173 / 179
物理系魔法少女、闇のドラゴン
しおりを挟む
今目の前で起こっている出来事に俺は頭が追いつかなかった。
クロエさんの腹から手を伸ばしているのは、シロエさんだ。
「全く、だるい事をしましたね」
手を抜くと、そこから大量の血が噴射し、風穴の空いたクロエさんは倒れる。
それを愛おしそうに抱き抱えるシロエさん。
「ああ、お姉様。やはりいつ見てもお美しい」
「シロエさん。君は何を⋯⋯」
「⋯⋯はぁ。余計な事をしてくれましたわねアカツキ」
今まで一度も聞いた事のないのドスの利いたシロエさんの声。
「死に行く貴様にわたくしの目的をお話してあげるわ」
シロエさんが今まで以上に歪んだ笑みを浮かべた。
そして話される内容に俺は骨の髄から震え上がる事になる。
「わたくしはお姉様を愛しておりますの。姉として家族として女として人間として生物として!」
恍惚な表情を浮かべながら、クロエさんの耳を引きちぎり口に運ぶ。
咀嚼音を響かせてゴクリ、喉を震わせた。
「だからお姉様にはわたくしだけを信用して欲しい。わたくしだけを見て欲しい。そのために全てを利用した。友人や教師、両親までも」
「さっきから、なんでクロエさんを食べているんだ?」
プルプルとした言葉で質問する。
髪の毛を口に運びながら、シロエさんは説明してくれた。
「リセットですわ」
「リセット?」
「はい。お姉様は死ぬと一定期間の記憶を失って蘇りますの。何十回と繰り返して、わたくしの望むお姉様に仕上がるまで繰り返すのですわ」
頬に歯を突き立てて肉を引きちぎる。
俺はただ、見ている事しかできなかった。
骨をボリボリと噛み砕く音が聞こえる。
「死んでしまったお姉様はわたくしと一つになるのですわ。ミドリお姉様から切り離せただけで順調だったのに⋯⋯」
シロエさんが俺を睨む。まるで仇でも見るような目だ。
クロエさんの召喚したケロベロスに触れると、体毛の色が白に染まる。
「殺せ」
その一言でケロベロスは俺に向かって来た。
強い殺気を感じる。
「オラッ!」
足を蹴り抜きケロベロスの中央の頭を蹴り上げた。
瞬時に拳を腹にねじ込ませて吹き飛ばす。倒さないとダメだ。
今ここでケロベロスを倒さないとシロエさんと冷静に会話できない。
「散れ」
俺はケロベロスに拳を叩き込んで倒した。
「主導権を強制的に奪ったせいで、本来の性能は使えない訳ですか」
クロエさんの姿は見えず、残ったのは口元がから指先まで血塗れたシロエさんだけだった。
彼女はゆっくりと立ち上がる。
「貴様も殺して、おの女も殺して、お姉様と二人きりにならないと。シルバーももう使えないゴミなので、処分しないとですわね」
「お、お前は本当にシロエさんなのか?」
キョトンとした目をするシロエさんはニンマリと笑った。
「確認する?」
どうやって確認するのか、俺には分からなかった。
彼女はポッケからおもむろに魔石を取り出した。
「これがわたくしが貴様の知っているシロエと同一人物の証拠ですわ」
「魔石が?」
疑問に思っていると、魔石を上に投げた。
そこに白い闇が集まって行く。
魔石を中心に闇は広がって、生物のような形を形成する。
それはまるで、ドラゴンのようだった。
「まさか、それは⋯⋯」
「そうですわ。レッドドラゴン⋯⋯スケリトルトラゴンの魔石ですわ」
シロエさんはこんな状況を想定したのか?
いや。クロエさんの最初のセリフを思い出せ。そこから紐付けろ。
仮定を立てつつ、考えろ。
苦手でも頭をフル回転しろ。
⋯⋯クロエさんはシロエさんの事を本当に信用していなかったのか?
それだったら尻拭いと言う言葉はなんだ?
クロエさんはシロエさんを妹として、しっかりと愛していて、一定の信用はおいていたんじゃないか?
尻拭い⋯⋯シロエさんは元々俺を殺そうと思っていたんじゃないか?
「あぁ本当に、本当に嫌になる」
最期にその事実を知る事になるクロエさんはどれだけ辛いのだろうか。
それすら分からないまま、新たな人生を送るのだろう。
「だああああああぁああああ!」
俺は地を蹴ってドラゴンに接近して、拳を固めてドラゴンにねじ込む。
形ある魔法なら破壊できる。
「硬い」
「当たり前ですわ」
俺は吹き飛ばされる。
「貴様の攻撃によって物理攻撃耐性が高いスケリトルトラゴンの魔石を核としたホワイトダークドラゴン。わたくしの創れる魔法生物の中では最高品質ですわ」
喜びに満ちた笑みを見せてくれる。
「あっそ。だから、どうした」
ここまでキレたのはミカエル以来だな。
ステッキをバットにして、ドラゴンの顔面をぶん殴る。
「殴って倒せない魔物はいねぇよ」
「ふふふ。アカツキ、わたくしのおもちゃになってくださいまし!」
白い闇が周囲を埋めつくし海にしていく。
バットを振るって破壊していくが、それでも押し寄せてくる海の勢いは止まらない。
海から闇の刃が伸びる。
「しゃらくせぇ!」
破壊すると、足に闇の刃が突き刺さる。
「いってぇな!」
刺さった足を動かして破壊する。飛んでくるドラゴンを軽く殴る。
「厄介ですわね。戦い方を熟知されていると」
「舐めるなよ、お子ちゃまが」
「あら、お口が悪い」
「お互い様だろ!」
俺の知っているシロエさんはもういないと考えていかないとな。
「ふぅ」
行くぞ!
