【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ

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きゃー!

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 皆の魔力のおかげで、ちょこっと元気になりました!

「ありがとう、もうだいじょうぶ」

 やさしい皆の魔力が溶けた、あったかい胸に手をあてて微笑むキーアに、レォが凛々しい眉をしかめた。


「キーア、顔色がわるい。もう少し休もう」

「そうだよ、きーちゃん、無理しないで」

 心配してくれるレォとネィトに、首を振る。


「討伐隊の皆が頑張って探索してくれてるんだ。学生班だけ遅れるわけにいかないよ」

「だが……」

 言い淀んだレォが、ルゥイを振りかえる。

「キーア、無理してない?」

 心配そうに顔を覗きこんでくれるルゥイに、笑う。


「だいじょうぶ。いける。俺、強い子だから!」

 上腕二頭筋を盛りあげてみました。

 ちょこっと、盛りあがったよ!


 皆が、なまあたたかい目で微笑んでくれました。

 闇さまが、頭をぽふぽふしてくれました。

 やさしい。
 






 息が清らかになったので、随分楽に歩けるようになりました!

 ちょっと瘴気が濃いと思われる、学生班の担当区域へと到着、2人1組で探索を開始する。

「ルゥイ、気分、わるくない?」

 見あげるキーアの顔を、長身を折り曲げたルゥイがのぞきこむ。

「キーアのおかげで、すごく楽だ。ありがとう。
 でも、キーアのほうが心配だよ。体調は?」

「元気!」

 笑うキーアに、ルゥイがはちみつの眉を寄せる。


「皆にもそう言ってたけど。ほんとうは?」

 ちょっとおこなルゥイの若葉の瞳に見つめられたら、元気な振りが剥がれてく。


「……ちょっと、くらくら、する。でも魔力をいっぱい使っただけだから、だいじょうぶ」

「おぶってあげる」

 はちみつの微笑みは、よけいにくらくらします……!


「だ、だいじょうぶ!」

「おひめさまだっこは?」

 きゃ──!

 もだもだしそうで、あわあわ首を振る。


「だ、だめ! ルゥイが辛いから!」

 吐息したルゥイがキーアの腕をつかむ。
 やわらかに引き寄せられて、大樹を背に座らされた。


「すこし休もう。
 無理したら、キーアが辛くなるだけじゃない、皆に危険が迫る。
 試験じゃない、ほんとうの魔物討伐なんだ」

 強い声だった。

「……ごめんなさい」

 しょげるキーアに、ルゥイは首を振る。


「キーアが皆をたすけてくれたことは、解ってる。瘴気は人間には猛毒だ。いくら魔力の高い人間でも、長時間は厳しい。
 キーアのおかげで、こんなに楽に息ができる。感謝してる」

 ルゥイがキーアの前にかがんでくれる。


「……でも、キーアがくるしむのは……つらい」

 ルゥイの苦しそうにしかめられたかんばせに、キーアは息をのむ。


「苦しくないよ、だいじょうぶ」

 微笑むキーアにルゥイは首を振った。


「だめ。隊長命令。キーアはお休み」

 頭をぽふぽふしてくれるルゥイが心配してくれているのは、わかってる。

 皆が魔力を分けてくれたから何とか歩けたけれど、もう限界なのか、ふたたび魔力が枯渇しかけているのか、頭がくらくらするし、足元がふらふらしてる。

 こんなじゃ、魔物が襲ってきたときに、皆の足手まといになってしまう。


「……じゃあ、ちょっとだけ」

 目を閉じたキーアの後ろ髪が、もしょもしょした。


『きー、つらい?』

 心配そうに闇さまが覗きこんでくれる気配がして、キーアは目を明ける。


「またちょっと魔力が切れちゃったみたいです。闇さまがいっぺんに回復してくれたら、皆がびっくりしちゃうので、自然回復するまで、すこしだけ待ってくださいね」

 こそこそお話したら、闇さまのちっちゃなほっぺが、ぷっくりふくれた。


『僕のがだめなら、瘴気、魔力に、できるよ』

「……うん、それ、すんごく叱られる、あれな気がします……」

 瘴気が魔力に変換できるとか、聞いたことないよ──!


『闇を頭に乗っけてれば、回復もはやいだろ』

 光さまが、闇さまを頭のうえにのっけてくれる。

 髪にしがみついてる闇さまの、ちっちゃな手の感触が、かわいーです。



 くぅ。


 闇さまを頭に乗っけたキーアが目を閉じた瞬間に、眠りに落ちたらしい。

 相反するといわれる闇と光の魔法を同時に、同じ人が使うなんて、たぶん今までかつて誰もやったことがない、というかできない感じのあれだと思われるので、倒れずに動けただけでも大快挙だったけど、皆の魔力を分けてもらったから動けるようになっただけなのに、行軍しちゃうなんて、さすがに限界だったみたいです。

 やさしい闇と、やさしい樹々に包まれて、眠りの奥に、落ちてゆく。



 くぅ。


 あったかいぬくもりと、とろけるようないい匂いに包まれて、キーアはぼんやり目を覚ます。


「キーア! 気がついた? 走れる?」

 心配そうに顔を覗きこんでくれるルゥイが、キーアをおひめさま抱っこして、爆速で走ってくれていました。


「キシャアァアアア──!」


 魔物、出た──!








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