【完結】かわいい彼氏

  *  ゆるゆ

文字の大きさ
64 / 75
しあわせのつづき

大変たかい

しおりを挟む



「ここはやっぱり、遥斗が部長だろう! 『るーくんの恋日記』を書いてるんだから!」

 達也のご指名に、ぽかんと遥斗は口を開けた。

『BLだいすきの会』をつくろうと言いだしたのは達也なのに……!
 達也のほうが造詣が深いのに!

「俺が持ってくより、遥斗が持ってくほうが、絶対申請が通ると思う」

 両肩に両手を置いて言われたのだけれど、ぺいっと涼真の手に払われてる。

 ちょっと痛そうに、うれしそうに涼真を見あげる達也が、涼真にかまってほしいらしい件について!


 ぷっくり遥斗はふくれた。

 涼真がかまってくれるのは、自分だけがいいのに……!

 恋はなんて心を狭くするんだろう。


「そんなことないだろう」

 何言ってるの全開の遥斗に、達也は親指を立てた。


「遥斗が、いちばんかわいー」

 こっくり、隣の涼真がうなずいてくれる。

「いや、ひめちゃんとか、のんちゃんのほうが可愛いよ!」

 ひめカットなので、ひめちゃん、ののかちゃんなので、のんちゃんと呼ぶ仲になった、さらさらの長い髪の凛々しい女の子ひめちゃんと、ショートカットで眼鏡の女の子のんちゃんが、笑顔で親指を立てた。

「はーくん、いちばんかわいーよ!」

 こっくり、涼真がうなずいてくれる。

 ……りょーくんが、かわいいと思ってくれるのは、とびきりうれしい。えへへ。

 思わず涼真の手をにぎってしまったら

「きゃあ!」

「おぉ」

「尊い──!」

 拝まれました。

 皆、やさしい。ありがとう。

 この白峰高校1年生の5人で『BLだいすきの会』設立申請だよ!

 いやあの、ほんとにするの……??





 顧問の先生は、BLだいすきな達也がその嗅覚で見つけてきてくれた。
 試験に出る大事なところを事前に教えてくれて、赤点をできるだけ防いでくれるので皆からとても慕われている化学の先生だ。

「まだ若かったころはねえ、インターネットもなくってね、BLは同人誌しかなかったの。うっすくって、たっかくって、昔はイベントか同人作家さんと個人的に通販するしか買えないあれね。郵便為替ね。なつかしい……!」

 先生の目が、きらきらしてる。

「2次創作が多かったのよ。それがオリジナルのお話が商業誌になってねえ、BL小説が本屋さんで買えることに感動したわ! 夢中になって、出版された本はぜぇんぶ買ったの! 昔はそんなに出版されてなかったからできたことね。雑誌も毎月楽しみにしてたら、どんどん増えて、どんどん潰れてねえ、びっくりよ。
 昔の名作の話ならいつでも聞いて! 今のお話を教えてくれたら、うれしいわ」

 うれしそうに、ふくよかなお腹を揺らして笑ってくれた。

 申請書に書いた活動目的は

『清らかな(ここ大切)男の子たちの恋にきゅんきゅんしながら、ジェンダーの多様性を理解し、身近な人たちにもジェンダーの多様性を受けいれてもらえるよう尽力し、また正式に伴侶となれるよう法整備が進むよう、広くジェンダー平等を訴えるため』

 さいしょだけ達也、後はぜんぶ涼真作だよ。途中で書いた人が変わったのが丸わかりだ。


「……びーえるだいすきの会……」

 遥斗が差しだした設立申請書を受けとったのは『BL小説から出てきたの?』みたいな、さらさらのはしばみ色の髪の、かっこいー生徒会長だ。

 固まっている。

 わかる。自分も狙われるんじゃないかと心配しちゃうんだよね。かっこいーから。

 だいじょうぶ、僕には愛するりょーくんがいるので!
 特に男性に興味はなくて、僕の興味は全振りで、りょーくんなので!

「よろしくお願いします!」

 丁寧に頭をさげる遥斗を、ぼうぜんと生徒会長が見つめた。

「…………え……佐倉くん……BLが……だいすきなの……?」

 だいすきって言われちゃうと恥ずかしいけど!

