【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ

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伴侶特典だよ

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 はらはらしながら見守ってくれていたのだろう両親が、親指を立ててくれる。

 やさしいけど、それは食事の際の所作としてはだめなんじゃないかな!


 エヴィの絶叫も落ち着いたので、ごはんです!

「はぅ……!」

 お野菜おいしい!

 カビが生えてない! 黄変してない! 褐色にもならず、傷んで溶けたりしてないよ!
 しゃくしゃく!

『うま──!』

 叫びたいのをこらえた。

 そうです、お野菜は美味しいのです!

 ちょっと涙ぐんだら、両親も涙ぐんでた。
 ロダとヴィルがかわいそうな子を見る目になって、頭をなでなでしてくれる。やさしい。

 お野菜をもぐもぐしっかり食べたら、お肉、お肉です──!
 おっきいお皿に、ちっちゃいお肉がちょこんと乗った、お上品の極みみたいなのだけど、お肉──! きゃ──!

 よだれじゅるじゅるでいただきました。

 口に入れた瞬間、あふれでる肉汁!

「はぅあ──!」

 泣いた。

 両親も泣いてる。


 トートとエヴィが、ドン引いてる。
 ロダがかわいそうな子を見る目になってる。
 ヴィルがやさしい目で、お背なをぽふぽふしてくれる。

 エヴィはヴィルには突っ込まないみたいだよ。
 ハンカチを噛みたそうにギリギリしてた。

 ごめんなさい。




 ネァルガ家は高位貴族だけあって、お邸の敷地も広大だ。
 ふつう高位貴族は王宮の近くに邸宅を構えるものだけれど、静かな郊外がいいと、わざと離れたところに居を構えているという。

 その分、広やかな敷地に馬が走れる馬場があり、厩舎も家庭菜園も鍛錬場まで充実している。
 お邸もひと部屋ひと部屋が大きく造られていて、天井が高く、窓も大きく、風と光がよく通る。

 さらにお風呂まで巨大だ。
 まるでプールだよ、すごい!

 魔法で水と火を操って沸かしてるから、エコなんだって。
 ネメド王国では魔力の潤沢な家、もしくは魔道具が買える裕福な家では、でっかいお風呂が標準装備みたいだ。うらやましい。


 ノィユはほんのり熱い頬で、ヴィルを見あげる。

「……正式に伴侶になったから……いっしょにお風呂、入りたい」

 きゅ

 ヴィルの手を握って上目遣いで『一緒にお風呂』という大歓喜な伴侶特典をおねだりしてみた!


 ふわりと朱くなった頬で頷いたヴィルが

 ぎゅ

 ノィユの手を握り返してくれた。




 脱ぐ前からすごいのは見て解るヴィルだけど、脱ぐとさらにすごい。
 ひとつひとつの筋肉がなめらかに艶やかに隆起して、あざやかな曲線をえがき、細い腰へと繋がる。

 しゃっと腰にタオルを巻かれてしまった。
 しょんぼりしつつ、ノィユも腰にタオルを巻く。

 間違いがあると、ヴィルが犯罪者になっちゃうから、気をつけねば。
 主に、というか間違いなく、襲いかかるのはノィユだ!

 えちえちな気持ちになったら襲ってしまいそうで危険なので、あえてここは3歳児としてはしゃいでみました。


「わー! ヴィル、泳げるよ!」

 駆けだそうとしたノィユの腰を、伸びたヴィルの腕がひょいと抱きあげる。


「ころぶ」

 お風呂なので、素肌です。

 お肌とお肌が、しっとりふれる。


「きゃ──!」


 鼻血が、あふれそうです。





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