【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ

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つんでれです

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「どうぞ」

 流れるような所作で従僕さんがノィユの前に置いてくれたのは、野菜のスープと、蒸し野菜だった。

 しなびてないし、しゃんとしてるし、バチルタ家にとっては素晴らしいごちそうだけど、一般的には違うような……?
 めちゃくちゃお金持ちだろうネァルガ家の晩餐なのに?

 ノィユにだけ、いじわるかと思ったら、トートとエヴィのお皿も一緒だ。

「あ、あれ? お肉の舞い踊りじゃないんですか?」

 ぽかんとするノィユに、エヴィが細い眉をしかめる。

「何を言ってるかわからないけど、言いたいことはわかる。豪華な食事ばっかりしてると、早死にするんだよ」

 ふんとエヴィが鼻を鳴らした。
 隣でトートが、怖い話をするように声をひそめた。

「うちは代々財力があるから、やろうと思えばすんごい食事ができるんだけど、そういうことした歴代がみんな、だるんだるんに太って、そんなに歳をとってないのに突然、死ぬんだよ」

 ホラーだ。

「『顔面は仕方ないけど、やむをえない病気や怪我や障碍を除けば体形は根性だろ、国の最高峰がだるんだるんってどうよ』って王家から指導が入るし、当主が突然死んで放りだされた領地経営とか大変だし、跡目争いとか悲惨な殺しあいが起きるしで、食事を見直したんだ」

 トートが意外に鍛えられた胸を張る。
 適度に鍛えて闘えることもきっと高位貴族のたしなみというか、必須条件なのかもしれない。踏ん反りかえってるだけかと思ったら、結構大変そうだ。

「ネァルガ家では野菜料理をしっかり食べてからでないと肉や魚は出ない」

 正しい食事法です。
 お肉の舞い踊りを期待して、よだれでだるんだるんになった僕が愚かでした、ごめんなさい──!

 両親も涙目で頭を下げてる。
 ロダがにこにこして、ヴィルがぽふぽふ頭を撫でてくれる。

「俺の、肉、ノィユに、あげる」

「うわあん! お肉に夢中な伴侶でごめんね! でもお肉よりずっとずっとヴィルに夢中だから──!」

 ぎゅう、とヴィルに抱きつこうとしたら、エヴィの殺人光線に止められた。

「食事中くらい、席を立たずに座って喰え──! それでも貴族か──!」

「ご、ごめんなさい!」

 あわてて背をしゃんとして頭を下げる。

「お兄さまが恥ずかしくなるようなことしてみろ、殺してやる──!」

 本気すぎてこわい。

「エヴィ」

 ヴィルの低い声に、跳びあがったエヴィが、わたわたしてる。

「ぼ、僕は貴族としての礼節をちゃんとするように言っただけです! 3歳だって貴族です。認めたくないけどお兄さまの伴侶なら、成人と同じ扱いをされます。お兄さまが恥ずかしい目に遭うだなんて、絶対絶対絶対絶対だめなんだからぁあぁアア──!」

 絶叫された。

『それは食事の席でどうなのかな』とか突っこんだら殺されるのは解ってる!


「エヴィ、世界の至宝のかんばせが、すごいことになってるから落ち着こうね」

 トートがエヴィのお背なをぽふぽふしてる。やさしい。


「トートさまは、エヴィさまのすべてを愛しておられるのですね」

 微笑んだノィユに、ほんのり赤くなったトートがうなずいて、耳まで真っ赤になったエヴィが叫んだ。


「そ、そそそそそそんな言葉で懐柔されたりなんかしないんだからぁあァアア──!」

 ツンデレ、かわいい。






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