【完結】かわいい彼氏

  *  ゆるゆ

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しあわせのつづき

かわいい

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「じゃあ、はるくんと一緒に、ごはん食べましょうね」

「すぐ用意するから、降りてきてね」

 にじんだ涙をぬぐった涼真の両親が微笑んで扉が閉まったら、真っ赤な涼真と頬の熱い遥斗が残された。


『りょーくんは、かわいー!』

 遥斗が何度言っても、涼真の勇気にも自信にもならないみたいだ。

『りょーくん、かっこいー♡』

 言い続けてしまった遥斗の言葉だから、涼真の心に響かないのかもしれない。


 どうしたら、涼真に自信をもってもらえるのかな?

 堂々と『かわいい』笑ってくれるようになる?


 考えた遥斗は、涼真の手をにぎる。

「じゃあちょっとずつ、りょーくんのすきを、表に出していこうよ」

「…………え……」

 茫然とする涼真に、遥斗は笑った。

「まずは学校の鞄に、かわいーふわふわのぬいぐるみ、つけてみよー!」

「えぇえ……!」

 泣きそうな涼真を抱きしめた遥斗が笑う。

「僕もいっしょにつける。おそろい。それならできる?」

 うろうろさまよった涼真の視線が、落ちる。

「で、でも、ハルまで、きもちわるいって……」

「思われないよ! りょーくん、現代に生きてるのに、思考が化石みたいになってるよ! 男らしいとか、雄々しいとか、差別って幼稚園の先生も教えてくれたでしょう? かわいいの大すきな男の子は、かわいーの!」

 遥斗は胸を張る。

「僕といっしょに、やってみよー!」

 見開かれた夜空の瞳が、揺れる。

「で、でも……」

「りょーくんの、すきなこと、教えて。すきなこと、一緒にしたい。
 苦手だと思ってたプログラミングが、りょーくんといっしょなら楽しかったみたいに。
 ふわふわのぬいぐるみ、僕もだいすきだよ!」

 とびきりの笑顔で、涼真を励ましたい。

 いっしょなら、はずかしさも、ためらいも、自信のなさも、半分になるといい。

 祈りながら、遥斗は涼真を抱きしめる。

 涼真の心にとどくように、ささやいた。


「かわいーりょーくん、だいすき」

 夜空の瞳が泣きだして、遥斗は燃える頬で笑う。


「りょーくんに、だいすきになってもらえるように、僕、がんばるよ」

 ぎゅうぎゅう、涼真に抱きしめられる。


「……しんじゃいそうなくらい、ハルがすき」

 涙声を、抱きしめた。
 






 ここで『りょーくん、ちゅう……♡』『ハル……♡』とかしてたら、間違いなく涼真のおとうさんが『ごはんできたよー!』で扉バーン! なのはお約束なので、仕方なく、おとなしくご飯を食べにダイニングに降りました。

「はるくんは病みあがりだから、消化にいいものをね」

 にこにこした涼真のおとうさんが、遥斗には滋養強壮の薬膳なお粥を、涼真には涼真の大すきなオムライスを作ってくれる。

 ケチャップで遥斗は『りょーくん♡』を書いてあげた。

「えへへ。出てきたお祝い! かわいー?」

 耳まで真っ赤になった涼真が、大きなてのひらで、ちいさな顔を覆ってる。

 涼真の両親の顔も赤い。

 そそそそそうでした、ご両親がいたんだった……!

 はずかしい!

 こ、これはまだカミングアウトじゃないよね……? 幼なじみの友情でもありだよね……!?

 両想い、頭がぱーんしちゃう──!







 涼真の部屋に戻った遥斗と涼真は、締め切られた雨戸をあげた。

 明るくなった部屋は、愛らしさのかたまりだ。

 ふわふわ、もこもこ、ひらひら!

「かわい──!」

 跳ねる遥斗に、モデルさんみたいにクールでかっこいー涼真が、もじもじしてる。


 かわいい。


 どうしよう……!

 彼氏が、かわいいです──!






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