情、そうですわね」
雰囲気が変わった。
◆
感情、そうですわね。
感情なんて言うめんどくさいのがあるから悪いのですわ。
悪魔を全て殺せばわたくしのこのめんどくさい考えも消えるでしょう。
今は我慢して、責務を全うする事にしよう。
「ケロベロス」
わたくしは今度こそ、アカツキを殺そうとケロベロスに命令を飛ばす。
⋯⋯あれ?
どうしてあそこまで深手の負傷が既に再生しているのでしょうか?
さすがに早すぎる。
まぁ、構わない。
一撃で殺してしまえば全くもって問題ないのだから。
◆
ケロベロスが狂気に満ちた目を向けて俺に迫って来る。
その迫力はまじで命が奪われそうである。
抵抗しないと死ぬ⋯⋯そう思わせる気迫を感じる。
でも、俺は向き合う。抵抗しない。信用する。
一方的な信用だし、ただのギャンブルだ。
「俺はクロエさんが殺しに来ない事を信用する」
そして、紗奈ちゃんがピンチに駆けつけてくれると信用している。
駆けつけて来ないすなわち、今はピンチじゃない。
だから俺はこの攻撃でも死なない。その自信がある。
あとは痛みに全力で耐えるだけの簡単な作業だ⋯⋯簡単かなぁ?
「ぐっ」
両肩に食い込む歯が骨を砕く。
中央の頭が俺を包み込む。
「クロエさん、君は優しい子だろ。君に寄り添える友達になりたいんだ」
本心から言えていると信じている。
目を瞑り、痛みに耐えながら時間が過ぎるのを待つ。
背中と腹に食い込む歯によって、わずかだが血が流れ出す。
ゆっくりと、じわじわと食い込ませて来る。
俺の恐怖心を煽るように。動かせるのは足と頭くらいだ。
◆
⋯⋯ああ。アカツキさん。アナタはそこまで。
「認めましょう。わたくしは、甘いですね」
こんなにも単純で分かりやすい人間だったとわ。
天使様を裏切りたくない。だけど、多分わたくしにはアカツキさんもミドリお姉様も殺せない。
殺すのが⋯⋯怖い。
「ケロベロス、もう良いです。帰りましょう」
闇に沈めた人間達を全員解放しよう。
それで許される訳じゃないけど、そろそろ向き合うべきだと思う。
「アカツキさん。わたくしは⋯⋯」
アカツキさんに近づくように一歩一歩足を動かす。
その度に心のどこかで重りが落ちていく気がした。
彼女の肩が高速で再生していく。ちょっとキモイですわね。
「わたくしを裏切りますか?」
「天使のために動くなら俺は君の敵になるよ。でも、それ以外だったら俺は君の敵じゃない。信じて欲しい。君は俺を殺さない。そう信じてる」
「ふふ。甘いのはどちらでしょうね」
アカツキさんがわたくしのせいで真っ赤になった手を差し伸べてくれる。
汚いけど、わたくしは手を重ねようと伸ばした。
「ダメですわお姉様」
腹に灼熱の痛みが走る。下をゆっくりと見ると、純白に血液がべっとりと着いた手が見えた。
細くて長い、わたくしのような手。
「ダメですわ。お姉様。ダメですわ、わたくし以外の人間にたぶらかされてわ」
「ああ、シロエ。アナタは⋯⋯」
消えゆく意識にうっすらと見えた⋯⋯わたくしのリセットされた何十回と言う人生が。
わたくしを一番利用し、周りを全て操っていていた、元凶。
「シロエ⋯⋯」
それでもわたくしは妹であるアナタを、愛していますよ。
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