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しあわせのつづき
かわいい
しおりを挟む「じゃあ、はるくんと一緒に、ごはん食べましょうね」
「すぐ用意するから、降りてきてね」
にじんだ涙をぬぐった涼真の両親が微笑んで扉が閉まったら、真っ赤な涼真と頬の熱い遥斗が残された。
『りょーくんは、かわいー!』
遥斗が何度言っても、涼真の勇気にも自信にもならないみたいだ。
『りょーくん、かっこいー♡』
言い続けてしまった遥斗の言葉だから、涼真の心に響かないのかもしれない。
どうしたら、涼真に自信をもってもらえるのかな?
堂々と『かわいい』笑ってくれるようになる?
考えた遥斗は、涼真の手をにぎる。
「じゃあちょっとずつ、りょーくんのすきを、表に出していこうよ」
「…………え……」
茫然とする涼真に、遥斗は笑った。
「まずは学校の鞄に、かわいーふわふわのぬいぐるみ、つけてみよー!」
「えぇえ……!」
泣きそうな涼真を抱きしめた遥斗が笑う。
「僕もいっしょにつける。おそろい。それならできる?」
うろうろさまよった涼真の視線が、落ちる。
「で、でも、ハルまで、きもちわるいって……」
「思われないよ! りょーくん、現代に生きてるのに、思考が化石みたいになってるよ! 男らしいとか、雄々しいとか、差別って幼稚園の先生も教えてくれたでしょう? かわいいの大すきな男の子は、かわいーの!」
遥斗は胸を張る。
「僕といっしょに、やってみよー!」
見開かれた夜空の瞳が、揺れる。
「で、でも……」
「りょーくんの、すきなこと、教えて。すきなこと、一緒にしたい。
苦手だと思ってたプログラミングが、りょーくんといっしょなら楽しかったみたいに。
ふわふわのぬいぐるみ、僕もだいすきだよ!」
とびきりの笑顔で、涼真を励ましたい。
いっしょなら、はずかしさも、ためらいも、自信のなさも、半分になるといい。
祈りながら、遥斗は涼真を抱きしめる。
涼真の心にとどくように、ささやいた。
「かわいーりょーくん、だいすき」
夜空の瞳が泣きだして、遥斗は燃える頬で笑う。
「りょーくんに、だいすきになってもらえるように、僕、がんばるよ」
ぎゅうぎゅう、涼真に抱きしめられる。
「……しんじゃいそうなくらい、ハルがすき」
涙声を、抱きしめた。
ここで『りょーくん、ちゅう……♡』『ハル……♡』とかしてたら、間違いなく涼真のおとうさんが『ごはんできたよー!』で扉バーン! なのはお約束なので、仕方なく、おとなしくご飯を食べにダイニングに降りました。
「はるくんは病みあがりだから、消化にいいものをね」
にこにこした涼真のおとうさんが、遥斗には滋養強壮の薬膳なお粥を、涼真には涼真の大すきなオムライスを作ってくれる。
ケチャップで遥斗は『りょーくん♡』を書いてあげた。
「えへへ。出てきたお祝い! かわいー?」
耳まで真っ赤になった涼真が、大きなてのひらで、ちいさな顔を覆ってる。
涼真の両親の顔も赤い。
そそそそそうでした、ご両親がいたんだった……!
はずかしい!
こ、これはまだカミングアウトじゃないよね……? 幼なじみの友情でもありだよね……!?
両想い、頭がぱーんしちゃう──!
涼真の部屋に戻った遥斗と涼真は、締め切られた雨戸をあげた。
明るくなった部屋は、愛らしさのかたまりだ。
ふわふわ、もこもこ、ひらひら!
「かわい──!」
跳ねる遥斗に、モデルさんみたいにクールでかっこいー涼真が、もじもじしてる。
かわいい。
どうしよう……!
彼氏が、かわいいです──!
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