【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ

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トマといっしょに里帰りだよ!

きゅるる




「きゅるるるる」

 涙目で、鼻をすすりながら双剣を掲げるキーアのお腹が、せつない悲鳴をあげている! 


 エネルギー切れだよ。もう晩ご飯の時間だよ。お腹減ったよう……!

 そんなこと言ってる場合じゃないから!


「ふにゅにゅにゅにゅ……!」

 襲う透夜の剣を双剣の鍔で止めた。

 ギリギリ押しこまれて、ずるずる下がりそうになるのを必死で耐える。


 足が下がるときにえぐれる土とか、漫画かと思ってたよ。ほんとにえぐれてるから! リアルだから!

 涙と鼻で切なくなりながら、キーアは後ろ髪でぷるぷるしてる闇さまに呼びかける。


「闇さま、もう一回、お願いします!」

『わ、わかた!』

 ぎゅ、とちっちゃい闇さまの手が、キーアの頭を抱きしめる。


「いっくよ──!」


 タン

 大地を蹴った。

 気配を消す。

 夕闇の降りてきた空を蹴る。

 闇さまの力と闇の魔力を融合させて、双剣にまとわせる。


『いっけぇえええ──!』

 渾身の力をこめて、突撃したキーアの双剣が

 ガキィイイ──!

 悲鳴をあげた。


 これも止めるとかね。化け物だよね。

 それでも!


「トマは、絶対、絶対、渡さない──!」

 涙と鼻水と、きゅるるる鳴るお腹で叫んだキーアに、透夜は笑った。


「うん、よくわかった」

 しゃっと何でもないみたいにキーアの渾身の一撃を払った透夜が、頭をなでなでしてくれる。


「よくがんばりました」

 やさしい笑みに緊張が解けた瞬間

「……はにゃー……」

 ずるずる崩れ落ちる身体を、飛んできたトマが抱きとめてくれた。


「キーアおぼっちゃま……!」

 トマの顔が、真っ赤だ。


「トマ、俺、がんばったよ……!」

 ぐしぐし鼻をすするキーアを、トマがぎゅうぎゅう抱きしめてくれる。


「俺、一生キーアおぼっちゃまに、ついていきます!」

 真っ赤な頬で、涙のにじむ瞳で、笑ってくれた。


「ほっほっほ。相思相愛ということで、おゆるしいただけませんかの」

 ヨニのとりなしに、透夜が眉をあげる。


「相思相愛とか、ゆるさないから」

 おとうちゃん、きびしい。


「師匠!」

 声をあげるトマに、透夜はふくれた。


「……だって、トマが相思相愛なんて、いや」

 ふくれる透夜の頬が幼くて、キーアは瞬いた。


「……あれ、絶対めちゃくちゃ年上だと思ってたけど、もしかして透夜って同い年くらい?」

 透夜の闇色の凛々しい眉があがる。


「14」

 …………………………。


「………………は…………?」


「14くらい。たぶん」

 ………………えぇ…………? どう見たって20代……えぇえ……!?

 ちょ、ま、14歳で、18歳なトマの、おとうちゃんなの!?

 それよりだよ!


「はぁアァア──!? 年下じゃないかァア──!」

 噴火するキーアに、透夜は鼻を鳴らした。


「だから?」

 冷たい声に、キーアはしおしお、おとなしくなる。


 何でもありません、すみませんでした。

 よわい。





「せっかく転生仲間なんだから、なかよくしようよう。塩対応、せつないよう!」

 キーアの懇願に、透夜は鼻を鳴らした。


「トマの愛を奪っておいて、よく言うな」

 切れ長の瞳が、つりあがったら、2倍こわい。


「……もしかして、めちゃくちゃトマを愛してる?」

「あたりまえだろ!」

 叫ぶ透夜を目がけて、ちっちゃな子どもが駆けてくる。


「とーや、また、うわきしてるー!」

 ふわふわの藍の髪に、おっきな藍の瞳が愛くるしい、幼児だ。
 5歳……6歳くらいかな?


「ロロァさま」

 しゃっと、ちっちゃなロロァを抱きあげた透夜の顔が、とろけてる。


「トマが変な人をつけて帰ってきたので、駆除を」

 ひどい!


「変な人じゃないもん──!」

 涙目で叫ぶキーアに、ロロァはおおきな藍の瞳を瞬いた。


「トマ!? おかえり、トマ!」

 とてとて駆けたロロァが、トマを抱っこする。

 こっちには、あんまりやきもちやかないよ。かわいいよ。


「ただいま帰りました、ロロァさま」

 胸に手をあてたトマが微笑む。

 感動の再会を邪魔するみたいですが、大事なことなので!



「キーア・キピア、15歳です。ロデア大公国から来た、トマの家族です!
 変な人じゃないよ!」










────────────────


 ずっと読んでくださって、ありがとうございます!

 ゼァルの動画を作ってみました!(笑)ちゅうできる?(笑)してみてください(笑)@siro0088

 ストーリーズでもあげて、ハイライトでまとめるようにしようと思うので、プロフィールの丸いところをタップしてくださったら、きーちゃんと皆がお出迎えできるようになったらいいなと思って、これからがんばります!
 今はゼァルだけ……(笑)

  お話は、おとうちゃんに認めてもらえるように、キーア、がんばります!(笑)







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