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ネィト(受)
最初の記憶
しおりを挟む昔のキーアの記憶は、ぼんやりしている。
霞がかかったように、すべてが遠い。
事象も、風景も、感情も、おぼろに揺れて、すりぬける。
両親の記憶さえ、曖昧なのに。
ネィトだけは、輝いた。
確か3歳、いや5歳くらいだったろうか、上位貴族以上の子たちが大公宮に招待されたお茶会の席だったと思う。
さらさらの闇の髪が、春の風に揺れていた。
びっくりするほど可愛い男の子に、びっくりするほど輝く瞳がついている。
大きな目は、幼いキーアが見たことのない色だった。
そのきらめきから、目が離せない。
「おめめ、きらきらね」
ちいさなキーアは、思わず口にしていた。
身分のこととか、礼儀のこととか、あまり厳しくないロデア大公国なうえに、5歳くらいということでほぼ無礼講だったから許される所業だ。
驚くほど愛らしい男の子は、きらきらの目を見開いた。
「……き、きもち、わるく、ない、の……?」
ちいさな声が、ふるえてる。
高く、透きとおる、硝子の鈴を鳴らすような声だった。
幼いキーアは、ぽかんとした。
「こんなにきれいな目、見たことない」
男の子も、ぽかんとした。
「……きれ……い……?」
キーアは、こくこくうなずく。
「すっごく、すっごく、きれい。世界でいちばん、きれいだよ!」
笑ったら、男の子が泣きだした。
びっくりしたキーアは、自分の立ち位置を思いだす。
キーアは幼くても、周りの大人たちの言葉を聞いていた。
『キピア家?』
『聞いたことないな』
『ああ、先代の威光で持ってる家だろ』
『もうすぐ平民』
『関わるな』
投げつけられる蔑みを、知ってる。
『なにあれ』
『ふつーすぎ?』
『いや、ぶさいくじゃね?』
自分が褒められる容色ではないことも、理解していた。
こんなに可愛い男の子には、自分はふさわしくない。
あんまりきらきらしていて、つい声をかけてしまったことを反省した。
「ご、ごめん、ぼくみたいなのにほめられたら、やだった? ごめんね」
あわてて立ち去ろうとするキーアの手を、男の子の手がつかむ。
びっくりして振りかえったキーアに、男の子は、ぱっと手を離した。
「……あ、ご、ごめん、きもち、わる、い……?」
「どうして、そんなこと言うの?」
「……え……?」
「きみは、ぼくが知ってるなかで、いちばん、かわいいよ!」
叫んでた。
泣きだす男の子に、キーアは跳びあがる。
「ご、ごめん、大きな声を出したりして。こわかった? ごめんね」
あわてて謝るキーアに、男の子は首を振った。
「……ぼ、ぼくのこと、かわいいって、思ってくれる、の……? ほんとうに?」
きょとんとキーアは首をかしげる。
「思わない人は、目がわるいんじゃないかな」
男の子もきょとんとして、くすくす笑った。
鈴が揺れる声だった。
「ほんとに、ぼくの目、きもちわるくないんだね」
「こんなにきらきらの目、見たことない! すごいね。お星さまより、きれい」
うっとりのぞきこむキーアから目をそらすように、男の子がうつむいた。
「……魔物の目なんだって」
「……は?」
「紫の目は、魔王を呼ぶ、魔物の目なんだって」
鈴の声が、ふるえてる。
────────────────
この切ないネィトの雰囲気をぶち壊して申しわけないのですが、ずっと読んでくださって、心から、ありがとうございます!
いただくご感想が、お話より絵のほうが多いんじゃないかという感じで(笑)複数の方からご希望があったので、表紙絵をあげるインスタグラムを作ってみました。初めてなので全然意味がわかってません(笑)
小さかったら誤魔化せるのですが、大きくなったら丸見えなのに修正の時間がないので、髪が目に刺さってるとか、手が変とか、青空がカオスとか色々あるのですが(笑)そのまま上げます!(笑)ご容赦たまわれたら幸いです。
アカウント持ってない方、申しわけないです。
見れなくてイライラしますよね……!
しかし自分の小説のページに、カオスな絵をのせるのはちょっと……(笑)という感じなのです、ごめんなさい!
持ってなくても最近のは見えるはずなので、こんなのあったなと楽しんでくださったら!
ごあいさつに『もふもふ獣人転生』のリトと、昨日のきーちゃんとゼァルを載せておきました。1日遅れで投稿しようかな? 最新のは表紙でお楽しみください(笑)
URLがhttps://www.instagram.com/siro0088/です。
siro0088、おぼえやすいかも?(笑)もしよかったら!
あまりに何にもなかったらひっそり終わります(笑)
とりあえずお試しでやってみますね!
今までの表紙絵のなかで、これをもう一度! とかあられたら、お気軽にどうぞです。
何の修正もせず、ばーん! とあげるだけならだいじょぶです!(笑)
というわけで、お話のほうがおまけみたいになってきましたが(笑)今日からネィトです──!
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