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新居♡
しおりを挟む「こんなご馳走をバチルタ家で食べられるなんて!」
両親が泣いてる。
恵んでもらえてよかったね!
「驚きのおいしさです、ノィユさま」
微笑んでくれるロダは、いつもやさしい。
「ノィユ、つくって、くれた、ご飯、おいしー」
とろけるように笑ってくれるヴィルが、天使だ──!
ご飯を食べたらくつろぐ時間だけど、お茶菓子を出すお金もお酒を出すお金もないんだな。ごめんなさい。
野草の健康茶なら出せるよ!
「おお、苦み走るな!」
「なんか、身体によさそう」
「………………♡」
喜んでくれたみたいだ。よかった!
あまりおもてなしできず、しょんぼりなバチルタ家を気にすることなく、おんぼろ邸を面白そうに探索したヴィルと仲間たちがノィユを振り返る。
「のうのう、ノィユちゃんや、あの火山の噴火は、ちと問題じゃろう」
邪悪な魔法使いっぽいゾホが『ノィユちゃん』って呼んでくれる! かわいい!
「えへへ『ノィユちゃん』ありがとうございます」
「……う? う、うむ」
真っ暗なフードの向こうで、ゾホが照れ照れしてる。かわいい。
……あれ、もしかして。
「ゾホさま、めちゃくちゃ顔、かっこいーですか」
隣にいた茶色いフードの王兄メィファが、こくりと頷いた。
おじいちゃんみたいなゾホがちいさく笑う。
「メィファほどではないのう。永遠の美少年でな、顔を隠すためにこんなことに」
「そ、そうなんですか! そっか、ゾホさまがおじいちゃんぽいのも容姿を隠すためなんですね」
ヴィルと一緒だ。ふたりを見つめたノィユは、ぽんと手を打つ。
「ならゾホさまとメィファさまでくっつけばよろしいのでは? 家柄も問題なく、顔面もおそろい! 学究の宮でもずっと親しくされていたんですよね」
きょとんとしたふたりが顔を見合わせて、もじもじしてる。
おお、これはいいこと言ったかも!
近くにいすぎて気づかないってあるよね!
「そ、その、ノィユちゃん、火山の話なんじゃが」
「自然災害はどうしようもないって、皆であきらめてるんです」
肩を落とすノィユとバチルタ家に、ゾホのフードの向こうの瞳がひらめいた。
「何とかできるやもしれん」
「………………え?」
「魔素というのはすべての魔法のもとであり、動力源でもある。それを噴出するままに垂れ流すというのは、大変に勿体ないことなのじゃ」
ゾホの隣でメィファもこくこく頷いてる。仲良しだ。かわいい。
「魔素が詰まったり、あふれすぎて噴火しておるなら、吸い出してやればよい。わしが魔素を吸い出す術式を構築してやろう。それを石に詰めれば魔石のできあがりじゃ。バチルタ家領にある火山は凄まじい動力源となり、莫大な富を生む」
あんぐり口をあけたノィユと両親に、ゾホはぽそぽそ呟いた。
「それで、協力する見返りとしてじゃ、居場所のないわしらに、住まいと食事と研究に没頭できる場所をバチルタ領に作ってくれたらと」
「よろこんで──!」
両手を挙げたノィユが胸を叩く。
「気に入ってくださったら、お誘いしようと思っていたんです。地獄みたいな見た目ですが、領民は皆噴火慣れしてて逞しくて我慢強くてやさしいし、代々のバチルタ家を見てるので、貴族はこんな顔だと思ってくれて、精霊みたいな顔にも無反応です。衣や眼鏡でお顔を覆わなくてもだいじょぶです! 辺境なので横やりも邪魔も入りません。メィファさまとのえちえち新居♡を構えるのに最高の地かと!」
拳を握って力説してみた。
目を見開いたゾホとメィファが『えちえち新居♡』に噴火してる。かわいい。
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