【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ

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「……えぇ……?」

 突然の『ロデア大公立学園の魔法科の修了書をあげる』発言に、のけぞるキーアの隣で、ルゥイが青い顔になってる。

「……ちょっと待って。キーアにつりあうようになるためには、僕も異次元にならないと、だめってこと……?」

 ひきつるルゥイの肩を、ハゥザ学園長が、ぽんぽんしてる。

「がんばれ、ルゥイ」

 によによしてる!

「く──っ!」

 ハゥザを、きっとにらんだルゥイが、キーアを抱きしめる。

「キーアのまね、してもいい?」

 首を傾げるルゥイのはちみつの髪が、さらさら揺れた。

「?? もちろん!」

 何が何だかわからないけれど、うなずいたキーアに微笑んだルゥイが、ほんのり赤くなった頬で腕を掲げる。


「光の精霊さま! 僕の魔力を差しあげます! どうか僕にも魔法を使わせてください……!」

「おぉ!」

 キーアとおんなじ、お願い方式だよ!

 拍手するキーアの前で、はずかしそうに朱くなっていたルゥイの若葉の瞳が、焦点を失くした。

 そこにいるのに、いないみたいに、存在が遠くなる。

「え、ルゥイ、だいじょうぶ──!?」

 あわてて駆け寄るキーアに

「危ない! だめだ、キーア!」

 フィリの声が飛んだ。


「え……?」

 びっくりしたキーアの指が、止まりきれずにルゥイにふれる。

 その瞬間、まばゆい光につつまれた。




「わあ──!」

 まっしろだ。

 きらきらの光の世界に、はちみつの髪が、ふわふわ揺れる。

「ルゥイ! だいじょうぶ!?」

「キーア!?」

 驚いたように振りかえるルゥイの向こうで、きらきらの光が揺れていた。


「……あぅ……もしかしなくても、光の精霊さまとの邂逅を、お邪魔しちゃいましたか……ご、ごめんなさい!」

 あわあわ頭をさげるキーアに、声が降る。


『……だれ?』

 春の陽射しのようにあたたかな、盛夏の真昼のように焼けつく光の音だった。


「は、はじめまして、光の精霊さま! キーア・キピアと申します。愛称は、きーちゃんです!」

 丁寧に頭を下げた。

 厳しい光が、キーアを照らす。


『どうして、来た? きみは、闇』

「あ、あの、ルゥイの様子がおかしくなったみたいで、心配で、ごめんなさい! すぐお暇しますから!」

 あわあわ頭をさげるキーアに、光が揺れる。


『俺のゆるしがないと、出られない。……勝手に入ってくるはず、ないのだが──』

 茫然とキーアと光を見つめていたルゥイが、瞬いた。


「……もしかして……キーアは、精霊さまと、話して、る……?」

 きょとんとしたキーアは、首を傾げる。


「ルゥイは、声、聞こえない?」

 凛々しい眉をひそめたルゥイは、耳を澄ますように目を閉じる。

「……何か、音がする気がする、けど……意味はわからない」

 キーアは微かに息をのむ。


 ……もしかすると、前世の記憶があるから?

 この世界じゃない、他の世界で生きた記憶があるから。他の世界、異界の言語を理解する能力があるから、精霊さんの言葉もちょこっと理解できる……?


 あわあわするキーアに降るのは、いかめしい光だ。

『非常な失礼をしたことは、理解しているのか?』

 きらきらの光の精霊さまが、おこです。ごめんなさい──!


「も、勿論です! 大変な失礼を、誠に、誠に申し訳ございませんでした……!」

 地につくほど頭をさげた。


『謝罪というのは、言葉だけじゃなく、品物でも示すものだよな?』

「菓子折りですね、もちろんです! 公都で有名なお菓子屋さんで、よいお菓子を──」

 ちかりと、光が瞬いた。


『……どーなつ、がいー』

「…………え……?」

 ふいと、光の精霊さまが、横を向いた気がした。


『俺だけ除け者だなんて、気に喰わないって言ってるんだよ!』

「は、はははははい! も、勿論です! あ、あのあの、もしよかったら、トマが、とびきりおいしーどーなつを揚げてくれて、ヨニが、とびきりおいしーお茶を淹れてくれるので、キピア家に遊びにいらっしゃいませんか?」


 キュアァアァアアア──!

 光が、集束する。

 さらさら光の髪が流れる。
 切れ長の光の瞳が、キーアを見あげた。

 ちっちゃな3等身なのに凛々しい、でもやっぱりめちゃくちゃ可愛い、光の精霊さまだ──!

 拝んだ。
 勿論です。


『……そ、そんなに頼む、なら、行ってやらなく、も、ない』

 ぷいと横を向く光さまの尖った耳が、ほわほわ赤い。


「か──わ──い──!」

 ぎゅむぎゅむしたい手をわきわきしながら、もだもだしてたら、光の瞳が見あげてくれる。


『……だ、だっこ、しても、よいのだぞ……!」

「わぁあ! ありがとうございます、光さま──!」

 ぎゅむぎゅむしました。


 ほんのりあったかくて、ちっちゃくて、ふわふわしてて、かわいー!

 きゃ──!

 もだもだするキーアの隣で、ルゥイの目が遠くなってる。







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