クロエさんの腹から手を伸ばしているのは、シロエさんだ。
「全く、だるい事をしましたね」
手を抜くと、そこから大量の血が噴射し、風穴の空いたクロエさんは倒れる。
それを愛おしそうに抱き抱えるシロエさん。
「ああ、お姉様。やはりいつ見てもお美しい」
「シロエさん。君は何を⋯⋯」
「⋯⋯はぁ。余計な事をしてくれましたわねアカツキ」
今まで一度も聞いた事のないのドスの利いたシロエさんの声。
「死に行く貴様にわたくしの目的をお話してあげるわ」
シロエさんが今まで以上に歪んだ笑みを浮かべた。
そして話される内容に俺は骨の髄から震え上がる事になる。
「わたくしはお姉様を愛しておりますの。姉として家族として女として人間として生物として!」
恍惚な表情を浮かべながら、クロエさんの耳を引きちぎり口に運ぶ。
咀嚼音を響かせてゴクリ、喉を震わせた。
「だからお姉様にはわたくしだけを信用して欲しい。わたくしだけを見て欲しい。そのために全てを利用した。友人や教師、両親までも」
「さっきから、なんでクロエさんを食べているんだ?」
プルプルとした言葉で質問する。
髪の毛を口に運びながら、シロエさんは説明してくれた。
「リセットですわ」
「リセット?」
「はい。お姉様は死ぬと一定期間の記憶を失って蘇りますの。何十回と繰り返して、わたくしの望むお姉様に仕上がるまで繰り返すのですわ」
頬に歯を突き立てて肉を引きちぎる。
俺はただ、見ている事しかできなかった。
骨をボリボリと噛み砕く音が聞こえる。
「死んでしまったお姉様はわたくしと一つになるのですわ。ミドリお姉様から切り離せただけで順調だったのに⋯⋯」
シロエさんが俺を睨む。まるで仇でも見るような目だ。
クロエさんの召喚したケロベロスに触れると、体毛の色が白に染まる。
「殺せ」
その一言でケロベロスは俺に向かって来た。
強い殺気を感じる。
「オラッ!」
足を蹴り抜きケロベロスの中央の頭を蹴り上げた。
瞬時に拳を腹にねじ込ませて吹き飛ばす。倒さないとダメだ。
今ここでケロベロスを倒さないとシロエさんと冷静に会話できない。
「散れ」
俺はケロベロスに拳を叩き込んで倒した。
「主導権を強制的に奪ったせいで、本来の性能は使えない訳ですか」
クロエさんの姿は見えず、残ったのは口元がから指先まで血塗れたシロエさんだけだった。
彼女はゆっくりと立ち上がる。
「貴様も殺して、おの女も殺して、お姉様と二人きりにならないと。シルバーももう使えないゴミなので、処分しないとですわね」
「お、お前は本当にシロエさんなのか?」
キョトンとした目をするシロエさんはニンマリと笑った。
「確認する?」
どうやって確認するのか、俺には分からなかった。
彼女はポッケからおもむろに魔石を取り出した。
「これがわたくしが貴様の知っているシロエと同一人物の証拠ですわ」
「魔石が?」
疑問に思っていると、魔石を上に投げた。
そこに白い闇が集まって行く。
魔石を中心に闇は広がって、生物のような形を形成する。
それはまるで、ドラゴンのようだった。
「まさか、それは⋯⋯」
「そうですわ。レッドドラゴン⋯⋯スケリトルトラゴンの魔石ですわ」
シロエさんはこんな状況を想定したのか?
いや。クロエさんの最初のセリフを思い出せ。そこから紐付けろ。
仮定を立てつつ、考えろ。
苦手でも頭をフル回転しろ。
⋯⋯クロエさんはシロエさんの事を本当に信用していなかったのか?
それだったら尻拭いと言う言葉はなんだ?
クロエさんはシロエさんを妹として、しっかりと愛していて、一定の信用はおいていたんじゃないか?
尻拭い⋯⋯シロエさんは元々俺を殺そうと思っていたんじゃないか?
「あぁ本当に、本当に嫌になる」
最期にその事実を知る事になるクロエさんはどれだけ辛いのだろうか。
それすら分からないまま、新たな人生を送るのだろう。
「だああああああぁああああ!」
俺は地を蹴ってドラゴンに接近して、拳を固めてドラゴンにねじ込む。
形ある魔法なら破壊できる。
「硬い」
「当たり前ですわ」
俺は吹き飛ばされる。
「貴様の攻撃によって物理攻撃耐性が高いスケリトルトラゴンの魔石を核としたホワイトダークドラゴン。わたくしの創れる魔法生物の中では最高品質ですわ」
喜びに満ちた笑みを見せてくれる。
「あっそ。だから、どうした」
ここまでキレたのはミカエル以来だな。
ステッキをバットにして、ドラゴンの顔面をぶん殴る。
「殴って倒せない魔物はいねぇよ」
「ふふふ。アカツキ、わたくしのおもちゃになってくださいまし!」
白い闇が周囲を埋めつくし海にしていく。
バットを振るって破壊していくが、それでも押し寄せてくる海の勢いは止まらない。
海から闇の刃が伸びる。
「しゃらくせぇ!」
破壊すると、足に闇の刃が突き刺さる。
「いってぇな!」
刺さった足を動かして破壊する。飛んでくるドラゴンを軽く殴る。
「厄介ですわね。戦い方を熟知されていると」
「舐めるなよ、お子ちゃまが」
「あら、お口が悪い」
「お互い様だろ!」
俺の知っているシロエさんはもういないと考えていかないとな。
「ふぅ」
行くぞ!
0
あなたにおすすめの小説
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる