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舞踏会編
いじわる
ノィユは、知っている。
異世界には、アイドルな感じの楽曲がない。
「ノィユたん、リトたん、作詞作曲できる?」
気づいたらしい透夜に聞かれたので
「無理!」
「無理でしあ!」
リトたんと一緒に、即答した。
息ぴったり!
仕方ないので透夜が作ってくれることになったよ。
ふんふんふーん♪ とか歌ってたら、曲になっちゃったよ!
……透夜って、ヴィルと闘えるくらい強いんだよね? ヴィルが、わくわくしてたよね?
さらに曲まで作れて、モデルさんみたいな顔だなんて、何この人、チートなの!?
アイドルチートとか聞いたことないんだけど!
「でけた」
額の汗をぬぐう透夜に、リトたんもノィユも、ぽかんと口を開けた。
「え、うそ、透夜、作曲家なの!?」
仰け反るノィユの隣で、リトのしっぽも、ふくらんでる。
「すごぃ、でし!」
拍手するリトに、透夜は首をふった。
「俺の前世は、BLゲームマスター」
胸を張ってる。
「自称したよ。すごい」
つい半笑いになってしまったのが、よくなかったらしい。
「あのさ、気になってたんだけどさ、その精霊さんみたいにかわいー見た目に反して、ノィユの中身は、おじちゃんじゃないか?」
突っこまれた──!
くぅう……!
やはり転生者は、あなどれない!
「く……っ! 30代は、おじさんじゃない──!」
ちょっと涙目だよ。
ヴィルが抱っこして、なでなでしてくれる。やさしい。
あったかいヴィルの胸に顔をすりつけて、ふんふんヴィルの香りを胸いっぱいに吸いこんだら、ちょっと慰められた。
今日も伴侶はやさしくて、いー匂いする!
透夜、ひどい。
いや、真実を看破しただけだけど!
「じゃあちょっと歌ってみてよ。音符がいまいち、わかんないから、耳コピして」
歌いはじめる透夜に、ノィユもリトたんも、目をむいた。
「すごぃ……!」
「うっま……! え、透夜も歌って踊ろうよ!」
透夜の手を引っ張ったノィユに、氷の瞳が降ってくる。
「ない。
リトたんとノィユたんと、わがきみの間に、俺が割って入るなんて、ありえない」
え、なにその拒否全開。
自分のほうがアイドルさんみたいな顔してるくせに、意味がわからないよ!
「あのあの、ジゼしゃまも、歌て、おどて、くれましあ?」
おお、獣人のリトたんが、しっぽ、ぽふぽふでジゼしゃまを勧誘してる!
「…………………………え………………?」
リトのお願いなら、何でも叶えてあげたいのだろうジゼしゃまが、真っ白になってる。たのしい。
ここはノィユも、参戦です!
「ヴィルも一緒に歌って踊って!」
きゅう、とヴィルの腕に抱きついたら、もしゃもしゃの雪の髪を振って、ぷるぷるしてる。
今日も伴侶は、とってもかわいーです!
「とーや、一緒におどる!」
おお、ロロァたんも参戦だよ!
これはもう、皆で歌って踊るの確定だな!
にこにこするノィユに、透夜もジゼもヴィルも、首をふった。
「とりあえずリトたん、ノィユ、わがきみ、3人で歌って踊って。最高にかわいいから。俺らが入ると台無しだから」
ヴィルもジゼも、ぶんぶんうなずいてる。
おかしい。
知らない間に透夜とヴィルとジゼが、なかよしになってる!
「ノィユたん、リトたん、ふりつけは考えてくれる?」
「無理!」
「無理でしあ!」
透夜の言葉に、リトたんと、なかよく即答したよ!
「く……っ! かわいいとか、卑怯だろう!」
くやしそうな透夜が、ちっちゃな皆を手招きしてる。
「常葉と柳、俺が歌って動くから、それにあわせて、そろえて踊ってくれる?」
「えー! なんで俺は入ってないの!?」
泣きそうな藤色の髪の子を、透夜が慰めてる。となりで、ロロァが、ぷっくりしてる。
「男たらしだ」
によによするノィユに、ちっちゃなロロァが、こくこくしてる。
「とーや、すぐ、うわきするの」
ぷっくりふくれる頬が、とびきりかわいい。
「してないから! 人聞きがわるいから!」
透夜が泣いてる。
「さっきの仕返しだもん!」
べ。
舌を出したら、ヴィルが真っ赤になった。
「ノィユ、かわいー」
ぎゅむぎゅむ抱っこしてくれる。
いじわるなノィユも愛してくれる伴侶だなんて、うれしくて泣いちゃうのです。
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