80 / 213
かしおり
しおりを挟む「……えぇ……?」
突然の『ロデア大公立学園の魔法科の修了書をあげる』発言に、のけぞるキーアの隣で、ルゥイが青い顔になってる。
「……ちょっと待って。キーアにつりあうようになるためには、僕も異次元にならないと、だめってこと……?」
ひきつるルゥイの肩を、ハゥザ学園長が、ぽんぽんしてる。
「がんばれ、ルゥイ」
によによしてる!
「く──っ!」
ハゥザを、きっとにらんだルゥイが、キーアを抱きしめる。
「キーアのまね、してもいい?」
首を傾げるルゥイのはちみつの髪が、さらさら揺れた。
「?? もちろん!」
何が何だかわからないけれど、うなずいたキーアに微笑んだルゥイが、ほんのり赤くなった頬で腕を掲げる。
「光の精霊さま! 僕の魔力を差しあげます! どうか僕にも魔法を使わせてください……!」
「おぉ!」
キーアとおんなじ、お願い方式だよ!
拍手するキーアの前で、はずかしそうに朱くなっていたルゥイの若葉の瞳が、焦点を失くした。
そこにいるのに、いないみたいに、存在が遠くなる。
「え、ルゥイ、だいじょうぶ──!?」
あわてて駆け寄るキーアに
「危ない! だめだ、キーア!」
フィリの声が飛んだ。
「え……?」
びっくりしたキーアの指が、止まりきれずにルゥイにふれる。
その瞬間、まばゆい光につつまれた。
「わあ──!」
まっしろだ。
きらきらの光の世界に、はちみつの髪が、ふわふわ揺れる。
「ルゥイ! だいじょうぶ!?」
「キーア!?」
驚いたように振りかえるルゥイの向こうで、きらきらの光が揺れていた。
「……あぅ……もしかしなくても、光の精霊さまとの邂逅を、お邪魔しちゃいましたか……ご、ごめんなさい!」
あわあわ頭をさげるキーアに、声が降る。
『……だれ?』
春の陽射しのようにあたたかな、盛夏の真昼のように焼けつく光の音だった。
「は、はじめまして、光の精霊さま! キーア・キピアと申します。愛称は、きーちゃんです!」
丁寧に頭を下げた。
厳しい光が、キーアを照らす。
『どうして、来た? きみは、闇』
「あ、あの、ルゥイの様子がおかしくなったみたいで、心配で、ごめんなさい! すぐお暇しますから!」
あわあわ頭をさげるキーアに、光が揺れる。
『俺のゆるしがないと、出られない。……勝手に入ってくるはず、ないのだが──』
茫然とキーアと光を見つめていたルゥイが、瞬いた。
「……もしかして……キーアは、精霊さまと、話して、る……?」
きょとんとしたキーアは、首を傾げる。
「ルゥイは、声、聞こえない?」
凛々しい眉をひそめたルゥイは、耳を澄ますように目を閉じる。
「……何か、音がする気がする、けど……意味はわからない」
キーアは微かに息をのむ。
……もしかすると、前世の記憶があるから?
この世界じゃない、他の世界で生きた記憶があるから。他の世界、異界の言語を理解する能力があるから、精霊さんの言葉もちょこっと理解できる……?
あわあわするキーアに降るのは、いかめしい光だ。
『非常な失礼をしたことは、理解しているのか?』
きらきらの光の精霊さまが、おこです。ごめんなさい──!
「も、勿論です! 大変な失礼を、誠に、誠に申し訳ございませんでした……!」
地につくほど頭をさげた。
『謝罪というのは、言葉だけじゃなく、品物でも示すものだよな?』
「菓子折りですね、もちろんです! 公都で有名なお菓子屋さんで、よいお菓子を──」
ちかりと、光が瞬いた。
『……どーなつ、がいー』
「…………え……?」
ふいと、光の精霊さまが、横を向いた気がした。
『俺だけ除け者だなんて、気に喰わないって言ってるんだよ!』
「は、はははははい! も、勿論です! あ、あのあの、もしよかったら、トマが、とびきりおいしーどーなつを揚げてくれて、ヨニが、とびきりおいしーお茶を淹れてくれるので、キピア家に遊びにいらっしゃいませんか?」
キュアァアァアアア──!
光が、集束する。
さらさら光の髪が流れる。
切れ長の光の瞳が、キーアを見あげた。
ちっちゃな3等身なのに凛々しい、でもやっぱりめちゃくちゃ可愛い、光の精霊さまだ──!
拝んだ。
勿論です。
『……そ、そんなに頼む、なら、行ってやらなく、も、ない』
ぷいと横を向く光さまの尖った耳が、ほわほわ赤い。
「か──わ──い──!」
ぎゅむぎゅむしたい手をわきわきしながら、もだもだしてたら、光の瞳が見あげてくれる。
『……だ、だっこ、しても、よいのだぞ……!」
「わぁあ! ありがとうございます、光さま──!」
ぎゅむぎゅむしました。
ほんのりあったかくて、ちっちゃくて、ふわふわしてて、かわいー!
きゃ──!
もだもだするキーアの隣で、ルゥイの目が遠くなってる。
1,506
あなたにおすすめの小説
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
【完結】悪役令息の従者に転職しました
* ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
透夜×ロロァのお話です。
本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけを更新するかもです。
『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も
『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑)
大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑)
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!
はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。
本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる……
そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。
いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか?
そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。
……いや、違う!
そうじゃない!!
悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!!
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました。これもひとえに皆様の応援のおかげです。本当にありがとうございました。
もふもふ獣人転生
* ゆるゆ
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
もふもふ獣人リトと、攻略対象の凛々しいジゼの両片思い? なお話です。
本編、完結済です。
魔法学校編、はじめました!
リクエストのお話や舞踏会編を読まなくても、本編→魔法学校編、でお話がつながるように書いています。
リトとジゼの動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントなくてもどなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
第12回BL大賞さまで奨励賞をいただきました。
読んでくださった方、応援してくださった皆さまのおかげです。ほんとうにありがとうございました!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】双子の兄が主人公で、困る
* ゆるゆ
BL
『きらきら男は僕のモノ』公言する、ぴんくの髪の主人公な兄のせいで、見た目はそっくりだが質実剛健、ちいさなことからコツコツとな双子の弟が、兄のとばっちりで断罪されかけたり、 悪役令息からいじわるされたり 、逆ハーレムになりかけたりとか、ほんとに困る──! 伴侶(予定)いるので。……って思ってたのに……!
ルティとトトの動画を作りました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
本編、両親にごあいさつ編、完結しました!
おまけのお話を、時々更新しています。
本編以外はぜんぶ、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる