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トマといっしょに里帰りだよ!
おとうちゃん
しおりを挟むちょっと涙目で自己紹介したキーアに、ロロァは笑った。
「トマの家族かあ。家族ができたんだ。よかったね、トマ」
背伸びした、ちっちゃなロロァの手が、かがんだトマの頭をなでなでしてる。
「はい、ロロァさま」
とっても、なかよしみたいです。
ふわふわの短い藍の髪を揺らした、ちっちゃなロロァが、おっきな藍の瞳でキーアを見あげてくれる。
かわいい。
天使だ。
「ロロァです。7歳です。とーやの伴侶(予定)だよ」
…………………………。
透夜を見る目が、思いきり胡乱になった。
「伴侶(予定)がいるくせに、トマも愛してるって、ひかえめに言って、さいていじゃね?」
キーアの氷柱の目に刺された透夜が引きつった。
………………。
……刺しておいて思いだしたけど、伴侶(予定)なネィトがいるくせに、最愛の推しゼァル将軍だいすきとか言ってました、ごめんなさい……!
特大ブーメランを喰らって、ぷるぷるするキーアの前で、透夜もぷるぷるしてる。
「な、何を言う! 家族愛だ! 俺は皆の父ちゃんとして、皆のしあわせを追求する義務が──!」
……わかい父ちゃんだね。
感慨にひたる間もなく
「きゅるるるる」
緊迫を撃ち砕くようにキーアのお腹が鳴る。
「おなか減った?」
ふわふわの髪を揺らして首をかしげてくれるロロァが、かわいやさしい。
「減りました……ヨニと宿をとって、ご飯を食べたいので、続きは明日でもいいですか?」
死闘をまた明日もかと思うとへしゃげるが、トマのためならがんばるよ。
しかし、お腹がへったので、ご飯休憩を求めます!
せつなくお腹を押さえるキーアに、ロロァが微笑む。
「うちに泊まって、ごはん食べればいいよ。鳥麺屋さんしてるの」
拍手した。
「すばらしい!」
キーアの称賛に、透夜が胸を張ってる。
きみは別にほめてないから。
ロロァが案内してくれたのは、立派な邸の広やかな前庭だった。屋敷の一階の一角に窓口があって、そこで注文してトレイを受けとり、緑と花々の揺れるお庭で鳥麺ををいただけるらしい。
豊かに茂る樹々と花々が白いテーブルと椅子を彩って、よだれがあふれおちそうな鳥麺のいい匂いといっしょに、緑と花の香りがする。風が吹きぬけると、白い花びらがふわふわ揺れた。
「かわいー! 顔に似合わない、かわいーお店だね!」
ほめたキーアに、透夜は思いきりぶすくれた。
いやべつに、顔がわるいとか言ってないよ。
凛々しくてかっこいーのと、ふわふわ可愛いのが……うん、似合うな。かっこいー男には何でも似合うよ。くぅう! くやしい! ちがった、ごめん、いじわるして!
だってトマが……!
もごもごするキーアに、透夜が鼻を鳴らす。
「ロロァさまには似合うだろ」
「めちゃくちゃ似合う」
こっくりうなずいた。
「トマにも、とってもよく似合うよ!」
にこにこしたら、トマがうれしそうに、照れくさそうに、恥ずかしそうに笑ってくれる。
実家に戻ったトマが、とってもかわいいです。
「俺、手伝います」
トマが厨房に向かおうとするのを、止めかけた透夜がちいさく笑う。
「お客さん待遇は、さみしい?」
ほんのり朱くなったトマが、うなずいた。
「はい。ここが、俺のふるさとだから」
ふわふわの栗色のトマの髪を、わしゃわしゃ撫でた透夜が、トマを抱きしめる。
「おかえり、トマ」
「……ただいま、トゥヤ」
涙にうるむトマの瞳を、涙に揺れる声を、透夜の腕が抱きしめる。
その腕は、たしかに、おとうさんの腕で。
あふれる愛が、トマを包んだ。
「……ちぇ」
感動するところなのに、唇が尖ってしまう、心の狭いキーアの頭を、ヨニがなでなでしてくれる。
「おとうさんとの再会ですから。キーアおぼっちゃまとは、別枠ですよ」
あまやかしてくれるヨニが、やさしい。
「鳥麺、おいしーよ。食べる?」
ちっちゃなロロァが、おっきな藍の瞳をきらきらさせて聞いてくれる。
「食べるー!」
両手をあげてしまいました。
────────────────
ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございます!
書いてる人だけが楽しいかも、と心配だったのですが、お気に入りや、いいねやエールやご感想で、楽しんでくださっているのかなと思うと、とてもうれしいです。ありがとうございます!
新しいお話、はじめました!
もしよかったら、きーちゃんとトマヨニと一緒に(笑)楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
きーちゃんのお話、最近書いたような気がするのですが(笑)もうすぐ半年、完結してからも、もうすぐ3か月なのですね……!
こうして、おまけのお話を書くことができるのも、ずっと読んでくださるあなたさまのおかげです。
ほんとうに、ありがとうございます!
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