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らいばる?
しおりを挟む光の精霊さんを、ぎゅむぎゅむ抱っこして
「かーわーいー♡♡♡」
至福にひたるキーアの隣で、遠い目になっていたルゥイが再起動した。
「……あ、あの……光の精霊さま、僕も魔法を使わせていただきたいのですが……」
そうっと進言するルゥイを、光の瞳が振り向いた。
ちいさな唇が、きゅっと尖る。
『……だっこ、は……?』
おねだりまで、かわいーです!
「ルゥイ、光さまを抱っこ!」
キーアの命に、ルゥイのはちみつの髪が、ぴょこんと揺れた。
「え、えぇ!? そ、そんな畏れ多い……!」
なるほど。崇高なる精霊さまを、ぎゅむぎゅむ抱っこして『かわいー♡♡♡』とか不敬すぎて、ありえなさすぎて、ルゥイは遠い目になってたんだね、理解した!
しかし!
精霊さまがお求めなのは、だっこです!
いかめしく、キーアは告げる。
「抱っこ!」
「わ、わかった!」
おそるおそる、ルゥイがそっと手をのばす。
ふわふわ赤い頬で、光さまがルゥイの腕におさまった。
「……か、かわいー……♡」
きゅっと光さまを抱きしめるルゥイの若葉の瞳が、とろけてる。
おぉお!
主人公マェラのライバルが、爆誕したみたいだよ!
……あれ?
マェラのライバル、悪役令息のネィトじゃなかった??
瞬いたら、音が降る。
ロデア大公立学園の白亜の建物が現れる。
「大丈夫か! きみは闇だろう、拒絶反応で死ぬこともあるんだぞ!」
真っ青なフィリに揺さぶられたキーアは、血の気の引く音を聞きながら頭をさげる。
「ご、ごめんなさい……!」
「心配だからと手を出して、余計にひどいことになる場合があるんだよ。よく気をつけるように」
ハゥザ学園長の訓戒に、キーアは深く頭をさげた。
「申し訳ありませんでした……! 何より、光の精霊さまに、ごめんなさい!」
キーアの隣で、ちいさな光が、ちらちら揺れる。
『……びっくりしたけど……どーなつ、くれるって……』
ぽわぽわな声が、降ってくる。
「勿論です! 家に帰ったらすぐにトマに揚げてもらいますね!」
キーアの言葉に皆が首をかしげるなか、ハゥザは心配そうにルゥイとキーアの顔を覗きこむ。
「何ともないか? 体調は?」
「大丈夫です」
微笑むルゥイの隣で、キーアは頭をさげる。
「ご心配をおかけして、ごめんなさい」
「いや、僕も簡単そうに言ってしまったから。すまなかった。……選ばれし者、精霊さんと相性がとてもよい者しか招かれることはない。……キーアとルゥイなら、もしかしたらと思った。危険にさらすなんて、学園長失格だ」
頭をさげるハゥザなんて、初めて見たよ!
あわあわキーアは首を振る。
「そんな! 俺が勝手にルゥイにさわっちゃったからです。ルゥイにも、ごめんなさい!」
深々さげた頭を、ルゥイのおっきな手がなでなでしてくれる。
「キーアが来てくれたから、光の精霊さまとほんのすこし交流できたんだよ。ありがとう、キーア」
微笑んでくれるルゥイが、はちみつみたいに、あまあまです。
「お、逢えたみたいだね。魔法を使わせてもらってごらん」
微笑むフィリに、ルゥイは照れくさそうな朱いまなじりで呼びかける。
「光の精霊さま、もしよろしければ、私、ルゥイ・トゥナ・ロデアに魔法を使わせていただけませんでしょうか? どうぞよろしくお願いもうしあげます」
うやうやしく敬礼するルゥイの肩で、まばゆい光がきらめいた。
『まほう? 何を使いたい?』
「ルゥイさま、何の魔法をお使いになりたいですか?」
通訳してみたら、ルゥイの赤い頬が、ぷくりとふくれる。
「ルゥイ。呼びすてて」
皆いるのに!
思ったけれど、さっきも皆の前で『ルゥイ』呼んじゃったのでした、ごめんなさい!
「……え、えと、ルゥイ、何の魔法を使いたい?」
ちっちゃな声で聞いてみたら、ルゥイがとろけて笑う。
「さっき叔父上が使ったの」
光魔法の究極奥義ですね。
「いやいやいやいや、無理でしょう!」
首を振るキーアの肩で、光が揺れる。
『できるよ』
「できるんですか!」
BLゲームでは、主人公だけが使える究極の浄化魔法で、ルゥイには使えなかったはずだけど、やっぱりゲームの世界とすこし違うのかな……?
顔も名前も声もないモブに、顔も名前も声もあるから?
首をかしげるキーアのまえで、ちいさな光が、ちらちら揺れた。
『るー、魔力足りない。きー、あげて?』
「え、それは勿論大丈夫ですが、あの、俺、光魔法の適性なくて──」
『適性、できたよ。俺に逢ったから』
えぇ……!?
のけぞる暇もなく、ルゥイとキーアのまえに光の魔法陣が現れる。
「……え、これ、もしかして……ほんと、に……?」
見開かれた若葉の瞳の奥に、光が燈る。
「わあ……!」
ルゥイとキーアの身体から、まばゆい光が舞いあがる。
身体の底から魔力を絞りとられる感覚に、キーアの意識が霞んでゆく。
そうだよ、さっきも闇魔法で魔界を呼んじゃったよ!?
その次に光魔法の究極奥義のお手伝いとか無理じゃない?
「キーア……!」
倒れそうなキーアを、ルゥイの腕が支えてくれる。
重なるルゥイとキーアの手から、光の魔法が、あふれてく。
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