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しあわせのつづき
かわいー!
しおりを挟む涼真の鞄に『はるる』が、遥斗の鞄に『りるる』が揺れている。
モデルさんや、アイドルさんみたいにかっこいーりょーくんが、ふあふあのぬいぐるみを鞄につけていると、めちゃくちゃ可愛い。
「え、かわいー」
「彼女からの贈り物かな?」
「やだ──!」
きゃわきゃわした女の子たちの声が聞こえる。
ビクリとふるえる涼真を励ますように、遥斗は涼真の手をにぎった。
「だいじょうぶ」
こくんとうなずいた涼真が、遥斗の手をにぎる。
かすかにふるえる指を勇気づけたくて、ぎゅうぎゅうにぎった。
学校が近づくと、きゃわきゃわは増えてゆく。
硬直してしまいそうな涼真の手をにぎって、遥斗は歩く。
「だいじょうぶ」
こくりとうなずく涼真の顔が、硬い。
……強引にかわいいの大すきをカミングアウトは、涼真に負担すぎた……?
でも、クールでかっこいー涼真をつづけるほうが、心配だ。
嘘の自分を装うたび、ほんとうの自分が潰されて、砕けてく。
ほんとうの自分が、どこにいるのかもわからなくなって。
嘘で塗り固めた自分の存在意義が、崩れてく。
きっと生きるのが、どんどん、苦しくなってく。
最初は『幼なじみに押しつけられて、ぬいぐるみを持たされている』でもいいから、ちょこっとずつ可愛いものを持てるようにできたらと思ったのだけれど……
心配になる遥斗の背が、ぽんと、かるい音をたてる。
「おはよー、遥斗! あれ、どしたの、そのぬいぐるみ。おそろいじゃん」
にこにこする達也に、悪気は全くない。
ざっと遥斗に視線が集中した。
「うそ、佐倉が一条くんに、ぬいぐるみをつけさせたの?」
「やるじゃん、佐倉! かわいー!」
「えー、ショックー」
「一条くんは、クールなのがいーんだよー!」
むっとした遥斗は、ネガティブ発言な人たちを、にらんでしまいそうになって、あわてて止まる。
どこに行っても、何をしようと、絶対に、アンチはいる。
いちいちにらんで喧嘩を売っても、どんなに排除したくたって、湧くのだ。仕方ない。
遥斗は大きく息を吸った。
「りょーくん、かわい──!」
叫んだ。
隣の涼真が、真っ赤だ。
反対側の達也まで、赤くなってる。
「……いや、うん、どうした、遥斗」
「心の叫び」
笑ったら、びっくりしていたらしい周りの人たちも笑った。
ふるえる涼真の手をにぎって、元気と勇気をめいっぱいこめて、笑う。
「だいじょーぶ!
だって、大すきなものを、大すきって言える世界をつくるのは、今を生きる、僕たちなんだから!」
涼真と達也の目がまるくなる。
「なるほど。がんばれ!」
ぽん!
達也に背をたたかれた涼真の目が見開かれて、揺れる。
こくりとうなずいた涼真は、朱いまなじりで遥斗の手をにぎった。
ぎゅうぎゅう、にぎった。
「……はるちゃんと、いっしょなら。僕、がんばる」
ふうわり、笑ってくれた。
りょーくん、何か言われてないかな。心折れてたら、どうしよう──!
心配で、涼真の1組の教室を休憩時間のたびにのぞきたくなってしまった遥斗は、下校の鐘が鳴った瞬間、1組へと駆けた。
涼真の机の周りには、女の子たちがいる。
いつもの光景なのだけれど、見た目に気を使ってスカートを限界まで短くしてメイクも完璧な、きゃらきゃらしている感じの女の子たちじゃなく、どちらかというと、おとなしくて校則を遵守するような感じの、地味で目立たなさそうな女の子たちに囲まれていた。
「い、一条くん、そ、その『はるる』……!」
「も、もしかして視聴者プレゼントで非売品の『はるる』じゃない!?」
「応募して、当たったの? すごい!」
「ちょ、ちょっとだけ、ちょっとだけ見せてくれないかな!」
……いつもと違う感じに、人気になっているようです……?
────────────────
ずっと読んでくださって、ありがとうございます!
涼真と遥斗の動画をつくりました!(笑)
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ@siro0088
Youtubeはまた週末にあげようかなと思います。
プロフのWebサイトからどちらにも飛べるので、もしよかったら!
BET期間終了したようで、BETしてくださった皆さま、ほんとうに、ほんとうにありがとうございました……!
自分のお話に自分でBETできるみたいで、最後に自分にしよう(笑)と思っていたのですが、退勤して帰ってきたらBET期間が終わっていました……(笑)えぇ!? 9月1日までじゃないの!? 泣きました(笑)
なんでもギリギリじゃなく、せめて1日前にしておくのが大切みたいです……(笑)
読んでくださること、お気に入りや、いいねや、エールや、ご感想、いつもとても励まされます。
お気に入り0になるかも、それでも書こうと思ったお話を応援してくださる方がいらっしゃることが、涙がでるくらい、うれしいです。
ほんとうに、ありがとうございます!
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