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さくれつ!
「……ノィユ……」
「ごめんね、こんな領地で」
心配そうな両親の声に、ノィユは首を振った。
「領地は王から、たまわるものです。バチルタ家の酷い先祖の所業がこの領地になったのですから」
そうは言っても、べしゃりと机にうつ伏していたノィユは、寝返りみたいに首を反対側にひっくり返した。
ちょっと待って。
火山灰の土壌って、なにか、よく育つ作物がなかったっけ?
なんか、小学校の時に習った気がする!
皆で一緒に掘って、アルミホイルに包んで焚き火で焼いて、あつあつホクホクかと思ったら生焼けだった! そう、さつまいもがよく育つんじゃ──!?
そうだよ、芋だよ! あと、確か大根! なんか火山島の名前がついた大根があった気がする!
「いも! 芋です、おかあさま、おとうさま! 貧乏人の救世主、芋を植えましょう!」
「…………は?」
両親があんぐりしてる。
「芋は根っこも茎も食べられる、素晴らしい作物です。腹持ちもよく、お菓子作りにも最適! そうだ、なんか臭かったから、農家のおじちゃんに聞いたら鶏の糞だって言ってた! 鶏の糞を撒きましょう! ……既に撒いてるのかな? 現状把握も大切だ。あと火山灰は土壌改善の肥料になるはずです、売りましょう!」
「…………へ?」
「細かい火山灰は、お肌のパックにも最適です! 汚れや余分な皮脂を吸着、お肌がつるつるのすべすべに! 売ってないですよね!? 売りましょう!」
「………………ほへ?」
「おかあさまとおとうさまがパックして『お肌つやつや♡』とか宣伝してくれたら、めちゃくちゃ売れます、間違いない!」
「……………………ほえ?」
「火山地帯ってことは、温泉が湧いてるはずです! 安全を確保した温泉地に観光業を興し、観光客を誘致し、民の流出を防ぐどころか、民を呼びましょう!」
「……………………はえ?」
「おかあさまとおとうさまが入ってくれるだけで『美人の湯』が完成します! 絶対、流行る!」
「…………………………えぇ!?」
「借金返済の第一歩は、芋の耕作と火山灰の販売です! 収益があがってきたら温泉地を整備し、バチルタ家領を、ネメド王国が誇る温泉地へと変貌させるのです!」
「なんか解らんが、ノィユについてゆく!」
父が拳をにぎってくれた。
「お、俺も!」
母も拳をにぎってくれた。
「ネニさま、明日は農耕の詳しい本を、明後日は商品開発と流通、販売の詳しい本を、明々後日は領地経営の詳しい本をお願いします!」
燃えるノィユに、ネニは夜の海の瞳を瞬いた。
「あ、あの、僕で、いいの……? 明日からは、おかあさまが復帰するかも、しれない、けど……」
うつむくネニに、ノィユはあわあわ頭を下げた。
「も、申しわけありません! 自分たちで探したらほんとにさっぱりで、ネニさまがおすすめしてくださった本があまりに完璧で、つい頼るようなことを申しあげました。どうかお気になさらないでください」
あわあわノィユとも頭を下げるタイミングと角度を合わせてくれる両親が、謝罪マスターすぎる。
「ぼ、僕、本がすきで、いつもおかあさんにくっついて、図書館にいるの。……あ、あの、明日もノィユに逢えたら、うれしい」
ふわふわ紅い頬で笑ってくれるネニが、かわいい。
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