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つかんでる?
しおりを挟む遥斗の目から、涙がこぼれる。
「……だめ、だよ……りょーくん、は、すっごく、頭が、よくて……輝く、未来、が……! 頭のわるい僕なんかに、つきあったら、だめ──!」
「なんかって言うな」
のびた涼真の手が、遥斗のもこもこの手袋の手をにぎってくれる。
あわてて手袋を外したら、寝起きであたたかな涼真の指が、遥斗の指と繋がった。
「俺は、ハルと、いっしょが、いい。……ハルは……?」
夜空の瞳が、かすかに揺れる。
遥斗はぎゅっと涼真の手をにぎった。
「りょーくんと、いっしょがいい……! でも──!」
こぼれる涙を、涼真の指がぬぐってくれる。
「いっしょに、行こう、ハル」
遥斗は、泣いた。
「ごめん、ごめんなさい、りょーくん。僕、がんばったんだ。めちゃくちゃ、めちゃくちゃ頑張った。でも全然、白王に届かなくて、白峰が精いっぱいで──」
夜空の瞳が瞬いた。
「ハルと一緒なら、どこでもいー」
のびた腕が、もこもこの遥斗をそっと、抱きしめる。
「いっしょに、いこう、ハル」
涙が、あふれる。
「りょーくんの、足を引っ張って、ごめんなさい。……うれしくて、ごめんなさい……!」
ふるふる首をふった涼真の唇の両端が、ほのかにあがる。
「俺も、うれしい」
涼真の長い指が、遥斗の頭を、そっと、そっと、ぎこちなく撫でてくれた。
「応援に、来てくれた?」
首をかしげる涼真に、遥斗は鼻をすすりながら、こくりとうなずく。
「りょーくんに、お菓子焼いてきたんだ。これ。笑って、元気がでたらいいなって……」
ちいさな包みを差しだしたら、涼真がほんのり笑ってくれる。
「いっしょに食べよう、ハル」
涼真が手をひいてくれる。
扉を開けてくれた向こうで、涼真の両親が微笑んだ。
「まあまあ、はるちゃん、いらっしゃい」
「おはよう、はるくん。いっしょに朝ご飯を食べよう」
涼真のおかあさんが、おとうさんが、笑ってくれる。
「僕のせいで、ごめんなさい……!」
頭をさげる遥斗に、涼真の両親はきょとんとして、笑った。
「りょうくんが、白王、やだって言ったのよ。勉強ばっかりな高校だからって」
「りょーくん、勉強、だいすきなのに……!」
きょとんとした涼真が首をふる。
「りょうくんは学ぶことはすきだけど、受験勉強とか、そういうのはすきじゃないみたいよ」
涼真のおかあさんが笑ってくれる。
「朝はやくから、応援に来てくれたんだね。ありがとう、はるくん。さあ、座って」
涼真のおとうさんが、椅子を引いてくれる。
「ごめんなさい……!」
謝る遥斗に、一条家の皆が微笑んだ。
「こういうときは、謝るんじゃなくて?」
凛々しいおかあさんにのぞきこまれた遥斗は、涙でぐしゃぐしゃの顔をぬぐった。
「……ありがとうございます?」
そうっと聞いたら、皆で笑ってくれた。
「さあ、ご飯にしましょう。クロワッサン、焼き立てなのよ」
「わあ、すごい!」
「半分焼いて冷凍しておいて、朝に焼くんだ。ちょっと自慢なんだよ」
やさしい涼真のおとうさんが、焼き立てのクロワッサンをオーブンから出してくれる。
「めしあがれ」
しゃくりと歯を入れると、ぱりぱり幾層もの生地が音をたてて弾けた。じゅわっとあふれる熱いバターの香りが鼻に抜ける。
「わあ……! こんなおいしいの、はじめて食べた!」
感動する遥斗に、涼真のおかあさんが誇らしげに笑った。
「ふふ、真のクロワッサンは世界一なの。毎朝焼いてくれるならって伴侶になったのよ」
「胃袋はしっかりつかんでおかないとね」
とても仲良さそうに涼真の両親が笑う。
こくこくうなずいた涼真は、遥斗があげた包みを抱きしめてくれる。
「つかまれてる」
「へ、へたっぴなのに……!」
燃える頬で叫んだ遥斗に、涼真はほんのり笑った。
「ハルのきもちが、いちばん、おいしい」
きゅうっと遥斗の胸が、音をたてる。
頬が、鼓動が、燃えている。
りょーくんが、あんまりすきで、めまいがする。
……どこまで、きみを、だいすきにさせるの……?
────────────────
ずっと読んでくださって、ありがとうございます!
お気に入りや、いいねや、エールや、ご感想、BETまで! おひとつおひとつが、応援してくださるお気もちが、とてもとてもうれしいです。ほんとうにありがとうございます!
今日、やっと高校生になります、お待たせしました……! 本編入るまで5万字……!
というわけで、ちょこっとフライングですが高校生の制服も見える(笑)動画をつくりました!
遥斗と涼真の動画です。インスタは、ハートが飛びます(笑)Youtubeは音楽が切なめかな?(笑)
インスタ @siro0088
Youtube @BL小説動画
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
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