「は、はい」

 もじもじしちゃうよ……!


「……え、それって、ちょっと待って、うちの学校で一番かわいい佐倉くんと、つきあえるかもしれない望みがあるっていうこと──!?」

 生徒会長のはしばみの目が、きらきらしてる!

 ……いやでも、何かふしぎな言葉が……?

 首をかしげる遥斗を守るように、付き添いで来てくれた涼真が一歩、前に出た。


「微塵もありません」

 全否定だよ。


 噴きつける凍気に、ちょっと青くなった会長が涙目だ。

「……え、うそ、やっぱり、『るーくんの恋小説』を書いてるのが佐倉くんで、『りーくんの恋日記』を書いてるのが一条くんなの……!?」


 アプリでもマイナーで、そんなにお気に入りの数もないお話を愛読してくれている人の白峰高校生率が、大変高い件について!







しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

ハッピーライフのために地味で根暗な僕がチャラ男会計になるために

ミカン
BL
地味で根暗な北斗が上手く生きていくために王道学園でチャラ男会計になる話 ※主人公へのいじめ描写ありのため苦手な方は閲覧ご注意下さい。

地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛

中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。 誰の心にも触れたくない。 無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。 その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。 明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、 偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。 無機質な顔の奥に隠れていたのは、 誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。 気づいてしまったから、もう目を逸らせない。 知りたくなったから、もう引き返せない。 すれ違いと無関心、 優しさと孤独、 微かな笑顔と、隠された心。 これは、 触れれば壊れそうな彼に、 それでも手を伸ばしてしまった、 不器用な男たちの恋のはなし。

オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。

黒茶
BL
人気者だけど実は人間嫌いの嘘つき先輩×素直すぎる後輩の (本人たちは気づいていないが実は乙女ゲームの世界である) 異世界ファンタジーラブコメ。 魔法騎士学院の2年生のクラウスの長所であり短所であるところは、 「なんでも思ったことを口に出してしまうところ。」 そして彼の秘密は、この学院内の特定の人物の個人情報が『ステータス画面』というもので見えてしまうこと。 魔法が存在するこの世界でもそんな魔法は聞いたことがないのでなんとなく秘密にしていた。 ある日、ステータス画面がみえている人物の一人、5年生のヴァルダー先輩をみかける。 彼はいつも人に囲まれていて人気者だが、 そのステータス画面には、『人間嫌い』『息を吐くようにウソをつく』 と書かれていたので、うっかり 「この先輩、人間嫌いとは思えないな」 と口に出してしまったら、それを先輩に気付かれてしまい・・・!? この作品はこの1作品だけでも読むことができますが、 同じくアルファポリスさんで公開させていただいております、 「乙女ゲームの難関攻略対象をたぶらかしてみた結果。」 「俺が王太子殿下の専属護衛騎士になるまでの話。」 とあわせて「乙女ゲー3部作」となっております。(だせぇ名前だ・・・笑) キャラクターや舞台がクロスオーバーなどしておりますので、 そちらの作品と合わせて読んでいただけたら10倍くらい美味しい設定となっております。 全年齢対象です。 BLに慣れてない方でも読みやすいかと・・・ ぜひよろしくお願いします!

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない

豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。 とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ! 神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。 そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。 □チャラ王子攻め □天然おとぼけ受け □ほのぼのスクールBL タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。 ◆…葛西視点 ◇…てっちゃん視点 pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。 所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】

まつも☆きらら
BL
突然できたかわいい弟。素直でおとなしくてすぐに仲良くなったけれど、むじゃきなその弟には実は人には言えない秘密があった。ある夜、俺のベッドに潜り込んできた弟は信じられない告白をする。

貧乏大学生がエリート商社マンに叶わぬ恋をしていたら、玉砕どころか溺愛された話

タタミ
BL
貧乏苦学生の巡は、同じシェアハウスに住むエリート商社マンの千明に片想いをしている。 叶わぬ恋だと思っていたが、千明にデートに誘われたことで、関係性が一変して……? エリート商社マンに溺愛される初心な大学生の物語。

処理中です...