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しあわせのつづき
大変たかい
しおりを挟む「ここはやっぱり、遥斗が部長だろう! 『るーくんの恋日記』を書いてるんだから!」
達也のご指名に、ぽかんと遥斗は口を開けた。
『BLだいすきの会』をつくろうと言いだしたのは達也なのに……!
達也のほうが造詣が深いのに!
「俺が持ってくより、遥斗が持ってくほうが、絶対申請が通ると思う」
両肩に両手を置いて言われたのだけれど、ぺいっと涼真の手に払われてる。
ちょっと痛そうに、うれしそうに涼真を見あげる達也が、涼真にかまってほしいらしい件について!
ぷっくり遥斗はふくれた。
涼真がかまってくれるのは、自分だけがいいのに……!
恋はなんて心を狭くするんだろう。
「そんなことないだろう」
何言ってるの全開の遥斗に、達也は親指を立てた。
「遥斗が、いちばんかわいー」
こっくり、隣の涼真がうなずいてくれる。
「いや、ひめちゃんとか、のんちゃんのほうが可愛いよ!」
ひめカットなので、ひめちゃん、ののかちゃんなので、のんちゃんと呼ぶ仲になった、さらさらの長い髪の凛々しい女の子ひめちゃんと、ショートカットで眼鏡の女の子のんちゃんが、笑顔で親指を立てた。
「はーくん、いちばんかわいーよ!」
こっくり、涼真がうなずいてくれる。
……りょーくんが、かわいいと思ってくれるのは、とびきりうれしい。えへへ。
思わず涼真の手をにぎってしまったら
「きゃあ!」
「おぉ」
「尊い──!」
拝まれました。
皆、やさしい。ありがとう。
この白峰高校1年生の5人で『BLだいすきの会』設立申請だよ!
いやあの、ほんとにするの……??
顧問の先生は、BLだいすきな達也がその嗅覚で見つけてきてくれた。
試験に出る大事なところを事前に教えてくれて、赤点をできるだけ防いでくれるので皆からとても慕われている化学の先生だ。
「まだ若かったころはねえ、インターネットもなくってね、BLは同人誌しかなかったの。うっすくって、たっかくって、昔はイベントか同人作家さんと個人的に通販するしか買えないあれね。郵便為替ね。なつかしい……!」
先生の目が、きらきらしてる。
「2次創作が多かったのよ。それがオリジナルのお話が商業誌になってねえ、BL小説が本屋さんで買えることに感動したわ! 夢中になって、出版された本はぜぇんぶ買ったの! 昔はそんなに出版されてなかったからできたことね。雑誌も毎月楽しみにしてたら、どんどん増えて、どんどん潰れてねえ、びっくりよ。
昔の名作の話ならいつでも聞いて! 今のお話を教えてくれたら、うれしいわ」
うれしそうに、ふくよかなお腹を揺らして笑ってくれた。
申請書に書いた活動目的は
『清らかな(ここ大切)男の子たちの恋にきゅんきゅんしながら、ジェンダーの多様性を理解し、身近な人たちにもジェンダーの多様性を受けいれてもらえるよう尽力し、また正式に伴侶となれるよう法整備が進むよう、広くジェンダー平等を訴えるため』
さいしょだけ達也、後はぜんぶ涼真作だよ。途中で書いた人が変わったのが丸わかりだ。
「……びーえるだいすきの会……」
遥斗が差しだした設立申請書を受けとったのは『BL小説から出てきたの?』みたいな、さらさらのはしばみ色の髪の、かっこいー生徒会長だ。
固まっている。
わかる。自分も狙われるんじゃないかと心配しちゃうんだよね。かっこいーから。
だいじょうぶ、僕には愛するりょーくんがいるので!
特に男性に興味はなくて、僕の興味は全振りで、りょーくんなので!
「よろしくお願いします!」
丁寧に頭をさげる遥斗を、ぼうぜんと生徒会長が見つめた。
「…………え……佐倉くん……BLが……だいすきなの……?」
だいすきって言われちゃうと恥ずかしいけど!
「は、はい」
もじもじしちゃうよ……!
「……え、それって、ちょっと待って、うちの学校で一番かわいい佐倉くんと、つきあえるかもしれない望みがあるっていうこと──!?」
生徒会長のはしばみの目が、きらきらしてる!
……いやでも、何かふしぎな言葉が……?
首をかしげる遥斗を守るように、付き添いで来てくれた涼真が一歩、前に出た。
「微塵もありません」
全否定だよ。
噴きつける凍気に、ちょっと青くなった会長が涙目だ。
「……え、うそ、やっぱり、『るーくんの恋小説』を書いてるのが佐倉くんで、『りーくんの恋日記』を書いてるのが一条くんなの……!?」
アプリでもマイナーで、そんなにお気に入りの数もないお話を愛読してくれている人の白峰高校生率が、大変高い件について!
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