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舞踏会編
とうちゃくだよ
動画や歌を録画してくれるかもしれない天才は、ドディア帝都にいるらしい。
広大すぎるドディア帝国の帝都に着くには、まだかかる。
ノィユは、ちょっと落ち込んだ。
しかもいくら天才だって言っても、そんなほいほい動画を録画する魔道具なんて作れないよね。
………………あれ? 動画を録画してたよ、うちの両親が!
『バチルタ印洗顔料で、気分もお肌もぴっかぴか♡』 宣伝してくれたよ!
あ、あれ?
もしかしてネメド王国って魔道具先進国?
……いや、そんなこと、あんまり聞いたことない……あ、もしかして魔法使いおじいちゃんに見えるゾホが、天才ぶりを発揮して開発した魔道具なのかも。
そういうのネメド王国に、ちょこちょこあるんだよね。
ゾホおじいちゃん、じゃなかった、美青年ゾホ、すごい!
ドディア帝国の天才と話があうだろうなあ。
交流がちっともないから、魔道具の技術とかも分断されちゃってて、ドディア帝国では動画を録画できる魔道具ってないみたい。
仕方がないので、根性だ!
根性で、ダンスと歌をおぼえるのです!
「あ、あの、おぼえがわるいので、ちょっとずつお願いします……!」
頼んだら、透夜もよい子の隠密団の皆も、ゆっくり踊ってくれる。
手とり足とり教えてくれるよ!
やさしい!
透夜が何度も教えてくれるダンスをリトたんとロロァくんと一緒に頑張って、歌もあわせる。
「わあ──!」
ロロァが歌うと、大気が澄みわたるみたいだ。
高い声が空に響いて、鳥もいっしょに歌ってくれる。
「すごいね」
「ロロァたん、すごぃ、でし!」
隣でリトが、ぽふぽふ拍手してる。
しっぽが、ほわほわしてる。
さ、さわりたい……!
手がわきわきするよ!
隣でジゼが『だめですから』って目で言ってる。
氷が刺さってきそうだよ。こわい。
「あ、あの、あの、ありが、とう……」
真っ赤になってうれしそうに笑うロロァが、とってもかわいーです!
「……僕、あんまり、何にも、できな、くて……」
リトたんが、しょんぼりしてる!
「すっごい! かわいーから! リトたんは、存在が尊いから──!」
拳をにぎって力説しても、しょんもりしてるリトに、くやしくなったノィユはロロァを引っ張った。
「僕とロロァくんとで歌って踊ったときと、リトたんがいる時との皆の反応を、ちゃんと見て!」
皆の前で、ロロァと歌と踊りをあわせて踊ってみた。
ヴィルもロダも、よい子の隠密団の皆も、透夜もリトも、拍手してくれる。うん。ありがとう。
リトたんを混ぜて、いっしょに歌っておどる。
「はぅあ……!」
「かあいー♡」
「きゃ──♡♡♡」
皆の、うっとり具合が全然ちがうんだよ!
見よ!!
「あ、あのあの、皆が、かわいー、から」
ふるふる首を振るさままで、かわいーよ!
「ちがうの! リトたんが、かわいーの!
声もダンスも一生懸命なの、ちゃんとわかるよ。皆で一緒におどるから、いいんだよ。ね?」
ノィユが肩をつかんだら、もごもごしたリトが、こっくりうなずいてくれた。
「やさしぃ気もち、ありあと、ござまし」
ふわふわ紅い頬で、リトが笑ってくれた。
「……あんまり、自信をつけさせてあげられなかったかな」
しょんぼりするノィユの頭を、ヴィルが、なでなでしてくれる。
「ノィユ、がんばった」
やわらかに瞳をほそめて笑ってくれる。
「ヴィルはいつもやさしいね。ありがとう」
ヴィルのたくましい胸に顔をうずめて、額をくっつける。
抱っこしてくれたヴィルは、微笑んだ。
「自信、もらう、ものじゃ、なくて。生まれる、もの、だから。
皆で、歌って、踊ったら、生まれる、かも」
ああ、ヴィルのいうとおりだね。
自信は、誰かにもらうものじゃなかった。
「……そっか。僕にも、自信、生まれるといいな」
「ノィユは、すごい」
ヴィルが笑ってくれる。
それだけで、自信なんてなくてもいい気がしてしまうのだけれど。
今日もとびきり可愛くてやさしい伴侶にふさわしくなるべく、邁進するのです!
って、がんばって歌って踊ってたら、ドディア帝国、帝都に着きました!
すごい!
でかい!
発展してる!
くちゃくない!
警護してくれるらしい小柄な衛士さんまで、きらっきらに輝いてるよ!
ドディア帝国、すごい!
ぱちぱち拍手して駆けだしそうなノィユを
「ノィユ、危ないから」
ヴィルが抱っこしてくれる。
やさしい。
うれしい。
あったかい。
いつも抱っこしてもらってると、説得力がないかもしれませんが。
でも、ヴィルは、保護者じゃないもん。
最愛の、伴侶だよ!
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