【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ

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おひざだよ

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「ぼ、僕もついてく! お兄さまがだまされてないか、ちゃんと見届けるんだから!」

 ぎゅうう、とヴィルの腕に縋りつけるエヴィがうらやましい。

 ノィユが抱きつくのは、おひざだ。

「ヴィルにも、エヴィさまにも、トートさまにも、ロダさんにも、決して嘘はつきません! ありのままを正直にお話しします」

 エヴィに対抗するように、ノィユにおひざを抱っこされたヴィルが、真っ赤な顔を覆ってる。


「エヴィ、僕らはお邪魔だよ」

 なだめるようにエヴィの腰にさりげなく回そうとしたトートの腕が、素晴らしい速度でエヴィに叩き落とされてる。


「邪魔なのはトートだけだもん──!」

「エヴィ──!」

 伴侶漫才が楽しい。


「心と、言葉が、裏腹な、エヴィを、ずっと、慈しんで、愛してくれて、ありがとう」

 微笑むヴィルに

「お義兄さまにお礼を言われることではありませんから──!」

 叫ぶトートの耳が赤い。
 こっちもツンデレみたいだよ。

 ロダがによによして、ネァルガ家の衛士の皆さんもにこにこしてる。


「エヴィが行くなら、僕も行きます」

 ヴィルに対抗するように前に出るトートに、エヴィが細い眉をしかめた。

「えー、トートは来なくていいよ。僕がお兄さまといちゃいちゃしてるところ、そんなに見たいの?」

「エヴィ──!」

 トートが号泣してる。

 エヴィがほんのり楽しそうだ。
 ちょっとトートが可哀想になってきたよ。



 衛士さんが馬をもう1頭連れてきてくれて、馬車もひと回り大きな6人乗りになって、皆で王宮に向かうことになりました。

 ノィユはおまけ枠で、馬さんたちが頑張って牽いてくれるらしい。
 きゅうきゅうになっちゃうので、ヴィルのおひざ抱っこだ。

 ほんのり赤い頬で抱っこしてくれるヴィルと、とろけて笑うノィユに

「きぃいイィイイ──!」

 エヴィの愛くるしいかんばせが、ものすごいことになってる。
 ロダがによによして、トートもちょっぴりうれしそうだ。

 エヴィとトート、お似合いみたいだよ!


 高位貴族と上位貴族と一緒に馬車に乗ることになった両親が、青くなってカタカタしてる。
 馬車でも一番隅っこの下座を死守してる。ロダにも譲りたくないみたいだよ。

 ネメド王国では、伴侶を持つことによって、個人の家格が上がったり下がったりはしないのだけれど、ネァルガ家当主の伴侶となったエヴィは、ちょっと配慮されて、ヴァデルザ家当主のヴィルより上座に就くことになるらしい。

「僕がお兄さまより上だなんて、天地がひっくり返っても、ありえないから!」

 しゃっとエヴィがヴィルより下座の、ヴィルの隣に座ろうとするので

「じゃあ僕もお義兄さまを立てて」

 微笑んだトートが、ちゃっかりエヴィの隣の下座に座ってしまう。

「………………」

 一番上座に座っていいのかな、という顔をしたヴィルをよそに、エヴィの隣でにこにこしたトートが手を挙げた。

「出してくれ」

 御者さんが応えて、馬さんが走り出す。

 緑豊かな帝都郊外にある広大なネァルガ家から、6人乗りの馬車で王都に向けて出発です。




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